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【連続note小説】日向食堂 小日向真司23 歳

歳之は大学に通いながらアルバイトをした。
その傍ら大学のサークル活動にも出入りするようになっていた。
苦労を掛けてきた真司の手前、部活には入らないつもりだったが、友達に誘われて顔を出した軽音楽サークルに夢中になってしまった。
 
真司は何も言わなかった。
歳之には自分のような思いはさせなくない。
歳之が歳をとって思い出した時、楽しかったと思える大学時代にしてもらいたかった。
 
ある日、真司が歳之を誘って外に出た。
二人が向かった先は楽器屋だった。
 
「好きなのを選べ、あまり高いのは買えないけどな」
歳之の目の前には、あこがれのギターが並んでいた。
欲しくて仕方がなかったが、働き詰めの母と兄への遠慮からずっと口には出さなかった。
 
「何を言ってんだ、そんなお金ないだろ」
「お金はないが、青春時代ってやつは今しかない」
そう言って真司はなけなしの貯金を切り崩してギターを買ってやった。
 
翌日から真司は休みを惜しんで働いた。
そんな時、あおいから一本の電話があった。
 
 

真司が生まれてから人生を全うするまでを連載小説として描いていきます。

<続く…>

<前回のお話はこちら>

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