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TOMONGA. 柴田 朋

リンネノート

TOMOMGA.の名義でファッションやライフスタイルのフィールドを中心に、スタイリスト、クリエイティブディレクター、コミュニケーションディレクターなど一つの肩書にとらわれず活動をしている柴田朋さん。
ZINEの発行やSNSでの発信も積極的に行っている。

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公園のそばにある朋さんの自宅。
真っ先に目に飛び込んでくるのは、開放感のある大きな窓から見える、生い茂った緑の木々。
部屋のあちこちには、好きなものを大切に集めてきたと感じる花瓶やキャンドル、ランプシェード、ラグがある。

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バーニーズや百貨店に通い詰めた学生時代

ファッション関係の仕事をしていた両親のもとで育った朋さんは、高校卒業後、文化服装学園で靴作りを学んだ。

「当時はマノロやルブタンが本当に美しいものを作っていた時代で、百貨店やバーニーズなどに通っては、いつも眺めていました。」

簡単に手が届く値段ではないけれど、お店に足を運んではそれらを眺めているうちに、どんどん目が肥えてきた。

買えなくても気になるファッションは、雑誌を切り抜いてスクラップしていった。
やがてそのスクラップブックは何冊にもなり、今も宝物のように大切にしている。
特に雑誌SPURの乗松美奈子さんが担当する特集が大好きだった。

「今でもこれを眺めていると元気が出てくるんですよ。」

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自分の好きなものをスクラップブックに集めていく作業は、やがて自分がどんなファッションが好きなのか、自分軸の輪郭を際立たせていった。

大好きな服を売り、やがて作ることに

卒業後はバーニーズの販売職として働いた。
服の知識が活かせる天職だった。

実家暮らしだった朋さんは、給料から貯金を天引きし、残りのほぼ全てを服につぎ込んだ。

それでも手取りの中から買える服は限られている。
やがて自分が欲しいと思う服を、工場にオーダーして安く作り、自分で着るようになった。

当初は職場には内緒にしていたが、やがて業界関係者にも口コミが広がり、もう隠せないと上司に相談することに。
そして、しばらくの準備期間を経て、自分のブランドとして独立することになる。

服が好きすぎてやめた自分のブランド

会社化してスタートしてみたものの、利益を上げることはなかなか難しかった。
服が好きすぎて、生地の品質へのこだわりを諦められなかったからだ。
原価をかけすぎてしまい、利益がでない。

マーケットに合わせて服を作った。
過去最高の売上となったが、それはもはや朋さんが自分で着たいと思える服ではなくなっていた。
服地や材料の単価を落とさなければやっていけない業界構造が、そこにはあった。

やがて、一緒に会社をやっていたメンバーとの関係も悪化し、会社を畳むことにする。
朋さんは、好きだからこそもう服を作ることには関わらないと決心する。

稼ぐことと発信を分けて考える

会社を閉じたあと、自分には何ができるのかわからなくなった。

何をしてよいかわからないまま、友人たちと一緒にシェアオフィスを借りる機会が訪れる。

それまで経験の無かった衣装スタイリストや、百貨店のイベント企画、ビューティーメディアの編集企画、大手アパレルメーカーのブランド監修など肩書にこだわらず何でもやるようになった。

そうして数年が過ぎた頃、朋さんは再び立ち止まって自問自答する機会を得る。

トップクライアントだったアパレルブランドの仕事が立て続けに終わることになったのだ。
服は好きだけれど、関わっていたブランドの仕事が本当に好きだと言えたのだろうか。

服作りには関わらないと決意してから10年。

やっぱり服が大好きで、それを切り離すことは出来ないとわかったが、依頼を受けた仕事に自分の価値観を重ねることは難しい。

改めて考えてみた結果、収入を稼ぐ仕事と、自分の好きなことを発信することは分けて考えるようになった。

大切にしている服だからこそ仕事とは別にInstagramやnote、ZINEなど、ファッションのことを発信する場を設けた。

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STAY HOME中に生まれたリメイクシャツ

10年以上前に買ったハイブランドのシャツは、腰に巻いて着ることも多く、脇の部分が傷んでしまっていた。

「ずっと補修したいと思いつつできていなかったけど、とにかく時間があったじゃないですか。」

と、STAY HOME期間に傷みの補修だけでなく、刺繍によるイラストも加えてリメイクすることにした。

『歯医者行けないな、薬も取りに行けないな、恋人たちは会えなくなっちゃうのかな、ディズニーランド休園なのかー』

その時考えていたことや、聞こえてきたニュース、そこからインスピレーションの湧いたことをシャツに刺繍していった。

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「仕事もできなかったから、アウトプットが足りてないなって。」

朋さんはそういったSTAY HOME中に取り組んだことや、日々のコーディネート、琴線に触れたものなどをInstagramに投稿し、ZINEにもまとめた。

フォロワーから寄せられるファッションの悩み

「どうしたら、みんなと同じ服を選ぶのではなく、朋さんのように自分に似合う長く着られる服を選べるようになりますか?」

20代後半から30代前半くらいの女性が多いという朋さんのフォロワーからは、今のファッション業界の横並びのトレンドや商品サイクルに疑問を感じ、良いものを長く着られるような服の選び方についての相談メッセージが寄せられる。

少し価格が高くても、ちゃんと共感できるブランドから買いたいという人が増えてきた。

「今のファッション業界の商品サイクルは終わっていると思っていて。」

毎シーズン、トレンドを追いかけ、これを着れば正解というアイテムを業界が作り出す。
その結果どのブランドも同じような商品が店頭に並ぶ状況についてそう語る朋さん。

自分軸を見つけて服を選ぶ

自分の好きなもの、似合うものを自分自身が知ることで、服選びも世の中のトレンドに惑わされず選ぶことができる。

「たくさん試着して、たくさん失敗して、そうしてだんだんと似合うもの、好きなものの自分軸が見えてくるから。」

「着なくなってしまった服は、なぜ着なくなったのか考える。
そうすると流行っているスタイルだとしても、似合わない色や形のものには手を出さないようにと判断できる。」

朋さんに、どうやって服を選んだらよいかの助言を求めるとそうアドバイスしてくれた。

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インタビュー中に出てきた“自分軸”という言葉。
自分の本当に好きなものを信じ、それを認めることで自分軸がはっきりしてくると、やりたいことをやる勇気が出てくる。
そこで見つけた大好きなものは、自然と大切に使い続ける気持ちも生まれるし、周りのひとにもその気持が伝わってハッピーな循環が生まれる。
尽きないトークの中で、そんな思いが湧き上がるインタビューだった。


取材:新野文健 小島幸代
文:新野文健


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