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全女子に告ぐ。溜まっている郵便物からアレを探せ。


なんだっけ、アレ、ほらアレだよアレ!!
アレを探してほしいのよ!!
市区町村からのがん検診のお知らせ!!!
と、言うわけでクソ面白くもない超実話で申し訳ないですが、
24歳の女子が何の気なしに行ったがん検診に引っかかってビビり倒したお話をしていきます!!

起:「え、ひとえさんがん検診受けたことないの?嘘でしょ?」

そもそもわたしは生理が重く・長く・不順であるという三重苦を受け、
17歳から低容量ピルを服用していたので
オッドアイのおじいちゃん先生に薬を出してもらったり、
定期的に血栓ができていないか調べてもらったりしていた。
そのため婦人科に行くことに抵抗はないし、面倒くささも感じはしない。
ここまでが前提。
ハタチを超えてから偶数年で区役所から『無料でがん検診受けれるから受けてね』
が届くようになっていたのは気づいていたけど、
いや、婦人科に抵抗はないけど、おじいちゃん先生に視診してもらうのは
流石にえぇ...恥ずかしい...となるのだ。
試しに日本医師会のホームページを見てみる。
ふむふむ、問診、視診、細胞診、なんとも支点力点作用点みのあるリズム感で
絶対に恥ずかしい体制でやるやつやーん。となるようなことがつらつら。
やーめっぴ。無料でもやだ。

そして24歳、ピルをもらいにいつものクリニックに出向くと
いつもの診察室には30代前後の綺麗な女医さんが座っていた。
「あれ?いつもの先生は?」聞くとどうやら学会らしい。
へぇ、おじいちゃん先生でも学会なんて出るんだ(失礼)なんて。
いつものように調子を聞かれ、ちょっとした世間話もし、
そろそろお暇、なんて席を立とうとしたその時に、
女医さんがわたしの歳に目を止めた。
「あら、ひとえさん今24歳?がん検診は他の病院で受けたの?」
おそらく診察の履歴に検診の旨が見当たらなかったから
こういう聞き方になったのだろう。
「いえ、受けてませんけど。ちょっとめんどくさくって。」
ヘラヘラと言う私に女医さんが真面目な顔で向き直った。
「まさかとは思うけど、検診受けたことないの?」
「はい、ないですけど。」
きます、見出しです『え、ひとえさんがん検診受けたことないの?嘘でしょ?』
女医さん呆れ顔。
「来週中に受けに来なさい。無料だから、わかった?」
「は、はい。」完全に気圧された。
受付でしれっと予約を取り忘れようかとも思ったが
「先生から来週の予約を取るようにとのことですが、いつがよろしいですか?」
しまった。先手を打たれた。

承:『中程度異形成のため要精密検査』って・・・は?

検査の日は大雨だった。うっわ行くのやめようかな。
あの美人な女医さんが頭にちらついて渋々支度をして検査に赴いた。
結果的に言えばただアソコに太めの綿棒突っ込まれてグリっと細胞採取されるだけなので別に痛くないし、当たり前にカーテンがついているから
あんまり恥ずかしくはない、と思う。
検査結果は2週間でご自宅まで郵送します、と受付のお姉さんに言われ、
ここまで所要時間30分。
喉の小骨を取る、と言う意味で有意義でした。ちゃんちゃん。
・・・の、予定だった。わたしの中では。
ぴったり2週間でそれは自宅に送られて来た。
『中程度異形成を認める。要精密検査。』
ん?んん?
『要精密検査』
ホォん。変な声が出た。
慌てておじいちゃん先生のクリニックに電話をかけると
その精密検査とやらは大きい病院に行かないとできないらしい。
大ごとだなあ。と他人事のように思った。
どのみち紹介状を書いてもらうのに受診する必要があると言われたので
その日中にクリニックを訪ねた。
「いいですか、ここを出たらすぐに病院に電話して予約を取るか、
 次の休みの朝一で行って診察してもらってくださいね。絶対ですよ。」
流石のわたしも茶化す気になれなかったので、黙って頷いた。
次の日がたまたま休みだったので、朝8時半に大学病院の産婦人科に出向いた。
「いま受付していただいて、ご案内が早くて11時半頃になりますが、」
申し訳なさそうな声で受付の女性がいうが、こちとらググってから来ている。
「大丈夫です、待ってます。」
あらかじめ分厚い文庫を持って、駅前のスタバでちゃっかりラテも買って、
喫食可能なオープンスペースで3時間ほど暇を潰し、診察を受けた。
「今日、精密検査しちゃっていい?生理じゃない?」
はじめましての女医さんの軽やかさに、心のうちでえぇぇぇ、と慄きながらも
二度来るよりマシか、とお願いした。
「クスコでちょっと広げてから、ライトみたいなの当ててちょっと子宮口切るからね。」
はい????いま、なんと????
「あ、大丈夫。子宮口に痛覚はないから。」
嘘つけ!!!!!
と、口に出すわけにもいかず頷くしかなかった。
内診台に上がってから急に手汗がだくだく出て来た。
「じゃあ、切りますね〜」
美容師かな。ノリが軽いな。
バッチン!大きめの爪切りの様な嫌な音がした。
血の気が引くと同時に、ふと太ももに冷たさを感じた。
「はい、おしまい。じゃあ血液拭いていきますね。」
粗めのガーゼの様な物が太ももに触れた。
あ、このわたしの足をダラダラ伝うのは血液だったのね。
気づいた瞬間に震えてしまった。ダサかった。
タンポンを押し込まれて診察室に戻ると
「1週間で結果出ますから、来週来てください。」と軽やか先生に言われた。
その時は流石に、自主的に次週の予約を取った。

転:『不要不急の手術』というパワーワード

「結果から申しあげると、手術になります。」
こんなにもパンチのある『結果から申し上げる』やつははじめてだった。
それは1週間後の診察室だった。
結果は6時の方向と11時の方向の高度異形成と記されていた。
「先生、これわたしから見て6時ですか?それとも先生から見て6時ですか?」
気が動転した挙句、こんな素っ頓狂なことを聞いた。
気が動転していたので、答えは覚えていない。
「円錐切除と蒸散術とあるのでどっちにするか術式は次までに考えて来てね。」
わたし、医学部出てないんですが。
もちろんそれぞれのメリットは教えていただいたわけなんですけど、結構右から左なんですよ。
「え、わたしがんってことですか?」
となかなかにドラマティックな台詞まで吐いてしまったけども
どうやらそうではなくがんになっちゃう前にその「異」形成しちゃってる細胞を
ポイしちゃおうねってことらしい(IQ2)
「あなたピル飲んでるよね?1ヶ月休薬しないと手術できないから、来週術前検査して、ちょうど今日からひと月後の5月6日に2泊3日で手術しましょう。」
言われたことほぼ全てにただ頷くだけ頷いて、術前検査の予約を取って帰宅した。
自分が一番よくわかっていないのに、家族に説明するのが一番メンタルを削がれた。

そしてそこから1週間後の術前検査の時のことだった。
不要不急の手術をしないように、というお達しが出たので手術は無期限に延期になります。」
最近話題のこのワードがまさか手術にまで適用されるとは。
「え、いらない手術する予定だったってことですか?」
しまった、嫌味っぽくなりすぎた。
奥でパソコンを打っていた事務員が目線をあげて、わたしを一瞥して、またキーボードを見た。
「急、ではないということですね。」
先生がわたしには目もくれずそう言った。
「じゃあこのコロナショックが落ち着くまでは全く何もしないってことですか?」
「そういうことね。術前検査も一旦延期しましょう。手術から1ヶ月以内の検査でないと術前検査の意味がないので。」
淡々と説明されているときに、思った。
おじいちゃん先生に内診されるの恥ずかしいなぁ、とか
わざわざこのためだけに受診するのめんどくさいなぁ、とか
雨の日に病院行くのかったるいなぁ、とか
わたしだけの感情じゃない。
これ、全国の女の子たちみんなの心にちょっと住んでる感情だ。
でももうちょっと早くキッカケがあれば。もうちょっと早く認識を改められば。
別にがんじゃない。がんじゃないけどがんになっちゃうかもしれない。
胸の内で呟いた時
「がんになれば手術の対象になるんだけどね。」
軽やか先生がどういうつもりかそううそぶいた。

結:コロナの終わりに(マチネの終わりにの発音で)

4月と5月のことは皆様大変ご苦労なさったことでしょう。
医療従事者の方はじめ、ありとあらゆるリモートワークが困難だった皆様
まだ余波はあるでしょうが、ひとまず、本当にお疲れ様でした。

総合窓口の回線はまだまだ繋がりにくく、
気を利かせた受付のお姉さんが産婦人科の窓口の直通番号を教えてくれなければ
1時間は電話口でパッヘルベルのカノンを聞くことになっただろう。
「高度異形成の蒸散術が延期になっているんですが、手術は再開になりましたか?」
ドキドキしながら電話口で尋ねると、お待たせしてすみません、と
申し訳なさそうな声の後に「順次再開をしておりますので、ご予約を・・・」
受話器を少し離して長めの息を吐いた。この2ヶ月吐けなかった息だった。
早くて6月の第1週目の金曜日だと言うのでその日にしてもらった。
終わった!!!
叫びたくなった。正確にはようやく始まった!!!んだけど。

この度の情勢がなければ延期になってハラハラさせられずに済んだのかと思うと
気持ちは複雑なのだが、(厄年かと思って調べたけど違った)
でもこんなことに巻き込まれておらずにすんなり手術しちゃってたら
わざわざこんな約4,000字も使って全世界的に発信しようとは思わなかったし
なんならわざわざ賞レースに出そうとも思わなかったという点では
とても有意義な経験・・・なわけ!!!!!
いいですか、そこの女子!!!
郵便ポストがいっぱいなら全部出してきてください。
市区町村からの手紙を開けてないなら開けてください。
少しの負担で検査できるところもあるし、なんならわたしみたいに
偶数年なら無料のところもあります。
せっかく住民税納めてるんだから、検診受けよう?
1日無駄になるかもだけど、内診台恥ずかしいかもだけど、
わたしなら大丈夫、はナイから。
みんな全然中等度異形成も高度異形成もがんもありえるから。
考えたくないけどコロナ2波が来たらまたみんな延期になるから。

検診、受けて。
経験者からの、お願いね。


来週やっと術前検査。2ヶ月越し。
入院&手術もどうせ色々起きちゃうんだろうからまたnote書ーこうっと。



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