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2023.2.19 J2 第1節 FC町田ゼルビアvsベガルタ仙台 レビュー

シーズン明けましておめでとうございます。

ワールドカップの影響のため、例年よりも早くオフを迎え、長かったシーズンオフを終え、ようやく開幕を迎えましたと。

開幕戦はホームにベガルタ仙台を迎え、このタイミングで対戦するのはもったいない気もするが、プレシーズンがJ1チームとの練習試合のみだったことを考えれば、良い腕試しと言えるカードとなった。

今回は、黒田剛監督率いるチームが攻守やトランジション(攻守の切り替え)においてどのような振る舞いを見せたのかを見ていく。

スタメン

町田:4-4-2、仙台:3-1-4-2

攻撃

まずは攻撃から。

守備からでも良かったんだけど、派手さに欠けるかなと思ったので攻撃からで。

ビルドアップ

基本は池田、チャンミンギュのCBと下田、髙江のCHの4人で組み立てていく。この4人がペナルティエリアの幅でポジションを取っていくことが基本的な形。縦で出し入れするよりかは左右に相手を揺さぶって、フリーの選手や前向きでパスを受けれる選手を探していた。

試合の流れによっては、右SBの奥山政幸が最終ラインに落ちて、髙江が右サイドに開くことも何度かあった。また、試合が相手ペースになったり、相手が選手交代などをすると、様子見のためか下田が最終ラインに落ちてSBを大外のレーンに配置するパターンも見せた。

ビルドアップ

上記のように、今年の町田はかなり流動的な立ち位置を取ることが分かる。

また、この試合の相手である仙台が、ハイプレスを仕掛けてくるのではなく、センターライン付近を頂点にしたブロックを構えたことから、サイドで詰まったりすることなく、スムーズにビルドアップが行えていたと思う。

ペナルティエリア付近までの侵入方法

様々な媒体から今シーズンはサイドチェンジに取り組んでいるのは分かっていたがここまで多用するとは思わなかった。

ということで、両サイドのエリキ、平河の質的優位を活かすため、頂点のデュークを活かすためのクロスを上げるための大外から大外のサイドチェンジが前進の方法だった。

サイドチェンジといっても2パターンあって、最終ラインを経由するパターンと直接長いボールを入れてサイドを変えるパターンがあった。だがどちらも左から右が主であった。

これはエリキは選手間の距離を近くした方が活きるというのと、平河のスピードや1対1にチームとして自信を持っていたことの現れだろう。サイドチェンジがダイレクトに平河に飛んでくこともあれば、奥山政幸から垂直にパスが入る場合もあった。

この試合の平河と相良のマッチアップはかなり見ごたえがあった。

ボールサイドにデュークと髙橋大悟が寄り、相手もそれに合わせて近づいてくるので、必然的に逆サイドに大きなスペースができると。

髙橋大悟はフリーマンのような動きで、時にはCHの位置まで降りてボールを引き出したり、サイドに寄っていって逆サイドに展開するなどかなり運動量が要求されるタスクを課されているなと思った。彼の左足を活かすならばもう少し工夫が求められそう。

フィニッシュワーク

ゴールやシュートまでの形はショートカウンターを除けば、右サイドからのクロスの形が多かったように思える。当然、右サイドから攻撃を組み立てているので、平河や奥山政幸のクロスが多くなる。

ここでは敵陣深くまでボールを持ち込んだ平河が相手を引き寄せて、その後ろでフリーになった奥山政幸のクロスという形が多かったが、クロスの精度だったり、クロスへの入り方がまだ整備しきれていないように見えた。

とりあえずデュークをターゲットにするのが目的になっている感は否めないし、守備も含めて全体的にデュークへの依存度が高いのは懸念材料。

後半になると、前半は自重傾向にあった平河が自分で仕掛けてグラウンダーのクロスを上げるシーンもあったが、中に入ってくる人数が少なかったので、シュートには至らず。

ということで、キャンプでじっくり守備を仕込んだ分、シーズン中の短いサイクルの中でフィニッシュワーク、パターンをどれだけ仕込めるかが今後のゼルビアの結果を左右しそう。

守備

守備は戦前の周囲でささやかれていたハイプレスではなく、4-2-1-3のようなブロックを敷いた守備であった。

ハイプレスはあくまでも相手PA付近のみで、奪えなくても足元の技術に長けているとは言えないGKの林に戻させて、蹴らせて回収という形が多かった。

仙台の3バック+アンカーのエヴェルトンの4人と同数の前線4人がマンツーマン気味でプレッシャーをかけに行くのだが、SHの背後、つまり仙台の両WBがフリーになることが多く、菅田からWBへのパスが目立った。

このフリーとなっているWBへはSBなどが無理に行くこと無く、もう一回ブロックをセットする時間を作るような間合いの詰め方をしていた。仙台のWBとしても無理に仕掛けて、背後にいるであろうスピードアタッカーを使われることを恐れたのか、無理に来ることは無かった。

ローブロック、つまり最終ラインがPA付近となったブロック守備では、かなり一人ひとりの責任が重いなと感じた。

これはつまり、チームとして1対1で負けない、奪いきることが前提となっていて、CBが持ち場を離れた時のカバーの意識が薄いため、奪えないとシュートまで持っていかれてしまうということである。

後半にチームとしての運動量が落ちてくると、中盤で入れ替わられてカウンターを受けるシーンもあったし、時間の経過とともに前線の帰陣も遅くなり、相手WBに運動量で上回られていたので、ここは交代のタイミングを速めて、相手を押し込む時間を長くしたかった。

また、仙台が遠藤康を投入すると、前半の髙橋大悟がそうであったように、フリーマンのように自由に動いていたので、町田の選手としては捕まえずらく、対応に苦戦していたように見えた。

稲葉投入後は若干マンマーク気味になったものの、完全に抑えられていたとは言えなかったかも。

個人的には荒木の投入をもう少し早くして、前半のようになるべく前でボールを奪えると良かったと思うし、荒木はそこのボールを追っかけるところが評価されている選手だとも思うので。

トランジション

ポジティブトランジション

ポジトラは奪ったらすぐデュークを見るのが徹底されていたと思う。

デュークを見て蹴れる状況ならロングボール入れるし、ダメでも両サイドが空いていれば、サイドのスピードのあるアタッカー2人を走らせて敵陣に押し込むことで試合を優位に運べていたと思う。

スピードは正義だなーと思ったけど、カウンターはまだまだ選手の即興感が否めなくて、個々の火力で押していたけどもう少し何とかできそう。

ネガティブトランジション

ネガトラは即時奪回ではなく、まずはブロックの構築のためにそれぞれの立ち位置に立つのが優先的だったか。

もちろん密集していて奪えそうなら奪うし、球際も厳しく行けてたと思う。

今後、ハイプレス、ゲーゲンプレスを見せるかどうかは次節以降に期待。

セットプレー

守備の時は池田とデュークの高さのある2人だけゾーンであとはマンツーマン、カウンター要員のエリキ含めてPA付近まで戻っていた。

攻撃の時は単純に高さ勝負で、デザインされたものは一切なかったと思う。これはロングスローも同じで、それだけ空中戦に自信があったんだと思う。

ただプロ同士で公式戦である以上は何かしら工夫が必要だと思う。

あと、これをセットプレーに含んでいいのかわからないけど、自陣でのスローインはマイボールであってもなるべく避けようとしていたように見えた。

相手のプレスを避けてかは分からないけど、必要以上にボールが外に出ることを嫌っていそう。

敵陣でのマイボールのスローインでは、他のセットプレー同様に、デュークの頭を狙って、フリックからの展開、疑似カウンターを狙っていたし、実際それで決定機まで行けていた。

全体的にそもそもの回数が少なかったので、もう少し数を見てみたい。数打てば当たると思う。


試合結果

2023.2.19
町田 0-0 仙台

さいごに

負けなくてほっとしている、やっぱりこのくらいならやれるよねと実際に試合を見て安心した自分と、あれだけ決定機があったのに勝てなかった悔しさが混ざった複雑な感情です。

アウェイにジャックされる野津田の光景も久しぶりに見て懐かしい気持ちにもなったり。ただ、コンフィが無くなって食べるものが無くなって悲しかったり。

4月から環境が変わるのでいつまで続くか分かりませんが、今シーズンもお付き合いのほどよろしくお願いします!

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