FC町田ゼルビア 2022シーズンレビュー

9月のアウェイ岡山戦の遠征レポートがちょいバズでした。読んでいただいた方々、ありがとうございました。まだの人がいたらぜひ。

さて、今回は我がFC町田ゼルビアの2022シーズンを振り返ろうと思います。ゼルビアは2019シーズンに相馬監督による長期政権に別れを告げ、翌2020シーズンにポポヴィッチ監督を招聘。「3カ年計画」と称し、ハード面の整備も含めてJ1昇格を目指していました。

結果は皆さんご存知の通り、14勝9分け19敗で15位という結果でした。最後10試合は勝つことすらできず、昇格争いからは早々に脱落してしまいました。

要因は編成の失敗や監督のマネージメント能力の欠如、一向に増えない観客とホームゲームでの雰囲気などなど数え切れないほどあるかもしれません。

ということで、今回は1つのストーリーに焦点を当てて、2022シーズン、そして「3カ年計画」を振り返ろうと思います。

こちらの答え合わせとしてもどうぞ。

失敗に終わった「平戸太貴と仲間たち」

私は、個人的にはJ1昇格を目指したこの「3カ年計画」に裏テーマがあると考えています。その裏テーマというのが、「平戸太貴と仲間たち」で昇格を目指すというもの。具体的に言うならば、平戸と同世代である東京五輪世代と呼ばれる25歳以下の選手たちを軸にした選手構成で昇格を目指すということです。

実際、強化責任者である唐井GMなんかはこのことを新体制発表会でオープンに話していたと思います。そのため、平戸がチームの核であり、その周りを同世代の選手たちが囲むという秩序というか乱してはならないバランスがあったと考えます。

今シーズンは、オフの移籍市場の動きが思ったようにいかず、お金はあるのかもしれないけど、選手が来てくれないという状況で、強化指定を含めても25人行くかどうかくらいの人数しかいませんでした。

サポーターとしては、岡田優希や土居柊太といった試合に絡んでいた大卒選手たちを契約満了にされてからのこの結果ですから、開幕前から期待もありつつ、不満もあるという心理状況だったと思います。実際、岡田優希はJ3の宮崎で得点を量産してますし。

今シーズンの編成が上手くいかなかった理由は強化部の見込みが甘かったというしかないでしょう。ポポヴィッチ体制になってから、平戸を中心に佐野海舟と髙江麗央の2ボランチなどある程度選手が固定されていました。コロナや東京五輪の影響を受けた過去2シーズンの過密日程においても、ひたすら同じ選手、同じユニットを使うことにこだわり続け、サポーターという立場から見ると、正当な競争が行われていないと思ってしまうほどでした(今シーズン終了時にはそれを匂わせる選手側からの発言も)。

しかし、このポポヴィッチ体制で行われた「3カ年計画」のすべては「平戸太貴と仲間たち」というストーリーの延長線上にあると考えるのならば、すべてに合点がいくと思います。

2020シーズンには廣末陸、小田逸希、髙江、吉尾海夏、安藤瑞季が加入。シーズン末で廣末、小田、安藤は退団してしまいましたが、安藤は指揮官が残留を望んでいたと言われていました。

2021シーズンには森下怜哉、夏に安井拓也と2人の同世代の選手たちを加入させるとともに、高橋祥平や長谷川アーリアジャスール、太田修介、ドゥドゥ、鄭大世など平戸中心のバランスは乱さずもチームの力になれる選手たちを補強。この年は5位と躍進。計画の最終年である2022シーズンに期待してしまう一方で、限界が見えつつあったシーズンでした。

2022シーズンは昨シーズンの主力選手への慰留に時間を要したのか、主な新加入選手はポープウィリアムや岡野洵、翁長聖、山口一真、ヴィニシウス アラウージョなどJ2である程度実績のある選手を補強できたものの、平戸、佐野、髙江といった主要メンバーを脅かせる選手たちではありませんでした。

また、結果として補強ポイントである、主力級のボランチと吉尾海夏の穴を埋めるアタッカーは獲得することができませんでした。おそらく、オファーを受けた選手は3年目で完成されつつあったサッカーに飛び込むことや指揮官のお気に入り選手が贔屓されている状況を避けたものと考えられます。

また、懸念点として上記2つ以外にも、SBの人員不足、FW陣の高齢化という問題もありました。

結果、これらの懸念はすべて悪い方向にいってしまい、ボランチは佐野が腰痛でシーズン後半戦を棒に振り、その代わりの選手として期待された高卒新人の宇野禅斗もJ2の強度に慣れたところで骨折により離脱。アタッカーでは山口は負傷により度重なる離脱、平戸もコンディション不良により数試合の欠場後は以前のようなパフォーマンスができなくなってしまいました。SBは三鬼海が負傷により、ほぼシーズンを欠場。夏の市場で地元出身の太田宏介を獲得も、戦力化に時間を要しました。FW陣ではJ1昇格に欠かせない、2ケタ得点者は現れず、ドゥドゥ、鄭大世、ヴィニシウスがほぼ均等にプレータイムを分け合うこととなりました。

これらはすべて強化部の見込みが甘かったという結論でしかないと思います。当然、ほとんど試合に絡めなかった若手選手もいましたが、プロである以上、ある程度試合に出場できる基準があるはずで、それに達することができなかったということでしょう。

以前より、ABEMAの『ゼルつく』内で、クラブのオーナーである藤田氏(12月1日より代表取締役社長兼CEOに就任)は「お金は出すからいい選手がいれば取ってこいと言っている。バランスを気にしてか向こうがお金を使わない」的な発言があったと記憶しているので、おそらく強化部は上記で述べた、平戸を中心にしたチームのバランスを崩さないように選手獲得を進めていたのでしょう(ウタカの話が流れたのもこれが原因なのかなー)。

また、2021シーズン限りでキャプテンを務めていた水本裕貴が退団し、正式にキャプテンを任された平戸。彼は、鹿島のアカデミー育ちだからなのか、市民ホールで行われた新体制発表会の時からちゃんと喋れる選手という印象でした。それは今も変わらずで、キャプテンという立場からか、試合後のコメントでは敗戦の責任が表情や言葉に表れており、見ている側としてはしんどかったです。

果たして、彼にここまで色んなものを背負わせてしまってよかったのかと思ってしまうほどに。

終わってしまった今では遅いですが、もう少し色んなものを分散させてあげることはできなかったのかと考えてしまいます。当然、負けが続くとチームの雰囲気は悪くなるものですが、これを改善することができず、雰囲気の悪さがピッチ上にちゃんと目に見える形で出ていたのも悲しかった。いなくなって分かるミズさんの偉大さたるや。

だからこそ、ピッチ内でもそうだけど、ピッチの外でもチームに貢献できる選手、特に強いリーダーシップのある選手をチームに残すべきだったのか、新たに獲ってくるのかは分からないけど、今シーズンには必要なピースだったと思います。

やはり若いチームだと一度崩れると立て直しに時間がかかるというか、立て直せなかったので、そういう成功体験がある選手にいて欲しかったのが本音です。もがき苦しんでいたけど、何もできなくて苦しいだけみたいな。最後の数試合はもう監督が戦うことを放棄してるんだから仕方ないんですけど。


ということで、色んな意味で「平戸太貴と仲間たち」のストーリーは失敗!終了!
ただ、選手たちの責任というよりかは、その周りにいるおじさんたちの責任の方が重い気がします。

ここまで色んな事を述べてきましたが、これらの結果が、15位という数字に表れていると思います。最後は色んなところが機能不全に陥っていました。そして、その責任を取るように監督、コーチ、フロントスタッフのほとんどが退団することになりました。この冬は、チームが、クラブが大きく変わることが予想されますが、今まで通り、変化を楽しみながら、週末の結果に一喜一憂するサポーター生活を楽しんでいきたいと思います。


今回もお読みいただきありがとうございました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?