茶屋いっぷくへようこそ 酒池肉林檎-春の覚え2023-
GWも終盤。5月6日、土曜日。天気は雨。
今年は桜につづき、りんごの花も超がつくほどの早咲き。
なんとか持ち堪えてくれ〜と祈る日々でしたが、花のことばかりを気にかけていたからでしょうか、お天道様は振り向かず。
「わたしをおざなりにするんじゃァないよ。」
と言わんばかりに、前日の夜から延々と降りつづく雨。
りんご畑での時間を楽しむ酒池肉林檎。
長い冬が明け、春は畑でお花見をしながら茶の湯をするぞー!っと意気込んだものの、前回の芋煮と同様、畑での開催が叶わず…。とほほ。
と、いうわけで。
今回は石川公民館をお借りして、「茶屋いっぷく」を実施しました。
茶の湯、というとなんだかお堅いカンジ?お抹茶と和菓子をいただくのだろうけど、ちょっと敷居が高そうだワ。お作法とか求められちゃったりして。
ええ、ええ。そんなイメージも浮かびますよね。
しかし今回はもっともっとフランクに、「喫茶」の「茶」的なイメージで茶の湯を解釈してみました。
飲み物はお抹茶のほかに、自家焙煎をしている「メメント・モリ」、ヒビノス林檎園のりんごジュースなどを。
お茶菓子は、りんご畑の位置する弘前市石川にちなみ、津軽あかつきの会さまから「雲平(うんぺい)」を、お菓子処むらかみさまから「津軽とうふ」をご用意いただきました。
なんと今回の飲み物には、これまた弘前市石川にある「御茶水」から汲んできた湧水を使用しました。
屋内だろうが関係ない!畑だと思って会場をつくっちゃえ!
ってなわけで、畳の敷き詰められた大広間にテントやらハンモックやらも設置。公民館に備え付けのトランポリンも発見。ラッキー。
このようにして、ぬるりゆるりと茶の湯がスタート。
さて広間を見渡すと、それぞれの時間を過ごすひとびと。
*
お抹茶を飲み込んでほっとひと息。結構なお点前で。
雲平をひとくち。津軽とうふも。お、コーヒーに合う。
ごろりと畳に寝転び、旅の疲れを癒す。
怪しげ(?)にふくらみを帯びるハンモック。ごそごそ、もぞもぞ。
トランポリンに揺らぐ。
木箱から一冊を手に取り、熱心に読み込む。
UNO!の響き。ローカルルールに戸惑う。
テントから覗く、ちいさな手。縦横に走るファスナーがお気に入り。
ハンモックにかわされ、しりもち。
止まないなぁ、雨。
公民館の職員さんがいる部屋をチラ見。
公民館探索。へー。
ポスター談義。深読み。
メメント・モリの呼吸に息をあわせて。雨とともに、ドリッパーから滴るのを眺める。
フォークじゃお茶は点てられないのね。
目新しさと懐かしさが入り混じる調理室をキョロキョロ。学校の家庭科室のような風合い。
雑談。
一眼レフのシャッターが切れる音に耳を澄ます。
句会。筆致にその人の一面が感じられるね、と交わす。
自分の一句をデコる。こだわる。
談笑。
あ、また寝てる。
打ちひしがれる、UNOの敗北者。
ちょっくら、いつもの畑へ。
またね、またね。お土産を手に。
*
少ししんみりした空気の混じる片づけ。
公民館の館長さんがやって来て、コーヒーおいしいねぇ、なんて話題を皮切りにちょっくら語らいながら。
楽譜でいうところのデクレッシェンド的な様相で、茶屋いっぷくはおだやかに幕を下ろしました。
GWというと、どことなく忙しない感じが世間を覆います。せっかくのまとまった休みに向かう意気込みとも言えましょうか。そうした勢いをもっているように思えたりもします。
いっぽうで畑で茶の湯はというと、もしかしたらそうした心意気にこたえられるものとしては、どうしても頼りなさがあったんじゃないかしら、とも。企画しながら、そんな一抹の不安と焦りも覚えました。
さて来たる当日。
茶の湯のようすを眺めて、そんな思いはスタコラサッサと遠くへ旅だったのでした。
日々の歩みも、いっぷくが大事。
そんなわたしの小話にて、本記事の〆としましょう。
へば、また。
Writer:ささきりの