見出し画像

農家から直接買うということ。

農業で、果樹を栽培し、果物を出荷/販売していると、
直接、近隣の人から、「りんごを売ってくれませんか?」と連絡をもらうこともあります。

地方紙には、りんごの市場での取引価格も載っています。
ある、地元や近郊の消費者には、その取引価格程度で売って欲しいと言ってくる人がいたりします。

あるいは、市場に出すような品質のものでなくていいので、
安く売って欲しいという人もいます(もちろん、市場価格以下で)。

残念ながら、生産者として、そういう方には販売することはしていません。

そもそも、市場出荷価格は競り(せり)で決まるものです。
こちらの生産原価は関係なく、出荷価格は決まっていきます。
近年、りんごの市場価格はそこそこ高い価格で取引されていますので、
生産原価を割るということはありませんが、それでも「ミズモノ」だと感じています。

また、市場出荷の場合には、収穫→選果→出荷と、ある程度効率的な作業の流れがあります。その一部(少量)を売るとなると、分別、梱包の工程が増え、工数がかかります。
大量に取引してくれるのであれば話は別ですが、少量では市場価格程度での販売をすることはできません。

問合せいただいた方には、「何10箱(数100kg)欲しいですか?」と、ある程度の物量での取引であることを暗に伝えるようにしています。

「そんなにいらない、少しでいい」
といいますが、「少し」であるほど、安く販売することはできません。
また、こちらの適正価格である金額の提示(市場価格より高い)をすると、
「高いなー」と言われ、「ボロ儲けしている」と思われるのも嫌なので、
基本的には、そういう販売方法はしていないのです。

農家から直接であれば、規格外品(キズモノ)は安く買えると思っている人も多いかもしれないですが。
もちろん、スーパーで買うよりは安くは販売することはできますが。

生産者が思う規格外品と、消費者が思う規格外品の基準は違うし、
価格に対する考え方も違います。
初見で、安く買おうと問合せするよりも、まずその農園がインターネットや軒先販売、道の駅等で販売しているのであれば、その値段をみて、
直接やりとりするのでも、その値段程度での購入からスタートするのがベターだと思います。

「安く買いたい」目的だけの人は、いい気はしないですし、
「安くしてくれませんか?」という価格交渉も、自分の作ったものを価値がないと見られているような気がして、モチベーションがあがりません。

せっかく、直接やりとりするのであれば、お互い気持ちよく付き合いたいし、できれば長い付き合いになれればと思っています。

本日はここまで。
最後まで読んでくれてありがとうございます。
農業に少しでも興味をもっていただければ幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?