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無農薬だから美味しい!?

「無農薬だから美味しい」
ネット上では、このような情報があったりします。
また、農薬あり・なしで味を検証した結果、
無農薬の方が美味しかった、という結論のものもあります。

生産者として、フラットな意見としては。
「無農薬と美味しさには直接的な相関関係はない」
と思います。

え?でも、無農薬のほうが美味しかったんだけど?
それはあながち間違いでもないとも思います。

どういうことかというと。
農業というのは、自然の力を借りて、栽培、生産します。
自然の力というのは、不安定で、複数の要素が絡んでいます。
気温だったり、天候だったり、病害虫の発生だったり、
たくさんの要素が関わっています。

農薬を使うということは、その要素の振れ幅を低くする効果があります。
逆に農薬を使わないということは、たくさんの要素に影響を受ける可能性が高くなるということです。

農薬を使わない分、土を作ったり、作物をよく観察したり、手をかけたり。
慣行栽培以上に「手をかけて」栽培しています。
細々(こまごま)と手をかけることにより、より良いものを収穫することができます。

ひとつひとつ手をかけた作物と、
手をかけなかった作物と比較すると、
手をかけた作物のほうが美味しいのです。
※ちゃんとした無農薬栽培に比べると、慣行栽培は労力は少ないです。

つまり「無農薬だから」≒「手をかけたから」美味しいという結果に
なると思われます。

また、「美味しい」という感覚は主観的で、
食べる前から「無農薬は美味しい」というフィルターで見ていると、
やっぱりそのような結果になると思います。

個人的な考えではありますが、「美味しい」への大きな要因は、
・美味しい品種であること
・熟期が適熟期に収穫されていること(未熟でもなく、過熟でもなく)
・食べごろの時期に食べること
 (追熟が必要なものは、追熟し、取りたてが美味しいものは新鮮なうちに食べる)

この要因に加えて、栽培方法があると思います。

栽培方法は違えど、より手をかけ、収穫期を間違わないものは、美味しいものになると思っています。

■■「無農薬栽培の作物は信頼できる人から」■■
昨今、いろいろな作物で、無農薬栽培のものがみられるようになりました。
これはこれですごい技術を要することで、すごいな!と感心します。

ただ、一方で、無農薬ということは、無消毒ということです。
棚に並んでいる「無農薬野菜」は本当に大丈夫な野菜なのか?
という疑問もあります。

10個収穫して、そのうち8個は病害虫の被害を受けていて、
2個が目視で被害がないから販売した、ということも考えられます。

例えば、
「自宅にて、チーズが10片あって、2片はカビてないから食べた。」
ということに似てるかと。
見た目被害がないとは思うけど、大丈夫かな?と思ってしまいます。

また、自分の携わる果樹では、耕作放棄地でなっている作物を収穫して、「無農薬栽培作物」として販売している人もいます。
この場合は、「手をかけていない」ので、美味しさは…なのですが、
「無農薬だから美味しい」と思っている人を裏切っているのではないかと思ってしまいます。

可能であれば、無農薬栽培は、誰が栽培しているか確認したり、
園地をみて、納得した上で購入するのがベターかと思います。

無農薬栽培にしろ、慣行栽培にしろ、
美味しいものを作って届けたいと思う生産者はいます。

美味しいものを食べたい人に、美味しいものを届けたい。
そのために、美味しいものを作りたい。
作るために勉強するし、トライするし、努力も惜しまなない。
生産者として、単純にそう思います。

本日はここまで。
読んでいただき、本当にありがとうございました。
少しでも農業に興味を持っていただければ幸いです。

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