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「テニスの王子様」を分析する

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Genius1(第1話)からGenius379(最終話)まで、1話ずつ取り上げ「テニスの王子様」のマンガとしてのおもしろさについて考えます。毎日更新予定。
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記事一覧

「テニスの王子様」を分析する(128):異なるふたり

顔(表情)に陰影が書き込まれず、あっさりとした線で描写される乾。 その乾と会話をしている…

ringo_no_sin
1日前

「テニスの王子様」を分析する(127):不一致が示すもの

忍足によって発声された「セリフ」はないものの、 跡部の言葉と、忍足本人の内言により心情が…

ringo_no_sin
2日前

「テニスの王子様」を分析する(126):意識を向けさせる

「スッ」という効果音を手掛かりに、読者は 桃城が上げた腕の先に目を遣る。 次のコマと、さ…

ringo_no_sin
3日前
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「テニスの王子様」を分析する(125):目と目を合わせる

菊丸と桃城が、目を合わせる。 そしてフキダシではない方法で、ことばを掛け合う。 清潔さ(…

ringo_no_sin
3週間前
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「テニスの王子様」を分析する(124):ボールが辿りつく先

向日が返した球が、菊丸の手と足の間を通り抜けていく。 ともにアクロバティックなプレーを得…

ringo_no_sin
1か月前
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「テニスの王子様」を分析する(123):言葉と顔

「こっちの奴」という言葉とともに、目の前で本人に向かって指をさす。 向日は、意図的に挑発…

ringo_no_sin
1か月前

「テニスの王子様」を分析する(122):大きく描かれる

ハチマキを巻いた桃城が、大きな学校旗を振る。 その姿は後ろからも、前からも描かれている。 正面の桃城はキリリとした表情ではあるが、よく見ると目の下にクマが書き込まれている。 前夜に応援のためのハチマキを自作するシーンがあり、その寝不足によるクマだとも読み取れるのだが、 この「応援に徹する」という態度に至るまでの葛藤も同時に感じられる。 レギュラーとして大会に出場したい気持ち、 しかしそれがかなわず、とはいえ受け入れるしかないという状況……。 眠れない夜であっても不思議

「テニスの王子様」を分析する(121):視覚的な間(ま)

手塚のフキダシの「不二は」という言葉のあとに、空白が続いている。 コマの左端にはチャイム…

ringo_no_sin
3か月前

「テニスの王子様」を分析する(120):気になる存在

コマの外から、リョーマの言葉がせり出してくる。 読者にとってはまだ馴染みが薄いであろう「…

ringo_no_sin
3か月前

「テニスの王子様」を分析する(119):相対的に小さい

山吹中、不動峰中の間を 青学テニス部部長の手塚と副部長の大石が 通り抜けていく。 この通り…

ringo_no_sin
3か月前

「テニスの王子様」を分析する(118):意識の向かう先

ついに、「推し」の登場するコマについて書くときがきてしまった!! 輪から抜け出すように、…

ringo_no_sin
3か月前

「テニスの王子様」を分析する(117):「え」と「あ」

物怖じせず、どんな人とも気さくに話す杏ちゃんが、思わず言葉につまる。 「え?」 「あ…」 …

ringo_no_sin
3か月前

「テニスの王子様」を分析する(116):動きを止める言葉

「ほっとけば」 という言葉が、フキダシからこぼれて 次のコマにまで、はみ出しているように見…

ringo_no_sin
4か月前
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「テニスの王子様」を分析する(115):不可逆の暗示

負けるつもりはない。 だからこそ「引き戻す!!」と強く思うのだが、そう思う直前にミサンガが切れる。 不可逆的な出来事(ミサンガが切れる)が描かれたコマと、「引き戻す」セリフのコマは対照的だ。真逆と言ってもいいだろう。 そしてセリフがなく「切れる」という出来事だけが描かれることは、なんらかの暗示のように思える。 一般的には願いが叶うといった幸運の予感とされるが、セリフ(引き戻す)と逆方向の出来事であるため、単純な幸運ではなさそうな予兆も感じさせる。 その後、「戻る」という