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メモの魔力の要約と所感

前田祐二 著

SHOWROOM代表の前田祐二さんが書かれた本です。2019年めちゃくちゃ売れたみたいですが、今読んでも全然遅くないです。メモすることの効能や、How to を綺麗に纏めてある良書です。心に残ったところや大事だなと思う点を中心に纏めていきたいと思います。

メモすることの効能

まず、本書で紹介するのは機械的なメモではなく、知的想像のためにメモである。普段、無意識に通り過ぎてしまいそうなことを言語化して記録する作業をメモと呼んでいます。

メモの効能は大きく以下の5つ
・知的生産性が増す
・情報を素通りしなくなる
・より深い話を聞き出せる
・構造化能力があがる
・曖昧な感覚や概念を言葉にできるようになる

メモを取ることで、上記能力が飛躍的に上がるが1番大事なことはメモを取る姿勢である。あらゆることにアンテナをはってそこから知的生産をしていく意識を持つことがとても大事。

具体的なメモの取り方

ノートは見開きで使う。スペースを埋めようとする脳の特性を活かせてアイデアが出やすくなる。次に、見開きノートに2本縦線を入れて4分割にする。それぞれに書くことは以下の通り。

◾︎左ページに書くこと
①ファクト(話の内容、心に残ったこと、客観的事実、キーワード)
②ファクトの標語(ファクト欄に書いたことをグルーピングして要は何の話かを纏める。キャッチーなネーミングしたり標語をつける。)

◾︎右ページに書くこと
③抽象化した要素(ファクトから導き出される真理やルールを書く)
④転用(その抽象化された真理をどう転用できるか書く)

つまり、ファクト→抽象化→転用、というフレームワークを回すということ。インプットしたファクトをもとに、気づきを応用可能な粒度に抽象化し、自らのアクションに転用する。これがメモの黄金ルール。

また、4色ボールペンで色分けするというテクニックもある。
色分けは、主観or客観、重要度の軸でわける。緑は主観的な意見、残りの三色は客観。黒は普段使いのファクトを書く、青はやや重要か引用参照など、赤は最重要。そうすることで、メモを見返して緑色が少ないと、主観が少ないな、とぱっと見の色で感じられるようになる。重要度を色分けすることで瞬時に重要性を判断する意思決定の精度をあげることができる。

具体から抽象に持っていく作業は誰しも普段実はやっていることだから、難しいことじゃないよ(^^) 具体の中からルールを見つけ出して、別の具体にそのルールを適用していく作業、これが知的創造になる。

抽象化するときの3種類のアプローチ

抽象化するときは、自分に「問い」を投げかける。その「問い」には3種類(what, why, how)があって、どの問いを自分に投げかけるのかが非常に重要。特にwhy とhowが重要。

what型は、目の前の状態や事柄を言い方を変えて表すアプローチ。例えば、「左と右」、は「反対」という関係、というふうに関係を抽象化するものと、空から降ってくる水の粒は雨という名前(物質)に置き換えるものがある。

how型は、どんな特徴なのかを深掘りするアプローチ。例えば、ポケモンにはモンスターごとに属性があって属性に応じて攻撃が増大するという特徴は、抽象化すると、相手に応じて攻撃方法を変える、となり、転用すると就職面接でも面接官によって話すエピソードを変える、となる。

why型は、2種類に分類できる。
1つは、ヒットした理由は何かを考えるアプローチ。例えば、低予算で無名俳優しか出てない「カメラを止めるな」がなぜヒットしたのか。抽象化すると、ヒットには落差が必要という法則(仮説)が出てくる。この場合、製作費をかけていないのに面白い、という落差がある。また、ヒットには共感が必要という法則(仮説)もある。この場合、製作費が低くても面白い物を作れるということを体現しているからみんなが共感して拡散している、と読める。転用すると、SHOWROOMのキャンペーンにも落差と共感を取り入れることができるかもしれない。
もう一つは、インサイトは何かを考えるアプローチ。ユーザーからSHOWROOMにアーカイブ機能の要望がある。抽象化すると全てのコンテンツを見逃さずに話題についていきたいというコミュニティ所属欲求や、演者とのコミュニケーション、応援欲求があるという仮説が出てくる。転用すると、アーカイブを作るのではなく配信後にまとめサイトにニュースがあがるようにしたり配信の見逃しを防ぐ。

how型とwhy型のアプローチは抽象化(メモの左に書いたファクトを元に右側にルールや真理を書き込む作業)を育むのに重要。抽象化とは具体的な事象の本質を考えることなので、ヒットの法則を抜き出すことができる。そのため、抽象化スキルをあげれば目標達成する力が飛躍的にあがる。
コツは、抽象化していく際には、再現性や汎用性を意識することが大事。また、解くべき課題を持っている人の方が効率が良くなるし、モチベーションも保てるので、ちゃんとアウトプットできやすい。

what型アプローチは言語化(ファクトを元に標語をつける作業)を高めるのは重要。人は、何を言うかより、誰が言うか、が影響する。まずは「誰か」にならないといけない。そのためには、熱量と言語化して伝える力が大事。直感は正しいこともあるけど、それでは周囲がついてこないから、言語化していく能力が必要。

自己分析にメモを使う

お金を持っている順に豊かという時代は終わり、これからは自分がやりたいことや美意識が明確な順に豊かになる。個で発信することが容易な時代に、どんな「個」が価値を持つか。オタク的にある事柄やジャンルを詳しく知っている、というだけではダメで、自分なりの視点が価値として認められる時代になる。例えば、古本は安いけど、孫正義が読んでマーカー入れた本は高く売れる、という風に。

自分を知るためには、自分に問いを投げかけまくる。その際にも、一つ一つ問いに対して、具体化と抽象化をセットで行う。例えば、著者の前田さんの長所は「圧倒的努力を可能にする熱量」で、具体例は「毎朝5時まで仕事してます」などのエピソード。これを抽象化する(インサイトを探る)には、なぜ自分はそんな努力できるのかと問いを投げかける。「圧倒的努力」の上位概念には「運命に対する憤り」があった。前田さんの家庭環境や貧困などの逆境に置かれている中で負けないと闘ってきた過去が影響していることがわかってくる。この「なんで圧倒的努力できるのか?」という問いで抽象化した本質を導き出すことが非常に大事。そしてそれを転用してどんなことがしたい、できるのかを書く。つまり、知的創造のメモとフレームワークは同じ。

この要領で、まずは100の問いに、取り組めばブレない自分の人生の軸はだいたい見つかる。

夢を叶えるためにメモする

夢を叶えるには、言葉にするというのは大事なこと。デジタルメモより、アナログに書くほうがこの場合はいい。ちなみに、言葉は潜在意識に刷り込まれるので、ネガティブなことはなるべく言わないようにしてポジティブな発言をするほうがいい。夢を言語化し、より強くくっきりはっきりとどうなりたいか、どうしたいかをイメージできるくらい、強く想えば、自然と仲間や必要な人が集まってくる。強く想うために、アナログにメモをして見返す習慣をつけるといい。

夢を見つける方法
やりたいことリストをブレストして書き出していって、4ランクぐらい優先度をつけてみる、つまり重要度で順位をつける。(重要度の付け方は後述)
優先度をつけるにはまず自分のモチベーションタイプを知る必要がある。モチベーションには2種類あって、はっきりした自分の軸から逆算してタスクを洗い出すトップダウン型と、自分がワクワクする度合いで目の前の面白そうなことに飛びつくボトムアップ型。
なので、自分がトップダウン型なら自分の価値観との関連度で、ボトムアップ型ならワクワク度で、重要度を決める。

ちなみにトップダウンとボトムアップのハイブリッド型もいる。ボトムアップのほうが人間味があってファンを集めやすくこれからの価値経済においては有利という考え方もある。

また人生を振り返って、ライフチャートを作ってみるのもいい。何歳の頃に何があって、何をしているときに感情が高まったのか、人生を俯瞰的に見てみることで、気づくこともある。このとき、コツは10歳以前とかの幼少期に目を向けると意外と自分の本質が見つかることが多い。

そうして立てた目標をスケジュールを組んで言語化して人に話す。その際、自分との約束は必ず守る。自問自答する時間や夢に向き合う時間をスケジュールに書き込んでブロックすること。

浮かびあがった自分のやりたいことが人に言えないことでもいい。モテたい、お金欲しい、名声ほしい、でいい。人の欲求は階層状になっているから、それらを叶えたら次の欲求が出てくる。

上記のいろいろな方法論が難しければ、とにかく書く習慣をつけることが大事。あなたも素敵なメモ魔ライフを!

【所感】

私はめちゃくちゃ読書家というわけではないのですが、今年一番刺さったビジネス書でした。なんで、こんなに刺さったのかなと、この本でも繰り返し言われているように内省して、自分に問いかけてみました。

で、浮かんできたのは、
・なんかすごくメッセージがまっすぐで誠実な感じがする
・実践してみたいと思っている自分がいる
という2つでした。

一つ目の誠実な感じがする、というのは、普段、ビジネス書を読んでいて、ここ曖昧だなとか、詳細書いたり明言することから逃げてる感じがするな、とか感じることがあるのですが、この本はそういった「逃げ」が一切感じられませんでした。曖昧なまま終わっている箇所が一つもなかったんです。(少なくとも私はそう思いました)また、「それでも夢が見つからない人には」とか「難しくわからない人には」、弱い人に寄り添う書き方がよく出てきます。読み手を想像していることがすごく伝わってきます。一方で、「量が質を生むというのは普遍的な真理」というニュアンスの文章がちょこちょこ出てきます。熱持っている人が結局強いとか、体育会系とも取れる書き方です。こういう泥臭さも随所に出していることが逆に人間っぽい魅力につながっている気がします。つまり、抽象化すると、人柄が文章に出ているから、ということかなと思います。

実践してみたいと思うのは、シンプルにメモの魔力の可能性を感じているからですね。昨日Amazonプライムでドラマを見ながら、メモを取っている自分に対して、シンプルに見て楽しんだ方がいいじゃないのかという疑問をもつ自分と、取ったメモに満足感を持っている自分が同居していますが、うまく同居生活を送りつつ、メモの習慣を付けていきたいと思います。


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