しびれる赤と青の共演
【文字数:約900文字】
マガジン4回目は森林を舞台にした、キノコのおたからを取り上げる。
上記のマガジンを作ったときは採取する場所として、海沿いの砂浜を想定していたけれど、「拾ったもの」という大きな括りで見れば森林のキノコも入ると考えた。
ただしキノコ類は落ちているのではなく、土壌や木材から「生えている」のであって、撮影だけに留めて採取していないことを明言しておく。
また、種類の確定については個人の見解であり、見た目の近い近縁種の可能性があることにも留意されたい。
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ヘッダー画像にしたのはベニチャワンタケモドキかと思う。
下記のような湿り気のある枯れ木に咲いた、鮮やかな赤い花のような姿に目を引かれる。
名前に「モドキ」と添えられているのから分かるとおり、本家のベニチャワンタケが存在しており、そちらの発生時期が春なのに対して、モドキは秋あたりに生えるらしい。
実際に見つけたのは秋だったし、小ぶりな見た目という点も特徴として合致している。
大きさは小指の先くらいながら周りの黒さもあいまって、紅いルビーが落ちているのかと錯覚しそうだ。
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お次は青いキノコの、おそらくルリハツタケだ。
まだ頭を出したばかりの大きさながら、緑の苔に囲まれた青の傘は、まるで空の落としものを見つけた気分になる。
漢字にすると「瑠璃初茸」、学名が「Lactarius indigo」とのことで、なかなか見つからない珍しいキノコだとか。
ただし見つけた詳しい場所は明かせないけれど、それほど山奥というわけでもなかったので、タイミングや環境による部分が大きいのかもしれない。
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スーパーなどで買えるシイタケやシメジなど、地味なアースカラーの印象が強いキノコだけれども、たまたまそれらが食用に適して人工栽培が可能だったに過ぎない。
今現在、私たちが食用とする作物は自然にあったものを食べやすく、育てやすく品種改良していった結果だ。
その中でキノコは好かれることの少ないカビの仲間で、そんなものを食用にしている人間の貪欲さには驚かされる。
食べられる食べられないはともかく、ひっそりと森林に生えたキノコを見つけた喜びは、原始的な感情と近いのではと思うのだった。
なかまに なりたそうに こちらをみている! なかまにしますか?