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それぞれのお遍路


生まれて初めて訪れたので
全く知識がないわたしでも
四国といったらお遍路で有名な事だけは知っていた

ちょっと特殊な白い衣装を着て
杖をつきながら歩いて回る
いわゆる「聖地巡礼」
みたいなイメージを持っていた

そんな時見つけたのが
高松にある喫茶店で無料で配布していた
お遍路について書かれた作品集

お遍路に興味があったわけではないが
表紙のイラストがノスタルジックな点に心惹かれ
持って帰ることにした

東京に帰りしばらくして
家の片付けをしていたら出てきた
お遍路についての作品集

とっても薄い冊子だったので
なんの気も無しに読み始めてみると

そこにはさまざまな人の
さまざまな理由がある
お遍路物語が語られていた

どうしようもない理由があって妻を殺めてしまった元受刑者

記憶の中にいる初恋の人を忘れられないおじいちゃん

幼い頃に生き別れた父親と再会するためにやってきた女性

十人十色
それぞれ違ったお遍路物語

同じなのは
みんな心に何かを引きずりながら
歩いていること

まるで人生そのものだと思った

戻れない過去に留まりながら
必死に前へ進もうとしていることが

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