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📕読書記録📕31文字に込めた先人たちの恋模様。

読書紹介記事を書く青沼りんです📗

今回ご紹介する本

『超訳百人一首 うた恋い。』
杉田 圭 著
株式会社メディアファクトリー
2010年8月14日 初版第一刷発行


『超訳百人一首 うた恋い。』は全4巻のシリーズ作品で、百人一首の中で恋をテーマにした和歌とその作者をマンガ形式でわかりやすく解説された1冊です。

百人一首とは、五•七•五•七•七の31文字内に収めた日本の古典短歌(和歌)を、古今東西100人の和歌を集めた全集のようなものです。

現在はカルタとして有名ですが、実はどうのような経緯で誰が誕生させたのかわかっていません。

なので本書では、数ある諸説の中での候補者とされる藤原定家(ふじわらのていか)が「百人一首を選別した」というようなことを書き残した日記『明月記』を基にした構成で物語が進みます。


時代設定は平安時代。『源氏物語』を執筆した紫式部、『枕草子』を執筆した清少納言といった国語や歴史の授業で聞いたことがある名前が登場するかもしれません。

当時の貴族たちがどんな恋愛をしていたか、はたまた結婚事情などがわかる1冊でもあります。


例えば、平安時代の貴族の女性たちは普段の生活はずっと家の中に籠りっきりで、結婚が決まるまで姿を家族以外の人間に見せることができませんでした。

結婚相手は親が選んだ相手という政略結婚が当たり前。

唯一の連絡手段は手紙のやりとりで、男性は送られてきた手紙の筆跡や言葉の表現でその女性の面影を思い浮かべることしかできませんでした。

とはいえ、中には結婚の日まで我慢できず、夜中に女性の家にこっそり忍び込む(俗に言う夜這いをする)こともあったそうです。(すごいなこの時代😅)

しかし、女性も女性で実は言葉の表現力がうまい人が代わりに手紙を書いていたということもあったそうです。(すごいなこの時代😅)

結婚をしたとしても一緒に暮らすのは稀で、ほとんどが男性が女性の家に通うという通い婚でした。

女性は結婚をしても男性がいつ来るか待ち続けるというヤキモキした気持ちを日々抱えていたことでしょう😥

私はこれを読むまで百人一首の和歌の意味がわからなかったんですが、この本書で紹介される和歌が現代風に翻訳されているのでひとつのマンガとしても楽しめる1冊です。


ちなみに百人一首は恋だけでなく、友情や移り変わる季節を歌った和歌もあります。

読めばあなたも好きな和歌が見つかるかもしれません。


ちなみに、私が好きな和歌はこちらです。


青沼りんが好きな和歌

百人一首54番 
忘れじの 行く末までは かたければ
けふを限りの 命ともがな

(超訳)
一生君だけだとあなたは誓うだろうけど
人の心は移ろうわ
だから私は今日死にたい
最高に愛されたまま
『超訳百人一首 うた恋い。3』より 本文引用


こちらは、平安時代の一条天皇中宮、定子の母である儀同三司母(ぎどうさんしのはは)が読んだ和歌です。



貴族の男性は幾人の妻を娶ることが当たり前で、妻はそれに耐えてこそな時代。わかってはいるけれど、心の底では私を1番だと思っていて欲しい。
私を1番に愛していると言ってくれても、いつか他の人の元へ行ってしまうかもしれないという不安感に日々苛まれる。
そんな気持ちを味わうぐらいなら、幸せが絶頂期な今この時に死にたいと綴った和歌です。


それぐらい夫を深く愛していた彼女の和歌をとても共感したのを覚えています。



時代が変わっても、人間の悩み事はあんまり変わらないんだなと本書を読んで改めて思いました。


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