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【休職日記】地獄の季節

昨日の夜、死にたくなった。

朝が来なければいいと思った。何もかもが手につかなかった。かろうじて眺められていたツイッターも開くと苦しくて喚き散らしたくなって、少し漏らしてしまった。でも危なっかしいのはTOS宛てにして、なんとか、なんとか、もう誰にも迷惑をかけないように頑張った。誰にも迷惑をかけたくない気持ちと同時に、死んでやる、死んでやる、死んでみんな後悔すればいい、と自分の葬式の妄想をした。小学生の時におじいちゃんが死んだ時、葬式にたくさんの人が来ているのを見て、ああ人が死ぬと一人のことをこんなにたくさんの人が集まって想ってくれるんだと思って、死んだおじいちゃんが羨ましくて泣いた。死んだと聞いたときですら泣かなかったのに、死んだおじいちゃんが羨ましくて、そのときようやく、黒と白の垂幕を前に泣いた。わたしの葬式でも散々みんな泣けばいいと思った。あのときああしていればよかったのかもしれないとか散々後悔して、一生引き摺ってくれたらいいと思った。はやくそうなりたくて、カッターを持ち出しかけた。けど怖くて、持ち出したまま投げ捨てて、また泣いた。絶望しながら天井を眺めて、このまま眠って朝が来なければいい、と思った。

本も徐々に読めたり、読めなかったり、文字も書けたり、書けなかったりだ。何かコンテンツを摂取したほうがいいんだろうな、と思いながらもそれをする気力もない。だらだらとツイッターを眺めて、馴染みの人たちとタイムライン上でくだらない話をするのが命綱だった。それもできなくなって呆然としていると、死にたさがやってくる。うそ、通話しながら遊んでいるときも、不意に真っ黒い携帯の画面を見て、ああ死にたい、とぽつりと浮かぶ。再度話しかけられると何でもないように喋れるし、死にたさもぽいと捨てられるのだけれど、何度もうっかり「死にたい」がやってくる。昨日はその極地にいて、でも誰にも助けを求められず、自力で泣きながら絶望しながらどうにか這い上がった。

地獄みたいな季節がどうにか通り過ぎるのを待つ間、「鬱 死にたいとき」で検索しまくった。死ぬのはいけません、信頼できる人に相談しましょう、ってばかりで、死にたくなった。信頼できる人に相談できる環境だったらそりゃそうだろうねえ、と思った。それが恐ろしくてできなくなるから鬱になってるんだよ、ばかやろう。結局この一番自分が恐ろしいとき、そして他者から見ても手のつけられようのないこの、この時の乗り切り方を、わたしは未だ確立していない。ずっと泣きながら死にたい、死にたい、死にたいに脳味噌を乗っ取られて、唸って、喘いで、ぐちゃぐちゃになることしかできない。セックスしてくれる人がいれば飛びついたと思う。殺す勢いで抱いてくれと願ったと思う。実際レズ風俗を検索して、理想の年上のお姉さんを探して、ああこの人に滅茶苦茶にされたいと思って、でも120分じゃ足りない、でもお金も足りない、くそ、くそ、と泣いた。泣きながら訥々とメモ帳に短い文字を綴った。なんだかんだ苦しくても書くことを止められないから、わたしはやはり文字書きなんだと思う。

日付が変わる頃にどうにかその季節から自力で這い上がって、くっそおおおと言いながら病院の予約をした。明日も朝が来るなら、生きなきゃならないってことなんだろう。それで実際に朝は来た。朝と言っても、もう一般的には昼なんだろうけど。動くことがとにかく億劫で、目覚めて何時間しても布団から出られない日が多い。昨日も、一昨日も、その前もそうだった。鬱の波、と病院の先生は言っていたし、今日そのことを伝えてもきっと同じことを言うのだろう。先週は軽い躁状態だった。無闇矢鱈な買い物ばかりして散財した。届いたカーペットは未だ段ボールの中から開けることができていない。散々だ。

布団でぐずついている間、携帯が鳴った。出ると会社の上長からだった。元気にしているか、実家に帰ったりはしているのか、と言われて、あやふやに答えた。会社用の携帯が繋がらないからこちらに連絡したと言われて、すみませんと謝るうちに、会社用の自分が少しずつ戻っていくようだった。電話を切ったあと、心臓がバクバクバクバクバクバク止まらなかった。ごめんなさいごめんなさいと会社用の自分が泣いていたのを殴った。うるせえ、うるせえ、もう全部どうでもいい。全部殴り捨てて、どっか行きたい。

どっか行きたい。

今日、夜、病院がある。昨日の深夜に予約したから、遅い時間しか予約できなかった。どの店も閉まっている時間だろう。静まり返った繁華街で、どっか行きたいって思ったとき、わたしはどこに行くだろう。ちゃんと家に帰るだろうか。わからない。多分、意気地なしだから、帰るけど。

明日こそ、朝が来なければいいと思う。

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