見出し画像

#08 自転車通勤のすすめ~超満員電車通勤から自転車通勤になってよかったこと~

 学生の頃から一度もしなかった「自転車通勤」。まさか社会人になってからできると思わなかった。始めるまでは、予想もできなかった良かったことの話。

 東京にいたころ、東京の郊外に住んでいた私は、毎日片道1時間半かけて品川にある職場まで通っていた。
 朝の都心に向かう電車は、言うまでもなく超満員電車。収容人数を遥かに超えた車両に、身体をねじ込めるように乗り込み、押し潰されながらギリギリの体勢で目的地を待つ。夏なんて汗でベトベトの人と隣になった日には、この世の終わり…。

 そんな東京での生活を離れ、昨年末から地方移住した。広い空、おいしい空気、広がる田んぼ道、蛙の鳴き声、満天の星空。地方出身の人は、これを読んで地元の風景を思い出せただろうか。
 借りたアパートは会社から2km以内。歩くと20分。引っ越してすぐの冬は、大雪に見舞われたので車通勤をしていた。が、その2か月後。。あまりの通勤時間の短さに、バッテリーが上がりエンジンがかからなくなった。これをきっかけに、夫婦で自転車を購入。自転車通勤が始まった。

 始めて気付いた。外って気持ちいい。朝の澄み切った匂いが混ざる空気を切って、漕ぎ進める田んぼ道。そよ風に稲穂が揺れる。空がとっても広い。
 あれ...なんかいい匂いがする。近くの食品メーカーの工場から甘辛い匂いが漂っていた。こんなに美味しそうなものを作っていたのか。いつか買ってみよう。
 行きは晴れていたのに、帰りは雨に打たれることもある。旦那さんと2人大騒ぎ、学生の頃のようにびしょ濡れになりながら、大笑いで帰る。
 晴れた日の帰り道は、夕日が水の張った田んぼを染める。真っ赤な夕焼け空の日もあれば、ピンク、紫、オレンジの日もある。毎日の違う表情が楽しい。虹が出ている日だってある。そんな空の中を、いそいそとカラスが裏山に帰っていく。

 仕事でうまくいかなかったとき、人間関係に疲れた時、自分の心に余裕がなくなった時、サクッと自然に癒される。
 そんな、行き帰りのほんの10分もないひと時が自分には必要だったということ。

 車に乗っていたら分からなかった。こんなに身近な魅力に。それは、自分にとって運動不足解消以上に価値のあることだった。

 最後に改めて伝えたい。自転車通勤は最高だと言うことを。

この記事が参加している募集

#スキしてみて

529,171件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?