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ありがとう、教授。また一つ、成長した気がします。

少し避けていた教授の言葉に納得した話

私は、自分より能力を持った人間を敵として認識してしまう。無意識的に斜を構えてしまって、どこか勝てる要素がないか、探し始める。相手は私のことなんて、気にしていない。だけど、下に見られてるんじゃないかって、怒りの感情が湧いてきて、素直になれない。

今朝、私と話した教授も同様だ。研究室配属された当初から、凄まじいオーラを放っていて、一瞬で、「この人に好かれたい」と「この人に負けたくない」という気持ちが湧き上がった。

で、そこから何度か話した後、「この人に負けたくない」が一歩リードした。これは決して、「この人に好かれたい」が無くなるわけではない。もちろん、教えを乞いたいし、人間としてのスキルを盗みたい気持ちは残っている。

だけど、一度燃え上がった炎はそう簡単には消えない。昔からの競争本能が、「この人に負けたくない」に油を注ぎ、爆炎とかわり、もはや、私の理性や常識では打ち負かすことができない領域にまで達する。そう、無意識的に斜を構える体制に入るのだ。

そんな私は、一度だけその教授に怒られたことがある。研究室内にコロナウイルスを持ち込んでしまう可能性がある行動をとってしまったときである。もちろん、私に非がある。そのことを重々承知していた。だけど、一度説教が始まると、相手の悪いところを粗探し、「こんちくしょう魂」が抑えられなくなる。素直になれない私が全面に出る。

で、私はこの自分の行為に対して、肯定をする。「自分らしさだ」「それがお前だ」って声を掛ける。今の私はこの行為の結晶みたいなものなので、もちろんひねくれている。誰を基準にして、ひねくれいているかはわからないが、多分常識を逸脱している。

そんな私は今朝、その教授にこんなことを言われた。
「若いうちは、自分中心になってしまうが、周りのことを思う気持ちを捨ててるな」って。

なんで、こんな事を言われたかというと、ある出来事があった。

私・「お盆休みに実家に帰らして下さい」→教授・「それなら、研究室には戻って来なくていいよ」→私・「明日また、どうするか伝えます」

みたいな感じで、条件付きで、帰省の許可をもらったわでだ。
教授も帰ることを反対していた訳ではなく、新型コロナウイルスの研究室持ち込みを考慮し、提案してくれた。

私は、東京から帰省している兄貴に将来の事とか、今の現状を相談したくて、帰省を申し出た。三回生の今、世界で一番尊敬する兄貴に助言がもらいたかったんだ。そして、このことを誠心誠意、教授にも伝えた。

教授は私の事情を考慮してくれた上での提案だった。私は初めは、その提案を受け入れ、帰省とともに、三週間ほど早いが、前期の研究生活を終わろうと思った。

でも、同時にそれは、本来、これからの三週間で私が負担するはずだった、日々のルーチンや、研究活動を同じ班の仲間に丸投げしてしまうことも意味していた。

教授はこのこともわかっていた。
そして、私に提案した。「もし、帰省するなら、前期の研究室配属はここで終わりでいいよ」

私は試されていたんだと思う。

結果的に私はここに残ることを決意した。仲間たちに本来、私がするはずだった仕事を負担させることはできなかった。

そして今日、教授に伝えた。
「私だけ、先に帰ることはできないです。ここに残って最後までやり遂げます」

すると教授は、わかっていたような表情で、こういった。
「若いうちは、自分中心になってしまうが、周りのことを思う気持ちを捨ててるな」って。

私が、「成長するためには、自分中心で考えなければだめだ。他人に合わせて生きているようじゃダメだ」って、昨日悩みに悩んでいたことを包み込んでくれるような、答えを出してくれた。

これを、違う教授に言われていたって、納得しなかったと思う。だけど、なんか納得してしまった。この施設で一番の偉いさんで、毎日髪を整えて、ミーティング仕切っていて、違う教授相手に、忖度なしの厳しい言葉をかけれる教授に納得していた。

んー。多分憧れていたんだろうな。俺の憧れるリーダー像だんだろうな。正直に認めよう。あの人やっぱりすごい。

何をとっても私の勝る部分が見当たらない。悔しいけど、なんか嬉しい。

もうこうなったら、盗むしかない。あの人の凄いところ、全部盗んで、あの人超えてやろう。うん。それしかない。

ありがとう。教授。また一つ、成長した気がします。



20210810


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