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10月30日に起きたトルコの地震が特別な理由

エーゲ海沿いのトルコでマグニチュード6.6の大きな地震が起きた。震源はトルコとの国境の海域に浮かぶギリシャのサモス島。この記事のカバー写真で海の向こうに浮かんでいる島だ。この写真は昨年の3月に、わたしがトルコ側から撮影したものである。

イズミルの南、クシャダスに住む親しい友人が住んでいる。昨年、彼女と10年ぶりに再会した。大学生だった友人は仕事をもち、結婚もして、保守的な田舎の村を出て自由な空気のある都会で暮らしていた。その幸せな姿を見ているだけでこちらが泣きそうになるくらい、私も嬉しかった。その時いっしょに歩いた浜辺から見えたこの写真に写っている島が震源だ。ショックだった。

テレビで速報を聞くや否やすぐにネットでニュース検索をかけたが、詳しい情報は何もなかった。次に英語でツイッター検索をしたがこれも何も出てこない。仕方なく、むかし覚えたトルコ語のかすかな記憶を手がかりに「地震」にあたるトルコ語「deprem」とイズミル「Izmir」で検索をかけると、スマホでとったと思しき津波や瓦礫の画像や映像がたくさん出てきた。

クシャダスは背後を丘に囲まれたエーゲ海の街だ。彼女のマンションはその丘のひとつのてっぺんにある。家にいてくれればまず問題はなさそうだが、いま何時だろう?彼女の職場のあるソケのビーチからはサモス島が見える。ソケにいたらどうしよう。でも彼女の職場はビーチからは遠く少し高いところにある。では、クシャダスの街中にいたら…?

メッセージを送ったが返事がない。ツイッターを眺めながらひとり動転していると、既読がつき、間もなくして無事を知らせるメッセージが来た。

「実は以前のマンションを2か月ほど前に引っ越したの。同じ地区にある耐震構造のよい新しいマンションで、家族もマンションも無事。いまうちの前のあった公園に避難しています」

友人の住む、丘の上のマンションのテラスからはエーゲ海が見えた。8歳になるひとり息子の名前は「エーゲ」。目の前の海からとった名前だ。

カバー写真を撮影したエーゲ海のビーチは、平らでキラキラした片麻岩を拾えることで有名な場所で、私たちは一緒に石を拾って歩き、海を眺めながら木陰のベンチでビールを飲んだ。

その時、わたしは忘れられないものを見た。

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