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自助・共助・公助とライフストーリー研究|Chiyoko Kimura

こんにちは、木村知世子です。
担当曜日は金曜、前回の投稿を確認し、あ、1週間とばしてる・・
なんか9月前半、体感二日飛びくらいで進んでいたようでびっくりでした。はい、申し訳ございませんmm(きっちり反省)。
今年度も気づけばもう折り返しになるんですね。
私は気象会社に勤務していて、防災啓発活動の仕事に携わっているので、防災月間である9月は、一年の中で忙しい時期でもあります。今年は新型コロナウイルスの影響で、今月の防災訓練やイベントは全て中止になり寂しい思いです。一方でシンポジウムなどのウェビナーが全国どこからでも開催・参加できるようになり、情報の発信・取得や集客の方法の変化の便利さや快適さも知り、段々馴染んできたように感じます。コミュニケーションの取り方の変化はライフストーリーにもどう影響するのか、今後気になるところです。

さて、今回は前回お話しした「物語法」について見ていきたいと思いましたが、今月は防災月間でもあるので、先に私の専門である「防災」について少しお話ししたいと思います。
近年、地球温暖化の影響などから大雨による災害・被害も増えており、昨年の台風19号では、全国広い範囲で台風による甚大な被害が生じ、首都圏でも多摩川の氾濫を経験し、以降自然災害が自分事になった方も多いのではないでしょうか。有効な防災情報、防災対策や予防の情報は誰でも入手できる環境にある一方で、多くの生活者は防災情報にまだまだ関心が薄く、直接対面で学べる防災訓練や防災イベントになかなか参加しないというのが現状ではあります。こうした中で、今自然災害への防災対策により求められているのは、建物の強靭さや浸水を防ぐ防水板といった対災害設備等のハード面はもちろんですが、ソフト面であるコミュニティの共助力、それを支える自助力の向上かと思います。
ちなみに、災害時の「自助」、「共助」、「公助」というのは、自助=自分の身は自分で守る、共助=近くの人でお互いを助け合う、公助=国や自治体など公的支援を言います。
※菅新首相の目指す理念に、「自助、共助、公助」を掲げていましたね。防災を考えるときに使われる言葉かと思っていたのですが、今後は広く使われる言葉になるかもしれません。

修士論文では、防災にまつわる情報や活動へのインセンティブの設計が、防災にまつわる情報への接触と継続的活用を促すかを検討し、インセンティブが防災への準備ができていない防災意識レベルの高くはない層や、地域の防災活動への参加に消極的な人たちの個人の防災力の底上げに寄与する可能性について考察しました(この辺りの話はまた追々出来ればと思います)。ここでいうインセンティブには大きく、金銭的と非金銭的と分かれます。ライフストーリー研究において、私の目指す所の一つに、「ライフストーリー研究の防災分野への実装」があります。ライフストーリーを語ること=その語りに現れる社会的背景や文化的様相を読み解き、個人と社会を結びつけていく行為と言えるため、これこそが、ここでいう「個人の防災力」の底上げに寄与する非金銭的インセンティブの一つになるのではと思っています。

ライフストーリー研究は、私達の活動紹介で述べたように、「個人」、「気づき」、「関係性」からの体験の捉え直しによる社会価値の再構築の機会であると考えています。自らの体験を捉え直すことで自助力を再構築し、それを共有することで共助力を強化し、ひいては個人と社会の新たな関係性(公助)を構築することにつながるのではと考えています。

今年は、激甚災害指定の令和2年7月豪雨が発生しています。コロナ禍の影響で県外から被災地へのボランティア支援が難しく、従来のような支援活動が出来ないことが大きな問題となっており、熊本県中心にまだまだ復旧道半ばの状況です。まだまだ台風シーズンの最中なので、今後も自然災害による甚大な被害が発生する可能性はあります。事前の避難、発災後の避難生活、復旧〜復興には、自助力や共助力が基礎となり、さらに公助は復興にかけての生活を支える軸となります。また今の日本では災害後の支援活動にはボランティアの力が不可欠なのが現状です。今年、今後も災害が発生してしまったとき、新型コロナウイルスによる支援活動の制限がどのような影響を及ぼすのかが見えないのも、被災者、支援者ともに不安であり心配です。支援に入りたくても入れないのは本当に悔しいですし、ボランティア等の支援者へのPCR検査実施基準など、具体的な公助の力を期待したいです。

ライフストーリー研究×防災は、これから少しずづ深堀りし、色々な視点から見ていきたいと思っています。

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