24-11 ひらめき(閃き)とは

 「人は閃くことがある。」簡単な一文であるが、意外にミステリアスに感じるのは僕だけであろうか?そして、ひらめきの経験や閃いたことにより問題解決に近づいた経験は、なんとも心地よい体験となっているのも、ひらめきの不思議さやマジックに魅了されているからなのかもしれない。
 亡き父がよくいっていたことがある。難しい問題に直面したら、ペンを置き、一旦問題から離れ、ぼんやりしてみると良いと。 父は定年後趣味で数学の問題を紙とボールペンと定規とコンパスと分度器でよく解いていた。それも大学受験とかではなく、難解なロシア語の幾何学、解析学の問題を解いていた。数式を丁寧に書き、いくつかの解法を試し、正確に補助線をひき、それを睨めっこしては、ペンを置き、家の仕事をして、また問いに向かう。こんな日々を過ごしていた。父は、コンピューターはおろか、パソコンのワープロも使えなかったが、そうやって数学の問題を退治する晩年であった。粘り強く問題に向かう姿を見て、若い頃は自分と違うと敢えて、自分にそう思い起こしていた部分があったが、やはりその背中を見て育った家族は、概して簡単に物事を諦め否性格の人間が多いように思う。
 さて話をひらめきに戻そう。ひらめきとは、一生懸命に考えている時には見つからなかった解に気づく瞬間で、見落としていたこと、思いもよらない事との結びつきで解決したことなどが、その対象になる。もちろん一生懸命考えている時にも起きるし、なんでもない時にふと思いつく時もある。いくつかの本を読んだりしていると以下のことが整理できそうである。
1、脳の働き: 脳は様々な情報を処理し、それを組み合わせて新しいアイデアや解決策を生み出す能力を持っているが、脳がこれまでの経験や知識を組み合わせて突如として新しい見解やアイデアを生み出すときに起こる。
2、問題解決のプロセス: 問題解決には、情報を整理し、新しい結びつきを見つけるというプロセスが必要です。ひらめきは、このプロセスの一部として、従来の発想パターンを超えた新しい発想を生み出すことがあります。
3、集中とリラックスのバランス: 集中しすぎると創造性が低下することがありますが、適度なリラックス状態であると創造性が高まるとされています。ひらめきは、リラックスした状態で問題に取り組んでいるときに生じやすいとされています。
4、環境の影響: 刺激の豊富な環境や異なる環境に身を置くことで、新しいアイデアが生まれやすくなるとされています。新しい環境に身を置くことで、従来の発想パターンを打破し、ひらめきを促すことがあります。
こういったことそのものや、組み合わせでひらめきが起こると考えられる。さて、よく耳にすることで、お風呂でリラックスしたり、散歩をしたりしていると閃くことがあると言う話があるが、リラックスがひきおこすメリットを深掘りしてみたい。いくつかの本を要約すると、
1、脳波の変化: リラックスすると、脳波のパターンが変化し、クリエイティブな活動に適した状態になります。特にα波と呼ばれる脳波が増加すると、創造性やひらめきが促進されるとされています。
2、脳のネットワーク活動: リラックスすると、脳の異なる領域間の連携が促進されることがあります。これにより、異なる情報やアイデアが結びつきやすくなり、ひらめきが生まれやすくなります。
3、ストレスの軽減: リラックスすることで、ストレスが軽減されます。ストレスが少ない状態では、脳が柔軟に情報を処理しやすくなり、ひらめきが生まれやすくなるとされています。
4、創造性への影響: リラックスした状態では、従来の枠組みや制約から解放されることがあります。このような状態では、新しいアイデアや発想が生まれやすくなります。
 僕自身の実体験からすると、1はあまり実感できていないが、2、3、4はなるほどと思う経験をしている気がする。以前メンサの試験を受けた時に、IQのこともよくわからず、受験したのだが、頭がいいことと高IQは似て非なるものだと言うことに気がついた。頭が良いというと、その多くに、知識と記憶ということから離れられない。しかしIQの試験では、短期記憶に関わるテストがある場合もあるが、知識を問う、言語などの力を問う問題は少ない。それよりも、パターンマッチングや規則性を問う問題が多いように感じている。つまりこのひらめきの要因をある種少しでも意図的に引き出せる能力も要求されているような感覚があった。
 話は変わるが、コーチングの勉強をしていて出てきた言葉に、「フックをかける」という言葉があった。これは、クライアントに有効な質問をして、その場で答えが出なくても、どこか気にしている城田を意図的に作ることで、なんらかの拍子に答えに辿り着いたり、自ら調査したりして行動のきっかけとなることを意図した質問のことを言うのだが、まさにひらめきの準備もこのフックをかけることに似ている気がする。一生懸命考え、答えに至らなくても、どこか頭の隅に置いている状態。これが走り幅跳びの助走のような状態で、閃いた瞬間大きな飛躍ができる。
 まずできることは、閃きのために、答えが出なくてもイライラしない、頭の片隅に置いておけば良い。そして、自分の生活を救急に締め上げすぎずに、リラックスする時間を意図的に計画に盛り込む。これが、ひらめきとのうまい付き合い方なのかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?