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市川沙央『ハンチバック』

市川沙央 さんのTwitterを見たら、マネ がアスパラガスを描いた作品が使われていた。
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「博物館や図書館や、保存された歴史的建造物が、私は嫌いだ。…壊れずに残って古びていくことに価値のあるものたちが嫌いなのだ。」
市川沙央『ハンチバック』より
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「死に向かって壊れるのではない。生きるために壊れる、生き抜いた時間の証として破壊されていく。」市川沙央『ハンチバック』より
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市川沙央『ハンチバック』にエゼキエル書38-39章からの抜粋がある。この部分と最終部分は何だろうと思って何度か読み返した。

この本の文脈から離れるが、現況のガザ地区。偶然だが、文学というのは時に不思議な預言めいたことを示唆する。
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市川沙央『ハンチバック』は、確かに当込みがあった作品だとは思う。それは受賞後の作者の言葉も隠していない。私が何度か読み直した、唐突に見えるエゼキエル書からの抜粋の部分や、最終部分の構成、それも彼女の研究成果なのかもしれない。しかし彼女はきっと正直な人だ。審査員は打ち負かされた。


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