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かんしゃ

オットの母の初盆供養で帰省をした。オットの実家にはもう誰も住んでいない。いろいろと経費を節減するため、都市ガスの契約を中止している。その家に、オットは泊まると言う。

お盆は、あの世からご先祖が戻ってきて3日間過ごして帰っていくので、お迎えの13日から見送りの15日まで過ごす、というのだ。親思いの、ひじょうに殊勝な心がけである。

しかし、ガスがないということは、お風呂に入れないということだ。飲食については、電気があるので電子レンジで温めたり、電気ポットで湯を沸かすこともできる。また、卓上ガスコンロを持ち込んで、キャンプのように煮炊もできる。だが、連日35℃を超え、汗だくで1日を過ごすというのにお風呂に入れないのは辛い。

オットの兄一家は「うちはお坊さんの来る日だけで、日帰りする」と言う。それが賢明だなとは思うが、よそはよそ、うちはうち、である。わたしは真夏のキャンプだと思うことにして、覚悟を決めた。水は出るので、体を拭けば良い。場合によってはスーパー銭湯に行くこともできるだろう。

ところがオットの気持ちがガラリと変わった。「浄土真宗は、お盆にご先祖は帰ってこないらしい」とどこかで情報を得たらしく、「だったら3日間も居たって仕方ない。1泊だけにする」と決めた。それは初耳である。浄土真宗が「お盆は関係ない」と言うことだったら、なぜお坊さんは初盆供養に来るのか。なぜお母さんはこれまでご先祖のために提灯やお供物を用意してお盆を迎えていたのか。疑問だらけだ。

実家に戻って「しまった」と思ったのは、冷蔵庫が使えないことである。電気の契約は続けているが、不在の時はブレーカーを落とすことにしているので、冷蔵庫は使わないことになっているのだ。夏場にものが冷やせないのは大変なことだ。アイスも買い置きできないし、食材も腐ってしまう。

お盆供養のお坊さんが帰り、兄家族も帰ったあと、わたしたちはスーパーに買い出しに行った。しかし、冷蔵庫が使えないので、生モノは食べ切れるものだけ、飲み物も最小限にした。

結局、なんとか一晩を乗り切って、自宅に戻った。帰ると同時に、ムスメはシャワーを浴びに風呂場へ突進した。わたしは冷蔵庫から食材を取り出し、夕食を作った。

風呂上りにサッパリした顔でムスメは「ああ〜。お湯が使えるってありがたい」と言い、わたしも「冷蔵庫が使えるってありがたい」と言った。

お盆については、これからまた調べるとして、とにかく電気、ガス、水道のある生活に感謝して、今日はもう休むことにする。ありがたき。

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