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【058】100年ライフを楽しむ秘訣:大切なのは人間関係投資

「ライフ・シフト -100年時代の人生戦略」

ライフ・シフト - 100年時代の人生戦略』は、2016年に話題となった長寿時代の生き方指南本です。長寿と聞くと、老後資金の話にばかり目が行きがちですが、それだけでは不十分なのです。この本は、未来の長寿人生における指針を網羅的に示してくれる貴重な一冊です。その中でも特に面白かったのは、これからの長寿人生を支える「目に見えない資産」として描かれている3つの人間関係です。

”人間関係の資産”には3つのタイプがある

この著書では、100年人生に必要な「目に見えない資産」を、自分の市場価値向上や働くモチベーションといった「Productivity(生産性資産)」、人生の幸福感の源泉となる「Vitality(活力資産)」、人生の転機をスムーズに乗り切る「Transformation(変身資産)」の3つにカテゴリ分けしています。それぞれのカテゴリには、さらに具体的な資産が含まれているのですが、どのカテゴリにも人間関係がらみの資産が含まれています。
※日本語訳より原文英語の方がわかりやすかったので、原文から参照

※赤枠の要素が人間関係の施策に相当するもの。人間関係ってめちゃ大事。。。

幸福感を高めるには、人とのつながりが大切だとよく言われますが、人間関係の種類や役割分類を意識的にすることってあまりないですよね(少なくとも私はなかった)。そこで、今回は脳内メモとして、これらの人間関係の資産を個人的な雑感も交えて整理してみたいと思います。

(1)生産性を高める:職場の同僚ネットワーク

100年人生に必要な人間関係資産の一つ目が「職場の同僚ネットワーク」です。「Productivity(生産性資産)」のカテゴリに属します。

と言っても、飲みながら会社の愚痴を言い合うだけの同僚関係ではありません。お互いのパフォーマンスを引き出し、結果として双方の市場価値を高めることができるようなポジティブな同僚ネットワークのことを指しています。



お互いに市場価値を高めあえる同僚ネットワークとは:

・相互に強い信頼でつながっていて

・同水準のスキルや知識を保有し

・共通の価値観などでつながる同質性の高い関係性で

・時にはお互いのコーチ、支援者、人脈を紹介しあう、貴重な助言を与えあうことができる前向きの関係と定義されます。

これらの恩恵は:

・個人で蓄えているよりも広い知識と見方を得ることができる 

・お互いの成長やイノベーションが促進される 

・生産性や収入、キャリアの展望を向上させる

・結果として自身の市場価値を高めることができる
…確かに。


経験的にも、職場に信頼できる仲間が存在する時は、実力以上のパフォーマンスを発揮できるし、信頼できる同僚がいるだけで仕事のモチベーションにもなる。これらはまさに「目に見えない資産」です、納得できます。

ただ、リモートワークで物理的・心理的距離を詰めにくくなったコロナ禍以降は、得るのが難しい資産になっているかもしれませんね。個人的にもリモートワークの恩恵を感じる一方で、時には対面で時間を共にしてオン・オフの会話を重ねること、相互理解を進めることは大事だと思っていましたが、改めてその意義を再認識することになりました。もっと対面の時間を大切にしなくては。

(2)バイタリティの源泉になる:自己再生の友人関係

二つ目の人間関係資産は「Vitalitiy(活力資産)」の源泉となる「自己再生の友人関係」です。この和訳がわかりにくいのですが、英語原文では "Regenerative Friendships" と表現されています。これは、一緒にいるとポジティブな気分になったり、幸福感を与えてくれるような友人関係を指します。

具体的には「職場という一つの場面だけでなく、いくつもの場面で相手を理解していて、長い年月をかけて構築される親しい友人関係」と定義されているので、日本語の「昔からの親友」に近いと勝手ながら解釈しています。

「自己再生の友人関係」の特徴は以下の通りです:
・人生において変わったことも変わっていないことも両側面を理解している
・長い年月をかけて深く結びついた親しい関係
・共有している関心事が多い
・感情のこもった強い友情によって結びついている

…やはり日本語の「昔からの親友」あるいは「親しい幼なじみ」と置き換えてもよさそうです。

こうした友人関係が100年時代にどのように機能するかというと、精神の健康と幸福感を維持することでバイタリティの源になり、高齢になってもエネルギッシュで前向きな姿勢を維持することに貢献するのだそうです。また、変化に富んだ100年人生だからこそ、一貫性のある自己アイデンティティを持つことに役立つとか。

なるほど…自分の変わったことも変わらないことも理解してくれる昔からの友人には、職場限りのワンタイムの関係にはない価値があります。友人関係が何かに役立つとか考えたことはないですが、与えてもらっている恩恵を言語化してみると、その価値を再確認できます。改めて友達は大事にしたいですね。

(3)100年人生の新・ニーズ:多様性に富んだネットワーク

三つ目の人的資産は「Transformation(変身資産)」にカテゴライズされている「多様性に富んだネットワーク」です。そもそも「変身資産」という日本語訳が謎過ぎるのですが、本の中では、"人生の途中で新しいステージへの移行を成功させる意思と能力"と説明されています。ステージの移行とは、転職、起業、学び直し、などのさまざまな人生の変化を指します。

100年時代には、勤労期間が長期化し、産業のライフタイムも短縮化するため、社会人のスタート時に身につけた一つの職能で一生を過ごすことは不可能になります。人生の中で何度も"変身"をする必要があるので、変身に対する免疫力が求められます。そして、その免疫力を高めるのに役立つのが「多様性に富んだネットワーク」なのです。

「多様性に富んだネットワーク」の定義は以下の通りです:
大規模なコミュニティであるため多様性がある
新しい価値観、規範、態度、期待に触れることができる
・自分が変身するためのお手本になる人を見つけることができる
・自分とは異なる情報源を持っている
・自分がどのように変身できるかについて、多様なロールモデルやイメージやシンボルを得ることができる
視点を変えるきっかけを与えてもらうことができる

…と言っても、まあまあ抽象的ですね。具体的にどうやってそのコミュニティに参加すればよいのかわからないし、本の中にも具体例は紹介されていません。

そんな中、私はちょうど該当するコミュニティが身近にあったことに気がつきました。

それは、コミュニティ型のオンラインサロンです。2年前に、某スタートアップの経営者が主宰するオンラインサロンに参加しました。当初はオンラインサロンは未体験で怖さもありましたが、コロナ渦中でリアルな人間関係が制限されていた時期でもあったため、思い切って入会してみたのです。

実際には、サロン内メンバーは年齢、性別、居住地などの属性やバックグラウンドが多様で、さまざまな人種のるつぼのようなコミュニティでした。大企業のサラリーマンから起業家、フリーランス、主婦、不動産投資家まで、まさにこの本で定義されているような様々な生き方の見本市のようでした。私自身もその頃にサラリーマンを辞めて会社を創業しましたが、実はその決断はサロンに入ってからの体験が大きな影響を与えたと感じています。

(※オンラインサロンには、メディア型、セミナー型のもの、同質性の高いコミュニティ型など多種多様にあるので全てが同じように機能するとは限りませんので悪しからず。)

オンラインサロンは一例に過ぎず、他にもFacebookなどのSNS上のコミュニティも同じような機能を果してくれそうです。ただ、SNS上のゆるいコミュニティにはリスクもあると思います。その一つは、同じような考えの人同士が接近するようなアルゴリズムゆえに、視点が変化しにくいことです。

そして、もう一つは、SNSは自己顕示の場として使われる傾向があるため、人に見せたい一面の情報しか得られないことです。人生には光と影がありますが、SNSに投稿されるのは光の方ばかりで、本当は知っておきたい苦労話や失敗談などの影の情報が共有されません。このように得る情報が偏っていたり間違っていたりすると、誤った方向への変身を後押ししてしまう可能性があります。例えば「簡単に金儲けできる!みんなが言っているから、自分もやってみよう!」とか…実際にはそんなオイシイ話はほとんどないですよね(笑)。

私が参加したオンラインサロンは、一定の信頼関係の上に成立したクローズドな場だったので、リアルで多面的な情報が共有されていました。よって、多様性に富んだネットワークを自分の人生に活かそうとするならば、信頼関係の上に成り立っているコミュニティを選択することも重要だと付け足しておきます。

まとめ:これからは人間関係にも投資するべし

自分は健康体ゆえ、ひょっとすると100歳ぐらいまで生きてしまうのではと想像しています。

ゆえに計画していたのは、こんな感じでした。
・仕事は70歳ぐらいまでは続けること
・退職後は世界各国を行き来して生活すること
・そのためにも、自由に動ける健康な身体を維持すること
・そのためにも、一定の資産を作ること
…ご覧の通りで、豊かな人間関係を継続することは考慮していませんでした。

仕事にしてもプライベートにしても、人間関係から受ける恩恵は価値が大きいのに目に見えないため、意識から外れがちです。 でも人間関係こそ、日々投資しなければ維持できず、後から挽回できないものです。

人間関係による恩恵は一方的に自分が受けるものではなく、相互に与え合うものなので、誰かのために行動することが、人間関係への投資になるのだと思います。そして朗報です!この投資には心掛けと行動は必要ですが、お金はかかりません(笑)。

100年時代こそ、人間関係に投資して豊かな人生を生きたいよね。


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