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【059】スタートアップ企業の採用ブランディングではずせない2つのポイント

企業の採用において、優秀な人材を惹きつけ、企業文化を築くための採用ブランディングという戦略が一般的になってきました。

採用ブランディングとは、簡単に言うと企業の特徴や強みを明確にし、独自のアイデンティティを築くことで、適切な人材にメッセージを届け続けるプロセスのことです。このアプローチにより、企業は自らの魅力を正確に伝え、ターゲットとする人材を惹きつけることができます。

採用ブランディングの一般的なノウハウはネットを調べればいくらでも出てくるので、一般論は他に譲りつつ、ここでは採用ブランディングにおける、スタートアップ特有の”押さえておきたいポイント”について書いてみます。

ポイント1:盛って見せるのは逆効果:すべての欠点は魅力になる

採用ブランディングあるあるなのが、企業を実際よりも魅力的に見せようとすることが採用ブランディングだという勘違いです。実際には、これは最も避けるべきアプローチです。入社後に「想像していたのと違う」と感じるミスマッチ採用のリスクを増すだけで、むしろ逆効果。欲しい人に刺さるコミュニケーションを行う上では、企業が自社を過剰に美化せず真実を伝えることが重要なのです。

スタートアップ企業は、大手企業ほど経営は安定していないし、福利厚生も手厚くないし、ハードワークで残業も多い…と欠点だらけのように感じることが多いかもしれません。そこで、馬鹿正直にネガティブな要素をただ開示すれば良いのでしょうか?

答えは「NO」です。

全ての事象には二面性があります。ある人には欠点に見えることが、他の人にとっては長所となります。この二面性を踏まえて自社の欠点から逃げずに、それを長所としてポジティブに表現することによって、望ましい人材とそうでない人材を効果的にフィルタリングすることが可能となります。

例えば「上司からの要求水準が高くてハードワーク」ならば、「圧倒的なスピードで成長できる環境」と言えるでしょう。成長しなくていいから仕事が暇な方がいいと言う人には刺さらないメッセージですが、採用ターゲットではないので問題ありません。「業務が多岐にわたるので様々な仕事をしなければならない」という状況は、「多様なスキルの習得とキャリアアップの機会がある」と表現することで、知的好奇心と学習意欲が旺盛な人材を引きつけることができます。「ビジネスモデルの試行錯誤中なので事業戦略・戦術が頻繁に変化する」ならば(スタートアップのほとんどがこういう状況かもしれませんが)、「変化の時代に必要な柔軟性と適応能力を養える環境」といえます。こうして、より自社に合う人と出会うことが可能となります。

物事には常に二面性があるという視点を持ち、自社の魅力を正しく認識するうことができれば、ミスマッチ採用のリスクを減らすだけでなく、嘘や偽りのない誠実なブランディングスタンスを保つことも叶うのです。

ポイント2:スタートアップ企業への共感こそWhatよりWhyで生み出す

スタートアップ企業に限らず、多くの企業ではビジョンやミッションは不変のものです。ですが、特にスタートアップ企業においては、勝ちパターンが決まっていない新しいビジネスモデルで勝負している、限られたリソースの中、短期間で急成長を志向するという特性から、事業戦略や組織構造が頻繁に変化するという特性を持っています。朝令暮改さながらに、社員の業務内容が変化したり、部署移動することは珍しくありません。

そのため、スタートアップの採用ブランディングにおいてこそ、具体的な事業内容や業務内容(What)よりも、企業が目指すゴールや社会への貢献などの企業の存在意義(Why)に重点を置くことが求められます。「なぜこの会社で働くのか」に強い共感が得られていれば、事業戦略や業務内容が変わってもエンゲージメントし続ける社員を採用することができます。

スタートアップのキャリアは変化と成長の機会に満ちています。スタートアップの採用ブランディングにおいては、このダイナミックな環境で働くことの魅力と、それが個々の社員にとってどのような意義を持つのかを明確にし、共感を呼ぶメッセージを発信することが重要です。そうすることで、変化を恐れず、新たな挑戦を楽しむ人材を惹きつけ、企業の成長を加速させることができるのです。

まとめ

スタートアップ企業における採用ブランディングは、単に優秀な人材を集めるだけではなく、企業文化を形成し、サステナブルな成長を促進する重要な役割を果たします。本稿で紹介した「盛らずに魅力を語る」アプローチと「Whyに重点を置く」ブランディング戦略は、スタートアップの特有の課題を昇華し、欲しい人材を引き寄せる上で欠かせないポイントです。

企業の欠点から逃げずにポジティブに捉え直し、企業の根本的な目的や価値(Why)に重点を置くことで、社員のエンゲージメントを高め、長期的な成功へと導くことが可能となります。

スタートアップ企業の採用ブランディングは、企業と社員双方にとって価値ある成果を生み出すための重要な武器になり得ます。

写真:新高輪プリンスホテルの日本庭園のライトアップシーンです(撮影by自分)。こんな幻想的なシーンが品川駅徒歩数分で見れるなんて!


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