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みはしの白玉クリームあんみつ|お菓子愛

上野の「みはし」を知ったのは、今から20年くらい前でした。 

ある日、上野の広小路通りを歩いていたら、ビルとビルの隙間に突然、和風のお店が現れ、軒先には、少女が「ふふふ」と笑っているようなお茶目な字で「みはし」と書かれた暖簾 のれん
気になって確かめると、「みはし」はあんみつ屋さんでした。

ガラガラと木枠の引き戸を開けて中に入ると、店の中は案外奥行きがあって広く感じます。
落ち着いた朱色の床に、整然と並ぶ清潔感のある机と椅子。席ごとに天井からつるされた四角い照明には障子紙が貼られ、「和」の温もりがあります。

席につくと、昭和23年の創業当時から変わっていないのでは?と思わせる、紺地に白い衿のワンピース、頭には白い三角巾をした給仕の女の子が、お茶を持って注文を聞きに来ます。

「みはし」に来たら、私はいつも「白玉クリームあんみつ」を頼むのが定番です。この「白玉クリームあんみつ」には、まるでパフェのような華やかさがあるのです。

白地に藍で、椿、桜、梅、桔梗の絵が一つずつ描かれた器は、かなりの大きさ。 この器に、伊豆産の天草を使った四角い寒天が、波照間島の黒糖で作られたさっぱりとした黒みつに浸っています。

そして、北海道は十勝の小豆を使ったなめらかなこし餡、ほくほくの赤えんどう豆。作りたての、柔らかでもちもちの白玉と求肥、酸味のアクセントのみかんに、軽やかな甘さのソフトクリームがどーんと載っています。

クリームや白玉のような主役はもちろん、脇役的な寒天ですら、その透明感のあるほのかな磯の風味と、程よい弾力に感動します。

一人ひとりの実力もすごいけれど、チームプレー になるとさらに強くなる「ドリームチーム」なのです。

この完璧な「白玉クリームあんみつ」が目の前に置かれるたび、私は心の中で万歳三唱、歓声をあげてしまいます。
そして、一口食べるごとに口福感で満たされ、また明日もがんばろうと、元気が湧いてくるのです。

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