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商業出版する方法#53〜編集者があかす良い「タイトル」の付け方

元KADOKAWAでビジネス・実用書出版コンサルタント+フリー編集者の渡邉です。

よくこんなことも聞かれます。

「いいタイトルってどうつければいいんですか?」

本であれ、出版企画書であれ、できれば「タイトル」はいいものにしたいですよね。
ちなみに本の場合は9割は「編集者(出版社)」がタイトルをつけますので、あまり著者さんがここに頭を悩ます必要はないと思います。

よくあるのが出版企画書のタイトル・・・になるでしょうか。

なお、ここで元KADOKAWAの編集者だった人間として、本のタイトルの付け方について少しお話します。

本のタイトルは、企画時に「決めてしまう」出版社もあれば、原稿が出来上がって編集中に決定する出版社もあります。どちらかといえば後者の方が今のところが多いでしょう。ちなみにKADOKAWAでは、企画会議にて企画が稟議決裁される段階でタイトルをFIXしていました。そのほうが、本の趣旨がブレることなく原稿も書いてもらいやすいですし、あと一部上場企業として月々のコミットしている売上を落とすわけにはいかないので、スケジュール通りの刊行はしやすくなります。
でも・・・あくまでも「しやすくなる」という会社側目線の施策であって、現場は全然その通りにいかないことも多かったですけどね(笑。

タイトルについては、商品として大きな役割を担うので、タイトルとカバーデザインについては、出版社主導で決めて・制作するのが常です。
よほどの大御所の先生なら意見を聞くこともありますが、大体は、一方的に出版社の方で決めて制作してしまいます。
残念ながら、どうしても「著者と相談しながら」決めると、全然売りに繋がりづらいタイトルになります。
必ずタイトルには「読者へのベネフィット」をこめないといけないのに、著者は「自分の伝えたいこと・主張したいこと」を優先しがちです。
読者が置いてけぼりになることが、、、どうしても多いですね。
商業本はあくまでも「商品」です。読者が購読しやすく導く必要があります。その意味でも、残念ながら著者の意見を聞きながらタイトルとカバーを制作するといったことは9割ないので、ここはお許しください。


また、タイトルについては、何かいきなり「ぴーん!」と言葉が降りてくるわけでもありません。
あっという間に、閃いた!なんてこともありません。
これはコピーライティングの世界でもそうですが、プロほどこういった言葉を生み出すときにやっていることがあります。

それが「100個タイトル候補をアウトプットする」ということです。

え!?と思うかもしれませんが、プロたちがやっているのは、アウトプットの量を高める!ということを先にするのです。

本のタイトル決めの時もそうですね。
まあ、100個というのは主に「新米編集者」が研修や練習の一環として、ほぼ必ず通る道であるといって良いでしょう。
慣れてくると、20〜30くらいでおさまっていくことも増えてきます。
ただベテランであっても、ジャンルやテーマによって、そして人によってはやっぱり「100タイトルのアウトプット」を欠かさずやる人もいます。

とにかく重視するのは「量」なんです。
天才的に何かいきなり突然閃いて、たった一つに瞬時に決まる!なんてことはありません。
というか、天才ほどアウトプットの量を多くされてますね。
かつクリエティブ職を担うプロほど、アウトプットの量を大事にします。ここが基本なのですよね。

私であっても、最低10、多い時で20〜30はやっぱりタイトル出しを行います。そうやって、出したものを、編集会議などではかってさらに案だしをします。他者にみてもらって「晒す」「みてもらう」のです。そうやってみてもらって、さらにブラッシュアップと検討を重ね、役員クラス・営業部のスタッフにも確認してもらって、ようやく本のタイトルは決まります。

とまあ、お分かりでしょう。
プロの現場でもこれだけの労力を費やしていくのです。プロではない方達であればなおさらです。
あなたが出版企画書をかく時、タイトルに悩むことも多いと思います。出版企画書のタイトルがそのまま本になることは極めてマレではありますが、それでも出版社の企画会議に通り、稟議決裁をもらって、本格的に商業出版化に至るまでには、出版企画書のタイトルも結構重要視されます。
100個とは言いませんが、ちょっと閃いた!みたいなのを、ササっと書き記すのではなく、せめて数十個はタイトルをアウトプットしてもらって、その中から「これだな!」とご自身で確信が持てるものを、書いてみてはいかがでしょうか。

なんでもそうですが、今の時代「秘するが花」の精神ではメディアと繋がらないし、出版の世界も受け入れてもらえません。
SNSが発達しSNS社会の現代においては、むしろ「先にアウトプットしまくった人の方が」ビジネスも出版も、メディアへの露出も、自身のステージアップにも役立てやすいです。
私の著者の中でも「アウトプットこそが人生を変える!」と断言されているSNS起業家がいますが、まさにこれはどんなシチュエーションにおいても真実なのです。


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