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商業出版する方法#38〜コロナ禍で電子書籍の需要が高まっている?

元KADOKAWAのビジネス・実用書出版コンサルタントの渡邉です。

昨日NHKが下記のような報道を行っていました。

「コロナ禍で本の需要高まる 電子出版が前年比30%近く増加」https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210126/k10012832941000.html

報道を掻い摘むと「去年1年間の出版物の推定販売額は、紙と電子の合計で前の年より4.8%多い1兆6168億円と、2年連続で前の年を上回りました」とのことで、出版不況と慢性的に言われ続ける昨今において「長引く出版不況が好転する兆しを示す結果となった」みたいな終わり方までされています(個人的にはそういう発言どうなんだろう・・・って複雑な思いがありますが・・・)。

で、この記事で注目したいのが「電子出版が前の年より伸びている」という報道ですが、結局のところよく見ると「コミック」の伸びが注目!ってことです。

電子出版って、結局ここなんですよね。ちょっと盛り上がっているように見えますが、コミックの配信数が大幅な伸びを見せている。
そしてそのコミックも、すでに商業本として刊行されているコンテンツの二次利用分である!ということ。

ビジネス書や実用書のジャンルにおいても電子版のDL数は右肩上がりなのは、、いうまでもないことです。
しかしここでも大切なのは、そういったDL数の8割以上は未だ商業本の二次利用コンテンツです。

つまりどういうことかというと、なんだかんだいって既存の出版社で出された出版物の電子版をみんな買う、ってことであります。
その意味では、最初から電子出版・・・というのも、むろんその「行動じたい」は何も問題も課題もないんですが、実際どれだけ売れているのか?と聞かれれば、影響力の観点からいうと微々たるものではないだろうか、って感じです。

だってね。そもそも今まだ出版社は「紙の本」を主力で作っているわけなんですよ。電子版のコンテンツだけをゼロから作って、収益をあげている!ってところは残念ながらありません。
そういうところは、最初から電子出版とオンデマンド出版を売りにしている自費出版系のところです。
KADOKAWAやダイヤモンド社などといった、40年も前からある商業本を主力としている出版社は、未だ「紙の本」の方が収益性が高い!と見込んで、商業本を飽きもせず作り続けるわけです。

だから、電子版を出すのは全然あなたの自由ですが、電子書籍が伸びているから電子版出せばうまくお金が入ってくるかどうかは、また別の問題にもなってくるかな・・・と考えるので、そこは注意が必要かと思います。

影響力をつけたいのであれば、「紙の本」にまさるものはないでしょう。
しかし紙の本を出すには、準備と戦略が必要になります。とにかく本出したい!と言っているだけでは、起業と同じでどだい無理な話なので、具体的な行動を起こしていくことが大切だと考えますね。

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