見出し画像

『クマのプーさん展』の魅力

シルバーウィーク、ゆるゆる過ごしたいなと思って。
PLAY!MUSIAMで10/2まで開催のクマのプーさん展、行ってきたよ☺️
立川市民の方、近隣の方、絵本好きな方、ぜひぜひ、行ってみてー。

▪️ギャラリートークに参加してみた

水曜日は特別にギャラリートークイベントがあって、空間デザインを担当した齋藤名穂さんが今回の展示の魅力や見どころを紹介しながら一緒に回ってくれた。

名穂さんは、佇まいも、言葉の選び方も、ギャラリートークに集まったみんなへの語りかけ方も、ぜーんぶ素敵で、ふんわりと心地よくて、とても、幸せで、贅沢な時間でした。

名穂さんと一緒にギャラリーを回ったよ

クマのプーさんは作者ミルンが、息子のクリストファー・ロビンのために書いた物語。

物語に登場するプーさん、コブタ、イーヨーたちは、クリストファー・ロビンが持っていたぬいぐるみ達がモデルになっていて、舞台となる百町森は、イギリスにアッシュダウンの森として実在している。

挿絵を描いたシェパードもアッシュダウンの森を実際に訪れ、スケッチを重ねた。だから、プーさんのお話は、空想の物語でありながらも、リアルなイギリスの景色が同居する不思議な世界観を持っている。

ミルンとシェパード。40代の脂の乗った2人の男性が、子ども達のために物語と挿絵でタッグを組んで生まれた物語なのですって。

▪️クマのプーさんの魅力がわかるAtoZ

BはBear of Very Little Brain 

プーさん展の最初のコーナーでは、そんなプーさんにまつわる成り立ちや魅力、秘密がアルファベットのAtoZの順に紹介されている。

『I』はプーさんを翻訳した石井桃子さん
後に総理大臣となる犬養毅さんの家で、クリスマスプレゼントとして用意されていたクマのプーさんの原書に出会い、その場で訳していくと、子どもたちに大ウケ。

石井桃子さん自身も、子どもたちと一緒になって、物語や、物語に挿入されている詩のリズムや響きにワクワク大興奮し、後に正式に翻訳することになった。

我が家にも原書と、石井桃子さんの翻訳版があるので、読み比べてみると、彼女の翻訳の素晴らしさが改めてよくわかる。

例えば英語では
The more it snows (Tiddely Pom)
The more it goes (Tiddely Pom)
The more it goes (Tiddely Pom)
On snowing.

日本語だと、こうなる。

雪やこん
 こん ポコポン
あられやこん
 こん ポコポン
ふればふる
 ほど ポコポン
ゆきゃふりつ
 もる ポコポン

意味だけではなくて、読んでもらった時の楽しい気持ちまで、再現できちゃうなんて。

随分時間がかかっちゃったけど、ようやく洋書を中身も楽しめるようになってきたので、
(今までは、ほぼ、インテリアとして集めてた😅)少しずつ読み比べしてみよう★

我が家のプーさんコレクション。結構持ってた笑

▪️イギリスには詩を読む習慣がある。

ミルンはクマのプーさんに関連した本を4冊出していて、そのうち2冊は詩集だった。

名穂さんが教えてくれたお話のなかで、心に残ったメッセージの一つは、
イギリスでは、幼い頃から詩を楽しむ習慣があって、小学校でも誌の朗読の時間がある」ということ。

プーさんのお話にも、プーさん自作の歌がたくさん出てくる。
プーさんみたいに、気分がいい時、鼻歌に歌詞もつけちゃう生活習慣があったら、毎日とっても、楽しいかも。

保育園の子どもたちにも、詩を読んであげよう。毎日歌絵本(カエルの歌やおもちゃのチャチャを歌いながら読む絵本)をこれ読んで!歌って!と持ってくるから、詩の世界もきっと、楽しんでくれるんじゃないかな。

▪️貴重な原画100点が来日!

プーさんと言えば、『クマのプーさん』と『プー横丁にたった家』。表紙の原画も展示されていました!

プーさんの原画の多くは散逸してしまっていて、これまでの展覧会では、原画になる前のスケッチが展示されることが多かったのだけれど、実は新装カラー版のためにシェパードが描いた原画は綺麗に保存されていて、それが今回公開されているとのこと。カラフルで美しい原画が見れる、とってもとっても貴重な機会なんですって。

▪️原画を一望できる百町森の世界

百町森を再現した空間。原画が一望できる。

原画が飾られているのは百町森の世界を再現した空間。ゆるい坂道や丘もあって、丘からは全体が見渡せる。

丘に見立てた階段は、物語の最初、ぬいぐるみのプーさんがクリストファーロビンに連れられ(ひきづられ?)階段をパタンパタンと降りてくる場面と、
物語の最後、クリストファー・ロビンとプーさんが丘の上でお別れする場面を想起させる。

階段のてっぺんに座っていると、プーさんのお話とともに、幼い頃の自分と再会している気分にもなった。自分にもあった、子どもの頃。戻りたくなったら、いつでも、戻ってきていいよ、って言われたような気がしたよ。

丘の上からは原画が一望できる。

▪️過去から、現在、そして未来へ。

音と光、映像が映し出される布の揺らぎ。
五感で味わう幻想的な空間。

展示会の最後は、現在の技術を使った映像のインスタレーション。ごく最近のアッシュダウンの森が揺れるスクリーンに映し出されている。
静かに、腰掛け、耳を澄ませていると、鳥のさえずりが聞こえてくる。木漏れ日の光が風でそよぐのに合わせて踊っている。五感で森を楽しむことができる、やさしい空間。

▪️プーさんの世界を味わい尽くす工夫

その他にも、今回の展示ではクマのプーさんの世界を味わい尽くす工夫が会場のあちこちに仕掛けられている。

例えば、百町森の展示コーナーまでのアプローチでは梨木香歩さんの詩が書かれたいくつもの布がぶら下がっていて、小道をくぐり抜けながら、原画が待つ空間へと誘ってくれる。

百町森の丘では、坂本美雨さんが朗読する『クリストファー・ロビンのうた』が流れていて、音のシャワーを浴びることができる。

一般的な展示会では、順路に従い、壁に飾られた絵を眺め、解説を食い入るように読み込んでいくうちに足が棒立ちでくたくたになり、出る頃には疲労感を覚えるのだけれど、プーさん展は、気になるところを行ったり来たり、自由に回ることができる。「よかったら、ぜひ座ってみてください、感じてみてください」とほっと一息腰掛けられるソファや椅子や階段がいろんなところに設けられている。

梨木香歩さんの詩を味わいながら百町森へ。
順路というよりは、ハイキングの案内板みたいに、ゆるゆる案内してくれる。

絵本の世界を一緒に過ごす旅に出かける気分。あるいは絵や言葉のマッサージを受けているような感じだった。

名穂さんとはその後、お茶もご一緒できて。(実は大学時代の友人なのでした)幸せなひと時を、本当にありがとう😊

長々書いちゃったけど、とにかく素晴らしかったので。タイミング合えば、ぜひ、行ってみてね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?