【朝ドラ】自己プロデュース力とプレゼン力は万太郎に学べ。らんまんが教えてくれるVUCA時代に必要な、資質・能力の活かし方
5/17のNHK朝ドラ『らんまん』では神木隆之介さん演じる万太郎が、博物館でもらった紹介状を手に東京大学の植物学教室の門を叩きます。
(以下ネタバレ含むのでまだご覧になってない方は注意)
「小学校中退の分際で、他の学生たちが苦労した段取りも踏まず、天下の東大に入ろうとするとは、お門違いも甚だしい」と、万太郎は入学のために必要な手続きや段取り、世の中の常識や道理など、一般人であれば目標達成のために避けて通れない道をすっ飛ばしてやってきたことを咎められます。
それでも、万太郎は見事なプレゼン力と、興味深い資料の数々、揺るがない情熱、溢れ出る知性によって、要潤さん演じる植物学教室の初代教授、田邊をして「I want you here(私はあなたがここにいてほしい)」と言わしめるのです。
ドラマを見ながら、私の頭の中ではくるくると走馬灯のように、高校受験や大学受験、学生会議やラジオ番組、就職、転職活動など、数々の面談、面接、オーディションを受けてきた当時のことが走馬灯のように駆け巡っていました。
万太郎ほど飛び抜けてはいませんが、私自身も世の中の常識や道理に従うこと、必要な段取りを踏むことに懐疑的で、若い頃は特に、周囲のスピードや、やっていることに合わせるのが苦痛でした。
それでも、ラッキーなことに、人とは違う私なりの良さを評価してくださる方がいて、通常の受験勉強や就職活動のルートを辿らずとも、是非いらっしゃい、あるいは、ご一緒しましょう、と声をかけていただきながら、面白そうなキャリアに挑戦し続けることができています。
また、ついつい常識から外れてしまう私でも、綾や武雄のように、味方になってくれる心の広い家族や友人に恵まれ、なんとか、自分らしさをキープしながら生活することができています。
今日の放送回で胸が熱くなった方は、きっと、『世の中の常識』に一度は押しつぶされそうになった方ではないでしょうか。
でも、大丈夫。自分が大切にしていること、自分らしさを忘れなければ、いつかきっと、その異才を認めてくれる人との出会いによって、勇気づけられ、道は切り開かれる。
そんな自分を肯定してくれる希望の光を感じたのだと思います。
もちろん、ただ、好きなことを好きと言っているだけではダメで、万太郎の場合は、自分はその場に相応しい人間であることを裏付ける見た目(スーツを新調)と、内面(植物への情熱)、膨大な資料、それに自分を認めてくれる人の紹介状を準備して臨んでいました。
道なき道からゴールを目指す時の天才なりの策略が垣間見れ、なるほどなーと感心させられました。
もう一つ、ついつい耳を傾けてしまう万太郎のプレゼンの力は、
ここ数日の「らんまん」の中で、不意に訪れる弁論の機会や、憧れの寿恵子との再会の場でも異彩を放っていて、併せて書き留めておこうと思います。
「名もない雑草なんてこの世にはいない。人がその名前を知らないだけ。名前だけでなく、毒があるのか、薬になるのか。その力だって人は知らない。…けれど、どの草だって、しっかりと根を張って、今ここにいる。命を繋いでいく」
→どんな人間にも、生きる価値がある。自分らしさを発揮して次世代に渡していく権利と義務がある。
「植物には足がない。一度咲いたら、そこで枯れていく。だからその草花に会いたいならこちらから出向かないといけない。出向いていったからといって必ず会えるわけでもない。こうして出会えたことが、もう奇跡です。今、ここで、会えたことが嬉しくて、ベラベラ話してしまうんです」
→こちらから向かってきてはくれないあなたに会いにきました。会いに行ったって、会えないかもしれない。でも、今、ここで、僕はあなたに会えた。嬉しくて嬉しくてたまりません。
万太郎は植物のことしか言ってないのに、独特の説得力をもって、自由民権運動の演説にも、愛情表現にもしてしまう。
それは脚本家さんの仕込みなのかもしれないけれど、一つの道を極めた人の独特の言語感覚として、興味深く受け止めています。
万太郎がもつ、独特の自己プロデュース力とプレゼン力。
描く時代は昔でも、先行き不透明なVUCA時代に求められる資質・能力に通じる部分がたくさんあり、引き続き楽しみにしています。
※VUCA(ブーカ)とは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)という4つの単語の頭文字をとった言葉で、目まぐるしく変転する予測困難な状況を意味します。
※日経クロスウーマンブログより転載
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