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ハーバードの宿題の量

ハーバードの授業の負荷は「受験勉強くらい」と言われることがありますが、実際どれくらい時間と労力がかかるのでしょうか。
当然コースにより、実際ハーバードの修士と博士で大きく違う印象があります。
この記事では、負荷量を具体的に紹介します。目指している方は、合格後の参考としてみてください。


ハーバードの宿題の量

まずはじめに、大学院によって全然違う事を了承ください。
公衆衛生大学院の中でも、コースによって全然違います。

例えば:
疫学科や統計科→いわゆる講義形式がメイン。プログラミングの課題も多い
Global health→discussionが多く、readingの負荷が大きい。ケネディスクールに似ている
医療政策→ケーススタディ(discussionの一型)が多い。ビジネススクールに似ている

ポイントは、例えば疫学科のコースにいても、医療政策の授業も取れるということ。
(他の大学院やMITの授業も取れます)
当然ですが、何の授業を取るかでtotalの負荷量は異なってきます。

一方、その科で必修の科目というものも当然あります。
そして概して必修の科目の負荷量が大きいです。

実は、公衆衛生大学院の中で負荷が大きくて有名なのが疫学科(だと思います)。
この疫学コースの授業を大部分経験した私が、具体的な負荷量を紹介します。


修士レベル

例えば秋学期(9-12月)。疫学修士のコアの授業は、
・疫学入門:5単位
・生物統計入門:5単位
というのが必修であります。
(大体計20単位くらいを取るので、その半分の単位数です)


✔疫学入門

自分は入学前に複数の論文を書いていたので、前提知識は多くの同僚よりはある状態でした。
しかし、ハーバードに限ってですが、因果推論の「counterfactual」という概念を習得することに重きが置かれており、これが中々大変です。

具体的には、授業は1週間に90分×2(講義形式)、Lab(teaching assistant [TA]が行う補完授業)が1週間に90分×1、宿題が1つ、といった感じです。
この宿題が結構大変で、
・最初に一通りやりきるのに数時間(〜5時間)くらい
・友達とのdiscussionが計3時間くらい
・TA sessionといって、TAに質問する時間があるのですが、これに参加→手直しで数時間(しないと高得点は難しい)
というので、だいたい10時間くらいかかりました。
(自分はPhDに入学するため高得点を狙っていたので、ちょっと長めかもしれません)

さらに、中間試験と期末試験が秋学期に2つずつあります。
この勉強時間は、それぞれ~10時間くらい。
まあまあな負荷でした。


✔統計入門

授業スケジュールは疫学入門と同じで、宿題の頻度も毎週です。
統計の授業は、実は採点が(疫学より)甘いので、宿題の答えをすごく厳密に推敲する必要はないのですが、、、
量は多いです。
どれくらい多いかと言うと、最初に一通りやりきるのに5時間くらいかかります。
僕は土曜にこの宿題をやると決めていたので、だいたい朝から始めて1-2時くらいに終わる、といった感じでした。

試験は秋学期に3回あって、open bookといって資料持ち込み可なので、準備はそんなに大変ではありませんでした。


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必修はこんな感じです。
必修以外の選択の授業は、同じ単位数で負荷がだいたい半分〜それ以下くらいでした。
ただ、苦労した分だけ得られるものは大きく、上2つの授業でかなり知見が深まった感がありました。

春学期は負荷がやや軽くなりました(慣れもあるかもしれません)。

まとめるとこんな感じです:
・「勉強」するのは久しぶりだったので、結構疲れる
・ずっと課題に追われる
・平日は20時くらい、土日は最低それぞれ半日くらい宿題に費やす必要がある
・でも飲み会などのイベントに参加する余力はある(いろんな誘惑がありますが、あれもこれもと手を出すのは無理)
・「もう無理!!」となってドロップアウトすることには、ほとんどの人はならなそう(入学した人なら)
・循環器内科医として働いているよりは、体力的には全然忙しくない



博士レベル

博士は「お金をもらって勉強する」という立場なので、当然負荷量が違います。
今まさに経験していますが、はっきりいってかなりキツイです。

具体的には秋学期のコアの授業は
・疫学の発展レベル(5単位)
・統計のやや発展レベル(5単位)
・博士全員に共通の統計の授業(5単位)
・博士全員に共通の社会行動科学の授業(2.5単位)


✔疫学の発展レベル(5単位)

負荷量は修士の疫学入門と同程度です。
毎週宿題があります。
内容はかなり発展的ですが、慣れているので負荷量が同じくらい、ということです。

博士は成績を気にする必要がない、と思いきや、一定以下の成績を取ると退学になってしまうので、それなりにプレッシャーはあります。

*修士では成績が悪いとハーバードに進学できなくなるので、プレッシャーは修士の方が大きいです。


✔統計のやや発展レベル(5単位)
これは絶対必修というわけではありませんが、推奨されているクラスです。
負荷は修士の統計入門と同程度。内容は発展的ですが、慣れているため・・ということです。
宿題も毎週。かなりの量です。
simulationがメインの授業で、実際自分にとって結構な難しさです。


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以上の2つを合わせて、疫学修士必修の負荷くらいなのですが、それに加えて・・・

✔博士全員に共通の統計の授業(5単位)

これはかなりの負荷。上と同様+αくらいです。
内容はかぶっているので、僕は幸いにも免除(waiver)しているのですが、3回あるテストは受けなければなりません。落ちると退学に近づきます。


✔博士全員に共通の社会行動科学の授業(2.5単位)

これは2.5単位ですが、半端でない負荷量です。
自分に馴染みのないトピックだからかもしれませんが、毎週50〜100ページくらいの教科書+論文を読み、理解することが求められます。
授業自体はDiscussionがベースです。


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さらに選択の授業もあるので、博士課程の負荷は修士の1.5倍くらいの印象
やってもやっても終わりません。。。。。

これこそ、昔の大学受験の状態に近いと思います。
より正確には、数学+社会の科目だけを英語でやってる感じです。



どうでしょうか?
大変ですが、やっただけの効果はあります。
社会人になると大多数の人は自分のための勉強時間を確保することが難しいので、そういう意味では贅沢ですね。
ではまた。

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