『三人姉妹』

7/23 兵庫県立ピッコロ劇団『三人姉妹』

チェーホフ作品、久々に観ました。
大学時代に『ワーニャ伯父さん』『かもめ』は観ておりますが…(今気が付いたけど『桜の園』だけまだじゃない)。
これまでは、正直な所、チェーホフには暗い印象ばかりが、残ってしまっていた。なんだか、言葉も心なしか説教みたいで、自分には「まだ合わない」と思っていました。

さて、演出の島守さんのコメント(「into」より)によると、これまでの日本のチェーホフ作品の翻訳は、読み物としての意識から文章の区切り方が原語と変わってしまったり、翻訳者の解釈が入ってしまうこともあったようです。いわゆる、「翻訳ものの弊害」というものでしょうか。演劇に限らず、文学や映画にもありがちですね。
島守さんは、本来のチェーホフの意図がより伝わるように、文章の順番や句読点にもこだわって、翻訳されたとのこと。
その結果なのか、今回はこれまでのような重たい印象だけで終わってしまうことはなく、登場人物から発せられる言葉と感情が自分の中にすっと落ちてきて、むしろ清々しさすら感じました。

とはいえ…何度も繰り返され他作品にも登場する「働かなくては」という言葉に、ようやく理解が追いついたような感覚もあります。
そこには明るい未来しか感じられない時もあれば、そうすることでしか自分を保てない時もあります。
でも最後には、結局は全ては自分がそうしなければ何も終わらず、何も始まらないことを察した強さにも感じました。

今回は中ホールということで、限られた空間ではあるものの、白樺の林を思わせるまっすぐな木のセットと階段に区切られた3つの高低差のある舞台が、時には登場人物の心の距離感を表すことに一助しているようで、とても好きでした。


懐かしい方々に、いろんな形で会えてそういう意味でも楽しかった笑
梅山先生と観劇かぶって、転職報告もした笑 「社会人になっても観劇はまだしているのね」と言われて、少し嬉しかった。最近はヅカ多かったけど、面白そうな作品はたくさん観て、こうして文章に残していくことがひとまずの目標ですね。(と言っているのに、コロナ感染やら引っ越しやらで今更公開になっちゃった。)

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