地域でフードロスを減らす「コミュニティ冷蔵庫」
先日、飲食店や個人が余らせている食べ物をシェアする「フードシェアリング」という取り組みをご紹介しました。
おトクに食べ物を手に入れてフードロスの削減にも貢献できる画期的なサービスですが、アプリを使ったサービスだとスマホを持っている人しか参加できないし、事前に出品者とオンラインでやり取りする必要があるため、誰でも簡単に利用できるとは言い切れません。
そんな中、新たに注目を集めているフードシェアリングの形が「コミュニティ・フリッジ(冷蔵庫)」。
公共の場に設置された大きな冷蔵庫に個人や飲食店が不要な食べ物を冷蔵庫に入れて、その食べ物は誰でも持って帰ることができます。
地域の住民とお店が一緒になってフードロスを減らすコミュニティ冷蔵庫はヨーロッパで増えてきているらしく、ロンドンには2016年に第1号が誕生しました。そんなロンドン初のコミュニティ・フリッジを、私も使ってみました。
ロンドンのコミュニティ冷蔵庫誕生まで
テムズ川を渡った先、ロンドン南部のブリクストンという地域。ロックスター、デヴィッド・ボウイの出身地でもあるこの地に、ロンドン初のコミュニティ・フリッジはあります。
すでにドイツやスペイン、インド、そしてイギリス国内でも南西部のサマセットで導入されていたというコミュニティ冷蔵庫。ロンドンでもやってみよう!とブリクストンの住民たちを中心にクラウドファンディングが行われました。
クラウドファンディングで見事目標額の2000ポンドを超える2270ポンド(約33万円)を集め、2016年5月に「The People's Fridge」という名前の冷蔵庫が誕生しました。(参考:The People's Fridge公式ページ)
地域に根ざしたクリエイティブ・スペース
親しみやすいように「フレディ」という愛称を付けられたこの冷蔵庫は、こだわりを持った作り手たちを応援するクリエイティブ・スペース「ポップ・ブリクストン」内に設置されています。ここがまた、超かっこいいので、冷蔵庫を見に行く前にぐるっと一回りしてみました。
放棄されていた土地を活用して、こんなにオシャレで地域に根ざした施設を生み出してしまうクリエイティビティに関心しました。2階にはテーブルが椅子があって、1階で買ったごはんを食べる人、ビールを飲む人、はしゃいで遊ぶ子どもなど、それぞれがこのスペースを好きなように利用していました。これぞクリエイティブ・スペースのあり方ですね。
そんな2階には花壇もあるのですが、よく見ると...「食べられそうなものが見つかれば、取っていいよ」と書いてあります!
そう、ここポップ・ブリクストンではアーバン・ファーミングも行われているんです。ここで育てられたハーブや野菜は施設内の飲食店でも使用されているそう。週に1度開催されているワークショップには、誰でも無料で参加できます。なんでもあるな、ここ...
実際に冷蔵庫を利用してみる
さて、いよいよお目当ての冷蔵庫のもとへ。
野菜や果物のほかに、オーガニックのコーヒーチェーン「プレタマンジェ」が寄付したサラダやサンドイッチもたくさん入っています。こちらが、お昼の12時ごろに撮影した写真。
そのあと、15時ごろに戻ってみると...
さっきのサラダや果物が無くなっている〜!代わりに、パンが加わっています。ちゃんと利用されている証拠ですね。
「持って帰るなら何かを入れて帰らなければいけない」という交換制ではなく、入れるだけ、持ち帰るだけもOK。管理のために、左下に映っているノートに寄付する/もらう食べ物を記載するだけなのでとっても簡単です。
ちょうど朝食用にパンが欲しいな〜と思っていたところだったので、私もパンをもらって帰って、今朝美味しくいただきました。
(通っているコミュニティガーデンで教えてもらった方法で、窓際で栽培しているレンズ豆スプラウトと、ブリクストンのヴィーガンチーズ専門店!で買ったカシュークリームで)
今回コミュニティ冷蔵庫を使ってみて、個人的には東京での寮生活を思い出しました。私が住んでいた寮には、消費しきれない食べ物や着なくなった服を「Take free」と書いた棚や袋に入れておいて、住人どうしで分け合う文化がありました。シェアハウスや寮で同様のことをしている人は多いのでは?
1人暮らしだと特に、食材を使い切れなくてダメにしてしまった経験のある人が多いかもしれません。そんな人たちにとって、都会でも気軽に「おすそ分け」しあえるコミュニティ冷蔵庫は画期的な取り組みですよね。
冷蔵庫の購入や日々の電気代、衛生面などを管理するスタッフ(フレディはボランティアによって毎日チェックされているようです)など、運営にはお金と人員がかかりますが... 日本でもクラウド・ファンディングを活用すればできるかも?
ぜひ実現したいものです。
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