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方向転換を解剖する

動きにキレがない
相手の動きについていけない
動き出しが遅い

こういったものは対人スポーツでよく挙げられる課題だと思います。
今回帯同チームから方向転換時の身体の使い方の指導を依頼され、改めて自身でまとめたので、共有できればと思います。

今回はスポーツを行っている学生やスポーツ選手への指導を想定した内容となっています。

無駄のない方向転換は上記のような課題をクリアするためのヒントになると思うので、ぜひ最後まで見ていってください。

また今回は方向転換に伴う知覚・意思決定の要素(相手との読み合い、判断など)には触れません。



方向転換の要素

方向転換を分解して考えると3つの要素になります。

減速
切り返し
加速

理想的な方向転換は
①一歩目で減速を済ませて
②二歩目をついた瞬間に切り返す
③ニ歩目を床から足を離す、上半身も進行方向へ回旋する
    持ち上げた二歩目で加速し三歩目につなげる

となります。



よくあるキレのない切り返しは
①一歩目で減速しきれず
②二歩目も減速に使いベタッと床につく、
③二歩目が床から離れず、引き上げられない。上半身は進行方向へ向けていない 三歩目が出るのが遅れる

となります。


もう分かる人も多いと思いますが、一歩目で減速できるかどうかがかなり重要です。
また近年言われている、腰より上の身体パーツを先に動かすような意識も切り返しの瞬間は重要です。


マインドセット

次に選手への意識のもたせ方も触れておこうと思います。
どれだけコツを教えても、結局は自分の身体で体得、体験できたものが選手にとって全てです。どれだけ動ける感覚を体験させられるか(コーチ)、体験しようとするか(選手)という双方の努力が重要です。

・練習ごとにタイムを縮めようと全力を出す
・どうすれば早くなるか常に考え続ける
・無駄な力は抜き、重要な部分・場面に注力する

練習ごとに確認しながらトレーニングを行います。


180°フロントターン

重要なポイントをまとめていきます。


①体の向きを90°変えながら一歩目をつく
股関節を引き込み、体重を乗せる感覚を掴む


②二歩目をついた瞬間に切り返す
腹圧を高め、足首を固めて、床からの反力を逃さないようにする
ニ歩目の足が地面についている時間はできるだけ短くする



③腰から上の身体を進行方向へ回旋し、同時に二歩目の足を引き上げる
引き上げたニ歩目から三歩目へ繋げる


サイドステップ


外側の足(蹴り足)は外に開かず、伸展・内転・内旋して絞るように使う
壁に対して肘を立てて外側の足で押すように力を入れると理解しやすい

内側の足(前足)は足を上げるというより、骨盤挙上(体幹側屈筋)するように使う

実際のディフェンスを想定すると真横に移動することは少ない
→斜め後ろに向かって外足を蹴ることで上半身を開かずにすむ


ここまで読んでいただきありがとうございました。
また次回の記事も見ていただけると嬉しいです。


参考文献

Lumbar axial torque actively induces trunk axial rotation during sidestep
cutting manoeuvre: Insight to expand the trunk control concept.2020.Journal of Biomechanics.Natsuki Sado,他

光刺激による状況判断の有無が方向転換動作に及ぼす影響.体育学研究.2021.
河原布紗子,他

方向転換能力に関与する体力・技術要素の検討.人間科学研究.2007
朽原 優

方向転換能力に関する科学的研究.NSCA JAPAN.
山下 大地

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