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【読書感想文】知性に殴られたいときに読む『人間の建設』【積読】

膨大な知性でもって、人間は思考する生き物だということを思い出させてくれました。最近何も考えてないなーとか頭を働かせずルーティンで生きているなーと危機感をもったときに読むとよいかも。読むと賢くなった気になれます。
『人間の建設』著:小林秀雄、岡潔


あらすじ

日本数学史上最大の数学者と日本の近代批評を確立した評論家、いわば理系の歴史的天才と文系の歴史的天才による雑談。それぞれの専門分野はもちろん、教育、政治、哲学、美術など主題は多岐にわたる。そのすべてが示唆に富んでいる、日本史上で最も知的な対話集である。

感想

専門分野以外の事柄にも思考を巡らせ、自身の言葉にできる。こういうのを知性というんだなと思わせてくれました。ある不変の真理に到達しているかそれに近いところにいる知の巨人たちが、凡人にも分かるように言語化してくれたのかなとも思える雑談。ただの和やかな雑談ではなくある種の緊張感も孕んでいます。俗っぽい言い方をすると、知性のカードを何枚ももっていてお互いにカードバトルをしているような…読んでいる間そんな情景が浮かんでしまい、ハラハラドキドキして楽しかったです。
高校の倫理の授業のようで、高校生だったころ倫理の先生が大好きで毎回授業を楽しみにしていたことを思い出しました。あの頃の私はこういう話を延々と聞いていたいと願っていました。

好きな文

芸術はくたびれをなおすもので、くたびれさせるものではないのです。

『人間の建設』P18

人はずいぶんいろいろなことを知っているようにみえますが、いまの人間には、たいていのことは肯定する力も否定する力もないのです。

『人間の建設』P50

この本との出会い

読む本のジャンルを固定してしまうタイプで、普段はミステリーばかり読んでいます。偏りすぎているのもいかがなものかとふと思った時があって、Instagramでみた「梟書茶房」という書店に行きました。ここは全ての本にカバーがかけられており、題名もあらすじもわかりません。感想とおすすめの理由だけが書かれており、客は直感で本を選ぶ、そんな場所です。『人間の建設』はそこで出会った本のうちの1冊になります。素敵な本に出会わせてくれてありがとう!

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