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AIアルゴリズムを活用した浄化槽遠隔監視用のメンテナンスフリーな新センサーの開発【株式会社Nocnum】

日本や世界では現在主に2種類の排水処理システムが使われています。
1つはオンサイト排水処理、もう1つは集中型排水処理です。

オンサイト排水処理は地方や山間部などの人口密度の低いエリアで使われており、家庭など少人数単位で1つの処理設備(浄化槽)を用いるシステムです。
対して集中型排水処理は都市部や人口集中地域などで使われており、数万人を超える人数単位で1つの処理設備(下水処理場)を用いるシステムです。

株式会社Nocnum(以下Nocnum)は、前者のオンサイト排水処理で使われる、浄化槽の異常を検知するIoTセンサーを開発しています。


なぜやっているか

オンサイト排水処理で使われる浄化槽は小型ながら下水処理場並みの高い処理性能を誇ります。
日本国内での使用者は1000万人以上にも上り、また日本の高い技術が駆使された浄化槽は国外にも輸出されています。
Nocnumは将来的に「世界から未処理排水をなくす」ことを目指しており、高性能でサステイナブルな排水処理設備の開発〜輸出まで手がけることを目標としています。
特に排水処理インフラの整備が開発段階にある発展途上国に普及させるためには、煩雑な設備の維持管理を抜本的に変革させることは必須。
そのための第一歩として排水処理設備の遠隔監視・自動制御には欠かせないIoTセンサーの開発に取り組んでいます。

日本国内でもオンサイト処理が採用されている地域では浄化槽の維持管理コスト低減の強いニーズがあります。
というのも、浄化槽は少人数単位毎に設置されるという特性上、その管理を常駐スタッフをつけて行うことは基本的には無く、定期的な保守点検を行うことで維持管理を行っています。
点検に加えて清掃と法定検査といったメンテナンスが必要ですが、多くの場合、個人の知識とスキルに依存する状態になっていることがオンサイト処理の持続性に関わる課題となっているのです。

法定検査を含むため、専門知識も必要になる

さらに、点検を行う整備士・管理士は、現在60%が50歳以上であり、10年後の著しい人手不足も懸念されます。

Nocnumは浄化槽内の異常を検知できるIoTセンサーを開発することで、遠隔監視による維持管理のDXに取り組んでいます。
点検や修理の必要なタイミングが予め分かることで訪問回数を減らすことができれば、業者側のリソースの温存とコスト削減に繋がるというわけです。

どうやっているか

Nocnumは世界初のオンサイト型排水処理システム用のIoTセンサー&AIを開発。
低消費電力で長期間の使用が可能なIoT水質センサーで浄化槽内の水質を遠隔監視します。
遠隔監視された水質データはAIを使った異常検知モデルに供され、浄化槽のパフォーマンス低下をリアルタイムに検知。
浄化槽の維持管理者に異常アラートが発信され、事前に状態がわかったまま点検・修理の訪問に行くというフローが実現できるようになります。NocnumのIoTセンサー&AIは、”現場に行かないと状況がわからない”浄化槽の維持管理をデジタルトランスフォーメーションする新しいシステムなのです。

Nocnumのセンサーのコア技術

たけはらDXでの取り組み内容

NocnumはたけはらDXを、小型浄化槽向けサービス導入による事業者の業務効率化の可視化、および大型浄化槽向けの新製品開発のためのフィールドとして活用。
市内で利用されている家庭用の小型浄化槽と、地元小学校などで使われる大型浄化槽を借りて点検回数の実効性の検証を行いながら、センサー性能の向上に挑戦します。

主な検証内容は以下4つ。

センサー導入による維持管理事業者の業務効率化の評価

竹原市内で利用されている家庭用浄化槽(5〜7人)においてNocnumの提供するIoTセンサーを設置し、浄化槽内の水質を遠隔測定し、浄化槽の処理能力を遠隔監視します。
設置の場所や設置方法についてのフィードバックを得るとともに、遠隔測定・監視した情報をもとにした意思決定補助ツールを連携事業者に提供。
連携事業者との密なコミュニケーションによって、サービス導入がどの程度業務の変化や効率化につながるかを調査していきます。

大型浄化槽向け水質推定センサーの開発

センサーで遠隔測定は困難だけれど大型浄化槽の維持管理に必要不可欠な処理水の水質を、センサーで遠隔測定が可能な代替指標から推定するソフトウェアセンサーを開発します。

浄化槽異常検知モデルの大型浄化槽における性能の検証

たけはらDX以前では、異常検知モデルは小型浄化槽でのみ実証を行っていたことから、本実験では実験サイトにIoTセンサーを設置し、大型浄化槽処理水の水質を遠隔測定します。
IoT水質センサーの測定値から異常検知モデルによるパフォーマンス低下の判定を行い、毎日測定する処理水質の実測値と比較しながら大型浄化槽における上記モデルの性能を評価・向上していきます。

制度改正のための実効性の検証

竹原市内の実験において、IoTセンサーを導入することで発生する可能性のある危険等を検証し、改善します。
また、小型浄化槽向けIoTセンサー導入による点検回数低減可能性を明らかにすることで制度改正に向けた実効性の検証を行います。 


Nocnumと竹原がコラボレーションする本プロジェクトの進捗は今後もこちらのnoteで紹介していきます。乞うご期待!!



◾️たけはらDX公式ホームページ
https://takehara-dx.local-innovation.jp/

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