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「料理が仕事」の自分が、毎年GWには断食道場に行くと決めたワケ

自己紹介

こんにちは!鎌倉在住で料理を仕事にしている本多理恵子です。

2007年より鎌倉ので自宅カフェ(現在は休業)と料理教室を主宰し、手ぶら参加の料理教室はのべ13000人の方に参加いただいています。


そしてこの度、5月2日に6冊目の自著『ごはん作りの絶望に寄り添うレシピ』を出版しました。

「食」を仕事にしていながら、実は料理は好きでも大得意でもない
・・・という独特の立ち位置です。

初出版は『料理が苦痛だ』です


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この本は私の心の声とお客様と触れ合う中で体感したことを素直に書きました。

とても大きな反響をいただき、ごはん作りの現場に蔓延している小さなストレスが顕在化したと思います。


そんな私がご紹介する料理は「その手間なくてもいいですか?」「これならできますよねぇ」という斜め下から目線料理であり、
すなわち「できない側」「しんどい側」に立ち、解決策やアイデアを提案することが目指すところです。

そうなると当然、毎日は何かしら「料理のこと」を考え続けています。

さらに、自分や家族のために作るプライベートな料理シーンは必ず「試作」となりますから、大抵いつも「もう飽きた」「外食で好きなものを自由に食べたい」と思っているという「食の矛盾」を抱えていますw

ですから、自由に食べられる時に選ぶものは必要以上に好きなものに偏ってしまうのです。

私の好きなもの=甘いも&お酒。

・・・つまり「糖質サイコー!」という恐ろしい嗜好なので、まさに「カロリー過多の栄養不足」状態だと痛感しています。

「医者の不養生」とでもいいましょうか・・・
「料理研究家の栄養不足」です。

(そもそも料理研究家じゃありませんけど)
(そして、他の料理研究家の方はきっと素晴らしい食事を摂っていらっしゃいます)

自分のごはんはどうでもよくなっている現実


伝えるべきレシピを考えて・・・
家族のごはんを用意している間に・・・
結局「自分のごはん」はもうどうでもよくなっている。
というのが実情です。

作ったけどもう食べたくない。
お菓子をつまんでハイ終了!と言った有様です。

・・・って・・・仕事柄、公表してはいけないレベルですw
加えて、当然年を取れば自然と我が身に「経年不調」も勃発します。

そこで私は思いつきました!!

一旦自分の食習慣をリセットした方がいい!と。

ちなみに地元鎌倉は、GWは一年でも特に観光客であふれかえり、
とてもまともな生活ができない!という悩みを抱えています。
住民にとっては最高にストレスフルの時期なのです。


だったら鎌倉を離れよう!

そうだ!GWは年に一度「自分の食を見直す機会にしよう!

もう、我ながらナイスすぎる思い付きです。

はぁ・・・前置きかなり長くなりましたが、それが私が「GWに断食道場に行く」理由です。

そこで去年はこちらへ・・・


ちなみにこちらには数年前に初滞在したので、昨年は2度目の利用でした。

初回は断食にビビってしまい「養生食コース」というカロリーと量を控えたご飯付きのプランで申し込みました。
それでも初めてだったのでまだ体が柔軟に反応したのでしょうか?

体重は少し減って多少スッキリしました。
しかし、滞在中はずっと頭痛に悩まされれました。
頭痛はよくあることだと聞いています。

そして去年は意を決して、同じ施設の3泊4日の「断食コース」へ!
ほとんど固形物を食べない日々でしたが、心配していた頭痛も極度の空腹感もなく結構大丈夫でした。
しかもじっとしていられない性格ゆえ、日中はあちこち散歩で大汗w
施設に置いてある「どくだみ茶」も飲みまくり、快調状態をキープ!

滞在中は1.5キロくらいの減量でしたが、帰ってきてからも暴飲暴食せずに少しだけ痩せつづけ、合計3㎏減で一回りシュッとしました(自分比)

なにせ、5年ぶりにプロフィール写真を更新しよう!とカメラマンさんを予約していましたから、その点では「ガチ」ですw

2021プロフィール2

<↑当然、微修正しています!>

コロナ禍で自分の食が乱れまくっている

そして無事撮影も終え、気付けばコロナ禍ということもあり
運動不足やストレスで当然?めきめきと体重を取り戻し、さらには追い越している自分がいました。

そして今年・・・

自分の体調に変化もあり、体重を減らすとか痩せるとかは結構どうでもよくなっています。
それよりも「ダラダラ食べてしまう」「ストレスで過剰に食べてしまう」・・・

とにかく、乱れたマインドと食習慣を断ち切りたい!
が大きな目的となっていました。

そんなとき、FB広告で見つけたこちら・・・

4月末にオープンする新しい施設で、精進料理をいただく半断食の道場です。早速申し込むとすでに1泊以外は満室。
とりあえずキャンセル待ちをお願いしたら、あれよあれよという間に希望日3泊で予約できました。

何事も、その時のその人の真剣さがふるいにかけられてご縁が回ってくるような気がします。

そしてはるばる浜松まで新幹線で向かう道中、すでに楽しみがあふれだし浮かれている自分がいます!

「いつものところ」から身も心も離れることのインパクトを強く強く感じながら、ワクワクが止まりません。

「当日のお昼は抜いてきてください」というお達しも、
私の目的は断食で痩せるというより食の見直しだからね!
・・・という謎の自分ルールを発動し、駅のカフェでしっかりスイーツを堪能㊙(これから3日間食べられませんから!!)


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そして施設となる龍雲寺に到着!!
小雨降る中、落ち着いたたたずまいが素敵です。

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いよいよ断食道場へ


中に入るとお坊さんが丁寧に案内してくださり、お茶を飲みながら受付を済ませさっそく宿泊施設に案内されます。

本堂からお墓を抜けて階段をそれなりに上ります。

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息切れしてしんどくなり始めたころ目の前に現れる立派な施設が・・・

じゃじゃーーーん!!

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出来たばかりのキレイすぎる建物。
しかも高台にあるので佐鳴湖一望の絶好のロケーションです。

これでリセットできないわけがない!!という最高の環境。


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お部屋は湖が見渡せるテラス付きの個室で、バストイレ完備。
デスクには金澤翔子さんの書が飾られ、当然バリバリWi-Fiとんでます。


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希望者にはデジタルデトックスも対応して下さり、スマホやパソコンを預かっていただくこともできますが、
当方・・・残念ながら仕事持ち込みです。

しかも、レシピを30個考えなければならない・・・という
断食にはもってこいwの発注をいただきましたーーー😢

隙間時間はお腹をグーグーならしながら、必死にレシピを考案する「修行」に取り組みました‼️

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個室は水回りもキレイで、ドライヤーやらポットもあります。
部屋に置いてあるタンブラーは1階の広間でお茶をいただく時に使います。
こちらも好きなものを飲み放題。

冷えた炭酸水もボトルで用意されています。

また、アメニティは受付にたくさん置いてあるので各自自由に持って行きます。
私はバスソルトを都度いただき、1日何度も好きな時に好きな曲を聴きながらのんびりバスタイム堪能しました!

何しろ、一人時間充実のためにアロマオイルとスピーカーは家から持参しています。快適&癒されまくりでテンション爆上げです。
こういう準備だけは万端なのですw

ちなみに前回の完全断食のときに、血糖値が下がって震えるくらいだったので、「生姜湯」を持参。

どうしても甘いものを欲した時にうすーーーくお湯でといていただきました。

このへんの塩梅も個人にゆだねられています。

・・・あれ?落ち着くというよりワクワクが止まらない!

自分、なかなか断食をカスタマイズできてるぞ!

しかも、タオルも常に新しいものをいただけ、作務衣も無料貸し出し。
そして洗濯機(洗剤もあります)やガス乾燥機があるので、基本着替えもなにも必要なし!洗濯と乾燥も合わせて1時間もあれば済みます。

ガス乾燥機ファンとしては泣くほど嬉しい設備!

もう・・・完璧すぎる。


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そして、毎日ストレッチ教室やら筋力アップエクササイズは無料参加可能です。
さらにお昼は日替わりで、写経やお経体験、トレッキングなどの体験メニューがあります(こちらも自由参加)

エクササイズ担当のパーソナルトレーナーの方は、私が今まで経験したどの人よりも「わかりやすい伝え方」で、無理なく動かせるのがめちゃくちゃ上手でした!

マジで!

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タイムスケジュールのマストは
・朝のお経と座禅
・夕ご飯と夜のお経と座禅
なので、日中の数時間は全くフリーに過ごすことも可能で
レンタル自転車もあるので、駅までも行けるし、佐鳴湖を一周するコースも素敵です。

自転車なら果てしなく乗り回せる私は、お天気の日を選んで
浜松城やその周辺のパワースポット、そして反対側のうなぎパイの工場と佐鳴湖を一周して帰宅するという壮大なサイクリングを繰り広げヘロヘロになりました。

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あ、当然おやつや間食はしていませんw

さて、お楽しみは1日1食の精進料理!!!

これは浜松に天皇陛下がおいでになった時に調理した料理人さんが担当されていて、膝から崩れ落ちるほど美味しいお料理です。

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とくに、自家製お味噌やお豆腐、油揚げや季節の野菜に煮つけなど・・・
さすがにゆっくり食べて満腹感を得たいので、郷ひろみを真似て「1口30回咀嚼」して食べました。

ごはんは自由によそうシステムで、お櫃の横に計りが用意してあり、
滞在日数に換算して目安のグラム数が記載されています。

私は1食120gでしたが、これ結構多めです。
小さなお茶碗なら小山盛りになるくらいです。


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そして何より、ご飯が美味しい!

何だろうこの幸せ・・・
一生いられる!(あ、そしたら出家か・・・)

ごはんの後は100畳ある本堂にて座禅と寝る前のストレッチ。
これが本当に気持ちよくて、気持ちが落ち着き体がほぐれるのがわかります。


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本堂にある金澤翔子さんの世界一大きな般若心境の前で、灯をけして組む座禅はぜひ一度体験してほしい時間です。


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ちなみに朝の座禅はこの素敵な滝のある庭をぐるりと囲みながら取り組みます。ただただ滝の水音と風でそよぐ木々の音を聞く時間が流れます。


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また、朝晩の読経時間は腹の底から声を出す気持ちよさがあり、朝の読経後は希望者は鐘を突くことができます。

半径2キロに響き渡るそうなので、自分の煩悩が消えていくとともに
近隣の皆様にも恥ずかしくないような音色を出したいと・・・これまた浮かび上がる煩悩との闘いですw

自然に涙が止まらなかった

忘れられないシーンやご住職の言葉がいくつもあります。
特に読経や座禅の前のご住職の講話には、期せずして涙があふれ
マスクをしていて良かった・・・と思う瞬間ばかりでした。


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写経体験で心に残ったのは
「その瞬間、必ず一角しか書くことはできない」という言葉です。
また木魚をたたいて読経する体験では
「二つのことを同時にすることの難しさ」と人前でやり遂げる時に「自分の力以上のものを見せようとし意気込む卑しさと無謀さ」に直面しました。

色々な体験や言葉や環境から、今回一番心に大きく浮かんだ言葉は
「自分の気持ちのコップを不安でいっぱいにしない」です。

自分のコップを何で満たすのか?

木魚体験の後はくじ引きをしました。
翌朝のおつとめの際に、数人がお坊さんの助手として入るためです。

木魚のリズムは読経にとってとても大事です。

しかし、所詮私たちは素人です。

逆に我々のお仲間の弟子がどんなリズムで木魚をたたこうとも、読む側の参加者たちが合わせていくという思いを持ちました。


わずかな時間ながらご縁があって一緒に体験をしている約十数名のお仲間(弟子)である私達。その全員が一体感や連帯感を持てたことはかけがえのない体験と見落としがちな視点を再確認できました。

気付けばそれまでで一番大きな声で、無心で読経している時間がありました。

もうこれだけで涙腺大崩壊です。

なんでもないようなことを、ただただそれだけを味わうことの難しさとありがたさを痛感した一連の修行(というほどでもありませんが)

本当にご住職とお坊さん、パーソナルトレーナーと施設のスタッフの方、お仲間の皆さんに感謝です。


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お世話役のほのぼのと優しいお坊さんはなんと。普通のサラリーマンから転職したお坊さん。

「お休みはありますか?」の質問に、「住職は休みなさい、と言ってくれますが修行が楽しくて!」と満遍の笑みです。

読経をミスって「住職に怒られるからなるべく今日は顔を合わさないようにしている」と呟いていたシーンと重ね合わせても、このお寺の素晴らしさとご住職のお人柄、お坊さんの素直さ全てが伝わってきます。

ちなみに、世襲制だけではおかしい!と、ご住職は広くお坊さんを募って修行の場を提供しています。

私たちのお世話役のお坊さんも数年前までスーツを着たサラリーマン。

私たちが出来ることは、すなわち「自分の生き様をさらけだすだけ」なんだと思いました。

広く地元にもそれ以外にも開かれたお寺さん。色んな歴史やご住職の思いにもしみじみ考えさせられます。

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思いのほか寒くて小雨がちで、屋上の天然芝のヨガができなかったことや、他にもやり残したことがあります。

きっとまた行きます。


というか、また行ける場所を発見できたことの安心感と喜びにあふれています。

本当にありがとうございました!

帰りの浜松駅で餃子を食べたことも正直に告白しておきます。


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たかが数日の体験ですっかり日常の悪習が改まるわけもありません。
しかし、それを選択するもしないも自分次第です。

頭ではわかっていても、今回その「体感」を持てたことは、この上ないギフトだと思っています。


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素晴らしい時間でした。


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心から感謝です。





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