これは「トラウマ」と言っていいのかな、というお話。
玄関で靴を履いた瞬間に、吐き気がする。お腹が痛くなる。あのときの経験が、今も尾を引いていると思う。
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たいそうな出だしで書きはじめたけれど、なんてことはない、これは小学校3年生の1学期の話。
歌を歌うのが、とにかく苦手だった。「来週歌のテストをします」。そう言われた日から、音楽の授業のある火曜日と木曜日だけ学校を休んでいた。クラス全員の前で好きでもない歌を歌うなんて、とんでもない。記憶はあいまいだけれど、火、木、火、木、くらいまでは親にもその法則を見破られることなく休む