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娘の発熱、入院初日の夜(1)不安で心細かったクリニックでの出来事

子どもは兎にも角にも熱を出す。
高熱が下がらずに、ぐったりしている様子を見るのはつらい。一応、看護師。滅多なことでは驚かない私も、我が子の発熱で不安になったことが何度かある。
そのひとつが、次女の2度目の入院のとき。
夜間で、しかもあまり説明を受けずに突然の入院を言い渡されたことで不安が増したときの話。

次女が4歳のときだった。
元気はいまいちだったけれど高熱だったので仕方ないかと思い、食べやすいものをあげたり水分を多めに摂らせたりしていた。

子どもの風邪による発熱は3日程度で下がることが多いので、大抵の小児科では発熱4日目あたりから採血やレントゲンなどの検査を始める。そういう知識があるからこそ、私は少々のことでは小児科受診はしない。しかも夜間ならなおのこと翌朝までは様子をみることにしていた。もちろん解熱剤は常備していた。
でもその日の次女は発熱初日だというのに、夕方からみるみるうちにぐったりし呼吸も荒くなっていった。
これは普通じゃないと感じ、やっぱり行こう、と娘を着替えさせて抱っこし家を出た。すでに外は真っ暗闇。

私は少しビビりながら夜間診療をしているクリニックを受診した。
診てくれた先生は、ちょちょいと聴診器をあてて終了、の1分診療。
「はい、薬出しときまーす」
えっ?
これは、熱に驚いて慌てて受診したな、と思われたに違いない。

それにしてもひどい。
私は慌てて「先生、熱出たばかりなんですけど、ぐったりで普通じゃないんです。水分もとれませんっ。」と猛アピール。
「じゃあ点滴くらいしていく?」と怪訝な顔で言われたけれど「お願いします」と低頭に言った。ここは怪訝な顔をされても我が子のために耐えるに限る。

親の「いつもの発熱のときと違う」という感覚はとても重要視するところだと私は常日頃感じている。自分が受診するときもそうだし、看護師として保護者の話を聞くときも大切な情報として先生に伝えることにしている。
そして、そこをきちんと受け取ってくれる小児科を選びたい。
ただ夜間は選ぶところが限られてくるので「なぜ夜間にわざわざ受診しているのか」をしっかり伝えることが大切だと身をもって感じた。

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娘は看護師に抱っこされ処置室へ連れて行かれても、泣くこともなくぐったりしていた。点滴指示をだしている間に、どういう心境の変化なのか、先生が「一緒に採血もするから」と、すでに処置室のほうへ歩いていく私へ叫んでいたので近くにいた看護師に「分かりました」と答えた。

無事点滴をつながれてぐったりしたまま点滴室で休んでいると、看護師が来て、レントゲンも撮らせてください、と言われ撮りに行った。きっと採血結果があまりよくなかったのだろう。何故なのかはその時には説明がなかった。

数分後、点滴室に先生がやってきて急き立てるように言った。
「お母さん、大変だわ。白血球と炎症反応が異常に高いから今すぐ入院してもらうから。」
ふたたび、え?
と聞き返す間もなく先生はドドドっと去って行き、きちんとした説明はそれ以上なく……。看護師に、どういうことですか?と尋ねたが、待っててくださいね、と言われその後はバタバタと忙しそうな看護師に同じことを聞くのも憚られた。

何事かの説明もなく、事務員がわたわたと点滴室まで会計に来て、手紙をもらって、言われるがままタクシーに乗り込み入院先へと急いだのだった。

いったいどうなってるの?と疑問符が頭の中を大量に飛び回り、その後すぐに「この子こんな夜に入院が必要なほど、そんなに重症な病気なの?」と頭の中は不安だらけになり、心細さで押しつぶされそうになり。
異常にって異常に?
例えば正常値より高かったとしてあんな言い方するだろうか?
ああ、せめてデータの数値を聞いてくれば良かった。
異常にって、とんでもなく高いということだとしたら。
悪い病気の知識がたくさんあるものだから、哀しいかな、こういうときは悪いことしか考えない。でも誰も私に声をかけてくれることはなく孤独だった。

ただただ、ぐったりしている我が子をぎゅっと抱いて、なんだか泣きそうになりながら、暗い夜道を走る車窓をただ眺めていた。

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こうして今振り返ると、点滴と諸々の検査をしてくれたことに関して感謝はしているけれども医師の説明不足が母の不安を増長させるということも痛感する。今後私は、入院を伝えられた保護者には、何か質問はないですか、と確認することを決して怠らないようにしようと痛烈に感じたのである。

※ このあと入院先での続き話はこちら

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