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여기 우리 마주 AプランとBプラン

日本と韓国は地理的にも近く、天候や自然環境も似ている。人種的にも近い。家族や教育に対する考え方も、欧米や中東などと比べると似ている。

斎藤真理子さんの韓国文学入門をB&Bで聞いていた時、日本がAプランを行なっている時のBプランとして韓国を見たらいいという見方もあると聞いて、なるほどと思った。

この全世界で同時に起きたコロナ禍、AプランとBプランはどう違ったのか。

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この本はまだ日本語に翻訳されていない。

韓国の教保文庫からネットで取り寄せたら、FedExで3日後には自宅に届いた。届いてすぐ、辞書も引かずにザーッと読んだ。そんなふうに読めたのは主人公が個人で店を開いていて、小6の女の子がいる40代の女性で、私ととても似ていたからかもしれない。

子どもたちが登校できなくなり、お店で不特定多数のお客さんと接していいのかどうかわからなくなり、夫からもそこまでして続けるのかと言われる。

マスクをして、手が荒れるほどアルコール消毒をして、子どものこと、夫とのすれ違い、自宅で小さく始めてから9年、やっと持てるようになった自分のお店をどうするか…これが日本の話であっても不思議じゃない。

けれど、違う部分もある。AプランではなくてBプラン。韓国はPCR検査を大規模に行い、陽性者が出たかどうか、近くにいるかどうかなど、感染者の行動が周辺の人たちにわかるようになっている。もともとすべて住民登録番号で管理できる状態になっているし、アプリもしっかりしたものがある。隔離処置になった場合には、自宅に食料などのセットが届くのも、番号管理のなせる技でもある。

今日、日本では接触確認アプリのCOCOAが去年の秋から不具合のため機能していなかったことが報じられ、濃厚接触者の追跡もなくなっているようだと言われている。

すべてがあいまいなまま疑心暗鬼のような状態が進む日本。すべてが明らかにされ、そのことでうまれる亀裂に苦しむ韓国。

AプランがいいのかBプランがいいのか、そんな単純なことではないけれど、コロナ禍でのこの苦しみがすぐに描かれて、文学賞の受賞作として発表され、出版されていることはすばらしいと思う。

こちらは翻訳コンクールの課題作になっているので、きっといい翻訳が出て、日本でも出版されるはずだ。

私も辞書を引きながら、これからまた丁寧に読み込んでいこうと思う。



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