見出し画像

最後に寝っ転がって青空を見上げたのはいつですか?

冬のブータンは青空が高く澄んでいる。今日ござを敷いて庭でごろっと寝っ転がっていた。雲が殆ど無い青空。遠くにヒマラヤの山々が見え、頂上辺りには雪が残っていた。

そう言えば、小学校の頃「秘密の湖」(正確に言えば池だが)の水辺で寝っ転がって空を見ていた事があった。家の裏山は私たち小学生の専売特許の様な遊び場で毎日遊んでいた。川口浩さんの影響で私たち小学生も自分達の探検隊を組んで山の中を飽きる事なく歩いていた。毎日毎日山で遊んで、誰も腕時計なんて持ってなかったから、暗くなったら家に帰った。未来に不安は無かった。「今」だけを生きていた。

今から思うと何と贅沢な日々であっただろう。子供時代を子供らしく過ごす事が出来たのである。

大人になってから、育った環境によって恐ろしいほどスタート地点が異なった事を理解した。一時期私も悩んだ。図書館にも博物館にも展示会にも親に連れて行ってもらった事の無い私は「自分の子供達には出来るだけそういった文化的な環境を提供出来る様にしよう。」とも思った。

しかし、長女を育てながら私は大きな壁にぶち当たった。長女は小さい頃から自分が興味がある事と無い事がはっきりしていて、私が良かれと思った事に全く興味を見せなかった。そして当たり前の様に「子供が興味が無い事を無理やり押し付けるべきではない」と学んだ。

今私の子供達は毎日毎日庭で遊び、山で遊ぶ生活をしている。彼らの生活に「未来に不安」という事は全く無く、飽きる事なく同じ遊びを毎日繰り返している。子供が子供として自然にいられる環境がまだここブータンにある事に私は感謝している。そしてその時間を持てる事が、私がそうであった様に、これからの人生を生きて行く強さになってくれたら、と思っている。

今日庭で寝転がり青空を見上げながら、そんな事を考えていた。

*写真は庭から見上げた空を撮ったもの。




この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?