まるっと自分を抱きしめる
突然ですが、わたしの弱点は「しゃがめない」こと。
付け加えると”完全に”しゃがめない。硬い足首がいうことを聞かない。着地させようとするとよろけて横に転がってしまう。
今に始まったことではなく小学生の頃からで、体育の時間には先生からよく指摘された。どうして?それはこっちのセリフ!なんて、もちろん言えやしない。クラス全員を見渡しても完全にしゃがめないのは、ぽっちゃり男子とわたしくらい。むしろ線は細いくらいだったのに、運動神経が特段悪いわけでもないのに、できなかった。
マイナス20点。今思えばわたしの減点グセの原点が、ここにあったのかもしれない。
そのまま大人になった。
ピラティスを始めて5年目。
しゃがみたくて習い始めたわけではないけれど、淡い期待を抱いていた。身体に軸を作り、しなやかさを身につければ克服できるんじゃないか、と。だけど甘かった。そりゃそうだ。たった週に一度のレッスン、しかも足首の柔軟性だけを鍛えているわけではないのだし。
でもね、でもさ座ってみたい。
足首をペッタリと地面に着けて。
そうだ浮力がある!
ひらめきはいつだって湯船の中だ。
思い立ったらとりあえず実行。
ワンルームの、決して広くはないバスタブで膝を抱える。そのままそっと足首を下ろす。
今まで流れていなかったところに血液が通い出す。
あっ!!
まるっと自分を抱きしめる。一瞬ではない。何秒でもその姿勢でいられる。
よくできました。
汚名返上。
過去の苦い思い出はそのまま流す。
日課にしたら地上でもできるようになるかしら。
完全にしゃがんで、そして自分を抱きしめること。
憧れの街への引っ越し資金とさせていただきます^^