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大企業が、社会課題を「事業」で解決するためのキーポイントとは?

皆さん、こんにちは!株式会社リディラバの石井です。

いま、多くの大企業が「社会課題をビジネスで解決する」ことを目指しています。
CSRという言葉が生まれて60年を経て、2015年には国連サミットで「SDGs」が採択されました。利益の一部を社会に還元するといった「貢献」モデルから脱却し、社会的事業を立ち上げることで「事業性と社会性の両立」モデルを目指す・・・という動きが非常に活発です。

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しかし、結局のところ「社会課題をビジネスで解決する」とはどういうことなのでしょうか?

その真の意義や具体的な手法は、未だなかなか浸透していません。

このnoteでは、大企業の中で社会的事業を立上げ、既に走り始めている「先駆者」の皆さんの声を少しだけご紹介します。
新興ベンチャーが次々と新しい事業を打ち出し、大企業からベンチャーへの人材流入も激しい昨今。しかし、大企業でも、いや、大企業だからこそ巻き起こせる社会的イノベーションについて、少しでもヒントになれば幸いです。

※このnoteは、2018年にリディラバが開催したセッションレポートを一部抜粋し、リディラバにて加筆・編集したものです。note末尾に、セッションレポートの全編を閲覧できる申込フォームがあります。

社会的事業のカギは「課題の根本」を探究すること

私たちネスレ日本では、社会的な事業として製品の「+α」となるサービスやビジネスモデルをつくっています。コミュニティ形成のサポートや高齢者の見守り支援など、コーヒーマシンを起点に人と人とをつなぐことで、さまざまな社会課題の解決を目指しています。

ネスレ日本は、自社の主要プロダクトであるコーヒーマシンと、様々な社会課題を結びつけて、社会的事業を立ち上げています。

例えば「介護が必要な高齢者」に提供すべきソリューションについて、想像してみてください。

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「これから被介護者は増えるから、介護ロボットが必要なのではないか?」「介護者の負担を軽くするために、見守りセンサーが必要?」
そのソリューションは、うちの会社の事業とは関係が無さそうだ

確かに課題の表面をなぞると、ロボットやセンサーなどわかりやすいソリューションしか思い浮かびづらいかもしれません。
しかし、ネスレ日本では、この課題に対して「コーヒーマシンを起点に人と人とをつなぐ」というソリューションを打ち出しました。これは、どのようなロジックによるものでしょうか?

実は、介護に限らず、高齢者が抱えている課題には大きなボトルネックがあります。それは「コミュニティの衰退・喪失」と呼ばれるものです。
ここで詳しくは説明しませんが、都市化・核家族化によって地縁コミュニティの衰退が進み、地域の人たち同士がお互いの困りごとを支え合うセーフティネットが無くなってしまった時、介護の問題は「社会」の問題ではなく「家庭」の中の問題に閉じてしまいます。
今、介護領域で真に問うべきことは、この「コミュニティ由来のセーフティネットを、どうやって現代に再現するか」であるともいえるのです。

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ネスレ日本の「コミュニティをつくる」というアプローチは、介護と直接関係ない、遠回りの道のりのように思えますが、課題の根本にアプローチすることで画期的なソリューションを生み出す、まさに「イノベーション」の真髄ではないでしょうか?
社会的事業とは、今や単なる社会貢献ではなく、企業の未来をかたちづくるイノベーションの旗手なのです。

大企業だからこそできる「ソリューション」の力強さ

私たちはココネットという会社を運営しており、買い物弱者対策の事業をしています。
いま全国で言えば、824万世帯の方々、とくに65歳以上の方々が何らかの買い物に不便を感じていることが農水省から発表されています。これを「買い物弱者」と呼んでいます。
とくに地方ですと、小売店が撤退してしまったり商店街がシャッター街化してしまったりという課題がある。そうしたなかで、食料品の宅配や見守り、御用聞きなどの事業を地域のスーパーと組んでやっています。

ココネットは、運輸会社のセイノーホールディングスが設立した新しい事業会社です。
小売店や商店街の衰退といった、地域が今まさに直面している課題の根本を突き詰め、買い物弱者向けの地域事業を全国規模で展開しています。

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課題の根本を探究して、「真に提供すべきソリューション」が見えてきた時、大企業には「ソリューションをラストワンマイルまで届け切る」という非常に力強い解決力があります。
ココネットの事業もまた、セイノーが創業から脈々と受け継いできた「運ぶ」という提供価値を十二分に活かした新規事業です。何十年も続けてきた運輸会社だからこそ出来るソリューションが生み出す「実績に裏打ちされた力強い課題解決力」が、そこにはあります。

社会的事業を生み出すために大切なこと

最後に、「企業で社会的事業を担っていく人たちには、どんなことが求められるか?」について、大企業の声をいくつかご紹介します。

こうした事業を推進するには、結局「人」のような気がしています。立場にかかわらず、担当者の志と言いますか、誰に反対されようともやり抜きたいという思いが必要だなと思います。
一つは、立場にかかわらず、原体験があることが非常に重要だと思っています。原体験を持っているほど自分事として語れるじゃないですか。
もう一つは、基本的に人の話は取り組む前提で聞くということです。大企業に多いかと思いますが、社会的な事業をやろうとなっても、重箱の隅をつついて、やれないとかやらない理由を探そうとしてしまう。
社会事業はたしかに難しいことも多いですが、「どうすればできるか」という考え方や姿勢はとくに大事だと思いますね。

この考え方は、社会的事業に限ったものではありません。
大企業が、今までにない「イノベーション」を巻き起こすために不可欠な考え方ではないでしょうか?

皆さんの会社では、今、イノベーションは起きていますか?

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