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答えのない「未来」に挑む ― 日本フードエコロジーセンター髙橋さん・インタビュー

皆さん、こんにちは!リディラバ企業研修チームの清水です。

この度、企業研修チームでは人事担当者限定で「越境学習を1日で体感する!無料モニターツアー」を開催します。

モニターツアーサムネイル

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https://fieldacademy2202event.peatix.com/

より多くの方々に社会課題が「解決されている」現場を知ってもらい、越境学習というソリューションを広めることが目的です。
オンライン開催なので、どなたも気軽にご参加ください。
「オンラインで社会課題の体感なんて、本当にできるの?」と思う方にこそ、ぜひ参加していただきたいツアーです。

こんな方におススメ!
▼「越境学習」の導入に興味があるものの、他の手段と比較した価値・効果をなかなか上申できていない
▼自分自身が「社会課題」についてよくわかっていないため、越境の価値を腹落ちできていない
▼他社がなぜ「社会課題への越境」をリーダー育成として導入しているのか、率直な目的を知りたい

このnoteでは、今回のモニターツアーにも全面協力いただく、「食品ロス」解決のトップランナー・日本フードエコロジーセンター髙橋さんのインタビューをご紹介します。

ステークホルダーが複雑に絡み合う食品ロス問題のド真ん中で、事業性と社会性を高度に両立させながら課題解決に奔走されている、まさに現場のトップランナーです。
2018年には内閣府が主催する「ジャパンSDGsアワード」で最高表彰(内閣総理大臣賞)を受章されています。

はじめに:「食品ロス」問題とは?

食品ロス構造化マップ

まだ食べられるのに捨てられてしまう食べ物は「食品ロス」と呼ばれています。
食品の廃棄というと、家庭やレストランの食べ残し・売れ残りばかりがイメージされがちですが、実は生産・加工・流通などあらゆるプロセスで食品は廃棄されつづけており、その総計は年間数百万トンにも上っています。

食品ロスは、単に「まだ食べられるのにもったいない」ということだけが問題ではありません。
例えば、加工・流通などの段階で多く炊きすぎたおコメなどは、工場から出荷される前に廃棄され、しかもその多くが私たちの税金を使って焼却処分されていることは、まだなかなか知られていないのではないでしょうか?

おコメ

この他にも、大量生産・大量消費を背景とした食糧自給率の低下など、食品ロス問題は様々な社会課題と密接にかかわっています。

そうはいっても、私たちの日常生活では「食品ロス」が大量に起きていることになかなか気づきづらいため、「解決したい当事者意識」も湧かなければ、まして「ビジネスとの接点」を捉えることも難しいでしょう。
だからこそ、私たちリディラバは「社会課題の現場」に触れることを何よりも重視しています。
とある企業向けプログラムで、食品ロスのオンラインツアーを開催した際の感想を少しだけシェアします。

食品ロスが年間数百万トンと言われても、おにぎり2個分と言われても、実際に見ないと課題の深刻さはやはりわからないものだなと思います。この事実、実際に見ることで多くの方がアクションを起こさなきゃ!と思うのではないでしょうか。
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食品ロスについてはニュースや手前どりなど目にする機会が増えて来ましたが、その背景になるものや課題などぼんやりとしか知らなかったことがとても分かりやすく理解が深まり、このツアーをきっかけに自分が出来ること、今後取り組んでみたいことが明確になりました。自分だけで無く周りの人にもぜひ参加してもらいたいという気持ちが強く湧きました。まだまだ課題はありますが、日頃の生活の中で自分で取り組めることと仕事を通して取り組めることがイメージできたので、実践していきたいと思います。

「日本フードエコロジーセンター」とは?

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神奈川県相模原市に工場を構える株式会社日本フードエコロジーセンターは、捨てられるはずだった食品(残さ)を回収し、豚のリキッド飼料として再生する難度の高い技術を開発・運用しています。
1日に数十トンにも及ぶ食品残さを引き受け、365日稼働しているそうです。

製造されたリキッド飼料を食べた豚は、小田急グループでリピート率No.1の商品「優とん」として販売される等、再び私たちの食卓に届くようになっています。
食品の回収・リサイクルから豚のブランド化まで一気通貫したサイクルを手掛けている、食品業界のトップランナーです。

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代表を務める髙橋さんのもとには、サステナブルな事業創造を目指す大企業や海外の政府関係者、大手メディア、中高生など、毎日多くの人たちが視察に訪れ、その薫陶を受けています。

以降では、大企業がいかにビジネスを通じて社会課題に取組めるか?などについて、リディラバ独自インタビューをお届けします。

企業と社会のあるべき姿

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これからの企業にとっては、「経済性と環境・社会性を如何に両立させるか」という問いが間違いなく重要になってくると思います。

ビジネスセクターにおいては、ここ15年くらいでようやく「CSR」「ESG」というワードが普及してきましたが、私に言わせるとこのトレンドは大失敗といわざるを得ません。
単なる企業の広報宣伝の手段、あるいは企業活動の免罪符としてフレーズを使っているに過ぎない。本来は全く違う次元の話であるはずです。

昨今は「SDGs」というワードに変わりましたが、今までCSR部門だったチームが看板を変えて明日からサステナビリティ推進部門です、と言われたところで、やっているメンバーもミッションも大して変わっていないのでは、意味がありません。
もしかすると大半の企業は、ただ17のゴールをパッチワークしながら、SDGsの目標に適合しているかどうか検証しているレベルに過ぎないのではないか?ということを危惧しています。

本来は、経済活動の中で当たり前のように、環境配慮・社会に真に資する取り組みをしなければならないはずです。経済性と社会性は両輪でないと真のサステナブルとはいえないでしょう。

社会が本当の意味で「持続可能」な状態を創り出せるかどうか。今の企業活動は本当にそれを目指しているのか。
私は1人ひとりに問い続けなければならないと思っています。

次世代の企業人が持つべきマインドとは

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日本のNPO・NGOの多くは、社会貢献への強いマインドを持っているものの、なかなか事業活動を拡げられていない実態があります。

例えば欧米のNPO・NGOは、組織内に公認会計士や弁護士を抱えており、ロビーイング(政策提言に資する活動)も労を惜しまず実行するなど、お金を集めてくる力や組織を構成していく力を兼ね備えています。

他方、大企業側も、NPOと連携しながら企業の社会性をより高める取り組みが出来ていない。
形ばかりのコンソーシアムに加入して、年会費10万円を払って何かをした気になっているのだとしたら、それは大変勿体無いことです。
企業としても、NPOをうまく活用しながら社会変革に資する行動を拡げていくことが、事業継続のためには極めて重要なはずです。

企業の内部、特に若手層には、社会貢献欲が著しく高い人たちがかなり多い。
社会貢献という自己実現であったり、事業を通じて社会を変革できるのではないかというぼんやりとしたビジョンを持っている。
しかし結局、アクションに踏み切れず自分の心の中でモヤモヤするだけで終わってしまう。

私は、そういう社会風潮そのものを変えていきたいと思っています。

企業の人たちがソーシャルマインドを持ち、時にはアントレプレナーとして、時には企業内部の変革を主導するイントレプレナーとして、事業活動・会社活動を通じて社会変革を主導する担い手となってほしい。

そのようなマインドと行動力を持った人を1人でも増やすことで、日本社会は変わることが出来ると信じています。

それこそ、私がリディラバの活動に協力している理由でもあります。

髙橋さんが見据える「ビジョン」

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私にとって食品ロス問題は、100ある「やりたいこと」のたった1つに過ぎません。

環境事業は事業性が低い、リサイクル製品は高価で手が出しづらい・・・そうではないカタチを示すために、J.FECの活動を今現在行っている"だけ"とも言えるかもしれません。

例えば、私の次の構想の1つとして「サステナブルファーム構想」というものがあります。

養豚場をリニューアルして、フードロスを再生した飼料で豚を飼育しながら、その糞尿が施設内のエネルギー源や田畑の肥料として再活用される。
また、直売場を併設して生産物を直接購入することが出来る。食育に資する体験工房も併設する。
レストランも作る。企業や学生が学ぶことのできる施設も作る。すべてを一気通貫で売り買い・体験できるフィールドを生み出します。
農業生産者の顔が見えて、また体験を通じてファンを形成していく。
消費者はリーズナブルに良いものを買える。生産者は安価で買い叩かれずに良い事業サイクルを形成することができる。

すべての関係者にとって良い仕組みを創りたいと思っています。

この構想のもととなっている課題意識は、日本の農業の疲弊・衰退にあります。

現在、耕作放棄地は増加の一途をたどり、後継者もいない。農業市場はシュリンクすると言われがちですが、そうではない在り方を示す必要がある。
なぜならば、一次産業は国力の最も基礎となる産業であるためです。
海外から輸入すれば良いという国家政策にシフトして久しいですが、(まさに昨今の状況のように)鎖国状態になってしまった場合、もし、今のこの状態が1年続いたら、食糧事情は取返しのつかない事態に陥ります。

少なくとも、国内で完結できる仕組みを社会に提言する必要があると、私は感じています。

耕作放棄地もこうやって活用できるんだ、農家は給料もちゃんともらえて、家族養えて、週休2日もらえて・・・という1つの事例を生み出して、農業に参画してもらう潮流を創る。その1つの事例創出が、サステナブルファーム構想です。

この企ては、ある種、私の「趣味」なのかもしれません。

しかし、農業ビジネス全体としてちゃんと儲かるモデルを作っていくことが「サステナブル」な事業の在り方であり、私が真にやりたいことです。

ここでは話せない構想も山ほどあります。

参加していただく皆さんには、是非、私と一緒に「次の一手」について深く考えてもらえると大変嬉しいです。

おわりに:答えのない未来に挑む「越境」

髙橋さんのインタビュー、いかがだったでしょうか?

普段の業務と全く異なる環境に身を置く修羅場体験として、「越境学習」という言葉は段々浸透してきています。
しかし、誰かから与えられた「お題」の解決策をただ考えるだけでは、本当の意味で「越境」しているとはいえない。これがリディラバの根本的な設計思想です。

髙橋さんの視座は、目の前の課題に丁寧に向き合いながらも、その先にあるより大きなビジョンを常に見据えています。
そこに向かう道筋に「正しい答え」は一切ありません。

私たちリディラバは、企業の次世代を担うリーダー候補の人たちが、まさにこのような「答えなき世界」に飛び込むことを目指して、多業種合同プログラム「フィールドアカデミー」を立ち上げました。

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普段の業務では出会えない人たちと語り合い、誰も答えを持っていないからこそ「自分たちの成し遂げたい未来」について徹底的に考えることができます。

その力こそが、企業の未来を切り開くと私たちは確信しています。

「越境学習」に興味のある方、自分がまず体験してみたいと思った方、髙橋さんの話を聞いてみたい方、ぜひモニターツアーにご参加ください!

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