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本屋大賞発表されるまでにノミネート作品読むぞ①『推し、燃ゆ』

タイトルの通り、先日発表された本屋大賞ノミネート作品を大賞発表までに全作読もうという計画。
ただ自分の中で留めてると挫折する予感がするので、よしやるなら感想をnoteに綴ろう!と自分で首を絞めるスタイルでやっていきたいと思います。笑

第一弾は、最近芥川賞受賞で話題の『推し、燃ゆ』(宇佐美りん著)

主人公はとあるアイドルグループの男性メンバーの1人を推す女子高生。彼女はリアルな生活ではちょっと生きづらさを持ちながら、推しを応援することを生きがいにして生きている。
そんな中、推しのある事件が起きてからの1年くらいの日々を描いた作品です。

読んだ直後の感想は、「推し活をしている友人に読んでもらって感想を聞きたい」でした。
私自身好きな俳優さんとか『推し』はいるんだけど、主人公の彼女ほどのエネルギーはなく、正直主人公のそれは『狂気』に感じてしまうところがありました。
ただ、何かの『推し』になってそれを行動に起こす、その行動のあれそれは人によって違うし。とあるアイドルグループの推し活をしている友人から見たらこの作品はどう見えるんだろ、というのが気になりました。

推し活とは別軸で、主人公はリアルな生活では生きづらさを感じていて、それを本作では『重さ』と表現しています。
診断は下されてるようですが、何たるかと明言されてないのはいいですね、症状を言語化するとその専門分野のフィルターかかってしまう。本編の重要なところはそこではないのでしょう。

とはいえ彼女の生きづらさの描写がだいぶあるんですが、中々にエグい。
個人的な話をすると、私は高校時代が人生で一番生きづらくて、彼女のように『なんで私は他の人みたいに普通に生きられないんだろう』という思いながら日々生きてた、という時代でした。
だからそこの描写は結構リアルで、もがく姿は他人事に見えず「おお、やめてくれ…古傷が抉られるううう」なんて勝手に胸が苦しくなりました。笑

『推し』が自分にとってどういう存在なのか、は人それぞれですが、彼女にとっては自分の『背骨』であり、推しを応援することは『業』と言う。
ここの表現には半分共感、半分恐れ慄き。最初彼女にとって推しはときには『生きる活力』なったり『現実逃避』にもなるものか、と考えてたんですが、違った。『生きがい』ではなく『生きる』そのものだった。
そのエネルギーたるや凄まじいと思う反面、彼女の不器用さを感じました。もし『背骨』が突然無くなったら?彼女にとってそれだけの存在になる推しとの出会いは幸か不幸か…

本作を購入したとき、帯に著名人によるコメントがあって、読む前に見た際は「え、どういうこと??」と思ったんですが、読了後に再度コメントに目を通すと「なるほど、的を得ている」と納得。

今の時代だから生まれた作品だと思います。推し活やSNSの炎上とか、よく世相を表してるなあと思いました。これが数年経ったら通じない時代が来るのかしら。

何か『推し』がある人もそうでない人も、1人の高校生が『推し』と生きる生き様をよかったら覗き見してみてください。あなたの価値観だからこその思うところがあるかもしれません。

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