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嘘ってついちゃいけないの?①正直に話せるようになる指導法

先週の土曜日には、「は〜るばる来たぜ函館〜」というわけで、第1回「教え方の学校」函館分校に参加、昨日は、4年振りにサカナクションのコンサートへというわけで充電完了。元気もりもりの教務主任のリッケンです。

今日は、「嘘」についてのお話です。みなさん嘘は好きですか?

「はい!好きです!」

と大きな声で答える人は少ないでしょう。

小さい頃から「嘘は絶対にダメ!」と大人たちから厳しく言われた人もいるでしょう。

どうでしょう。それで、正直に話せるようになりましたか?

小さい頃の私は・・・・、できませんでした。

友達が、「この前〇〇って店行ってさー。」と言えば、行っていないのに「うんうんいいよね。あの店」なんて行ってもないのに行ったことにしたり、遅刻しそうになれば、ありそうな理由をでっち上げてごまかしたり、ときに辻褄を合わせるために壮大な嘘物語を作り上げてしまうこともありました。

小さい頃は、もう、どこまでが事実でどこからが嘘かわからなくなってしまっていました。

今振り返ってみると、嘘をつくことで自分を大きく見せようとしたり、大人たちが怖くて嘘でごまかして怒られることから逃げたいと思っていたのではないかと感じます。

そう、そうなんです。嘘はいけない。でも、最初から高圧的に「嘘つく奴は絶対に許さない!嘘つくやつは信用を失ってろくな人生を歩まない」みたいに指導されるとその恐怖からかえってウソをついてしまうのではないかと自分の経験からも思います。

では、どうしたらいいのか?今日は「嘘みたいな嘘指導のはじめの一歩」を紹介します。それではいってみましょう!

初めから高圧的な指導はしない

大人は、というかその中でも特に教師は、嘘が嫌いです。
嘘が教室内でまかり通ってしまえば、さまざまな指導が成り立たなくなってしまうからです。

したがって、教室の秩序を乱さないために!と声高に嘘を禁止します。もうそれは弾圧と言ってもいいような勢いで。

子どもたちは、ビビります。優等生といわれる子どもたちは怖いから、怒られたくないからと従います。

やんちゃな子どもたちや、当時の私のような空想力が豊かな子どもたちは、それでも「嘘ついたらごまかせるんじゃないか」と挑んでしまいます

そして、バレてめちゃくちゃ叱られます。

では、次に正直に話せるかというと、またついちゃうんですよね。嘘。

これは、先生方の指導にもやっぱり問題があると思います。

よくあるパターンがこれです。

T:〇〇君、正直に話しなさい。正直に話したら怒らないから
S:じ、実は、ぼくがやりました。
T:やっぱりおまえだったのか!ガミガミガミガミ

こんな経験を重ねるので、正直に話すことがバカらしくなってしまうのです。

では嘘をついてしまうメカニズムを見てみましょう。


「正直に話す」の方にメリットを

「正直に話す」「嘘でごまかす」を天秤に乗せてみましょう。
どちらに傾くでしょうか?

先ほどの指導を思い浮かべると、「正直に話す」は叱られる可能性100%です。「嘘でごまかす」は嘘がバレたらめちゃくちゃ叱られるけど、うまくいけばピンチを切り抜けられます

優等生たちは、正直に話すを選びます。やんちゃな子どもたち、小さい頃の私のように空想力が豊かな子どもたちは、一か八かのギャンブルに出ます。

天秤は「嘘でごまかす」という方に傾きます。

嘘をつかないように厳しく指導しているのに、中々浸透しないのにはこんな構造があるのです。

解決方法は、もうお分かりですね。「正直に話す」の方にプラスのおもりを置くというわけです。

私は、正直に話したら握手を求めるという方法でプラスのおもりを置くようにしています。そうすれば、メリットがあるのは嘘でごまかしてギャンブルをすることではなく「正直に話す」になります。それでは実際の語りを見ていきましょう。


先生は「正直な人が大好きです」と握手を求める

それほど深刻ではないけれど、子どもたちが嘘をついてごまかしている場面を捉えて指導をしていきます。

ある日のこと、授業中に図書館から教室まで帰ってくるときに、しゃべってしまった子がたくさんいました。これはたしなめておかないとと思い指導をしました。

T:今図書館から帰ってくるときに、静かにという確認をしたと思いますが、しゃべってしまった人がいたね。しゃべってしまった人、立ちなさい。

1人しか立たない。
お前もしゃべってただろ!なんて声も聞こえてきます。

T:人に言われて立つのではなくて、自分でしっかりと振り返って、しゃべってしまったと思ったら立ちなさい。

2人立つ。明らかに人数が足りない。

T:もっといたと思いますが・・・。授業中の移動は静かに、分かりましたか?

S:はい

おもむろに子どもたちに近づき、笑顔でユーモアをもって語ります。

T:君たちは自分のことをちゃんと振り返られる偉い子だ。先生は、正直な人が大好きです。(大袈裟に熱い握手をする)正直な人が大好きです。(2人目と大袈裟に熱い握手をする)正直な人が大好きです。大袈裟に熱い握手をする)

そうこうしているうちに、ごまかしていた子どもたちが数人立ち始めます。

T:(その子たちをギロリと見つめてから笑顔でユーモアをもって語りかけます)次は初めから立てるといいですね。でも、こうやって正直になろうとする人が先生は大好きです。(立った全員と大袈裟に熱い握手をする

こんな風に、正直になれたことを讃えて強いフィードバックをします。これを、さまざまな場面で行なっていきます。そうすると、正直に話した方がメリットがあるので、子どもたちが気軽に正直に打ち明けてくれるようになっていきます。


まとめ

・初めからの高圧的な指導は悪手
・「正直に話す」という行動にプラスのおもりを
・「先生は正直な人が大好きです」とユーモアをもって握手を求める

こんな手順を踏んでいくと、嘘やごまかしに対する、子どもたちのマインドブロックが解けていきます。

握手という方法は、さまざまな場面で応用可能です。先生と子どもたちで共通点を見つけたとき「〇〇仲間だね〜」や、子どもたちが何かを達成したときに「〇〇合格おめでとう!」など握手を求めると言葉だけより喜んでくれます。よろしければお試しください。

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次回の記事は「嘘ってついちゃいけないの?②嘘は悪いことじゃない」です。重松清の『青い鳥』の「カッコウの卵」のレビューになります。学校で働く方にぜひ届けたい記事です。ぜひお読みください。

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