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サンクコストを上手に利用する。

 自分のブログ「ベーシスト高橋竜奮闘記」と差別化しようとして、このnoteに毎日なんだか怪しい新興宗教の教祖みたいに精神論ばかり書いているのが、最近自分で正直ちょっと面白い。なので今日も悪ノリしてちょっと良い事を(いや、一見良さげに見える事かな)を書いてみたいのだが、いやもう来年あたり、謎の新興宗教を始めて教祖様になっても良いのかもしれないなあ、なんて思う(笑)。

 僕がベースを始めたのは1978年の12月8日、ちょうどジョンレノンが暗殺される2年前だったのだが、その日おこずかいやお年玉をせっせと貯めた2万4千円を握りしめて、今は無きダイエーにあった新星堂で、フレッシャーと言う会社のヴァイオリン・ベース(のコピーモデル)を買った。それまでピアノは弾いていた時期があった物の、弦楽器には一度も触れた事が無かったので、当然試奏もせず。先輩に教わった「もっと安くなりませんか?」と言う値切り交渉には失敗、そうなったら「だったら何かオマケを付けて下さい」と言うプランBの交渉にはやや成功して、音叉(令和の若者の為に説明すると、叩くとコーンと言う440hzのAの音がなる金属の2股に別れた棒。もしかすると僕が今でもベースをハーモニックスでチューニングするのは、これの名残なのかもしれない)、ストラップ(フォーク同好会みたいなフォークギターに付ける用の紐のついた花柄のキュートな物)、ベースを拭くクロス(クロスって何故かどれも黄色い)、そしてこれが一番役に立ったのだが、ゴダイゴのスティーヴ・フォックスさん著のグレコの教則本(本当はグレコのベースを買わないと付けてもらえないのだが特別に付けてもらった)を頂いた。

 そして翌日からその教則本を使って練習を始めたのだが、すぐに当時の(今もだけど)自分は背が低いので座ったままだと1フレットに手が届かない事が判明。花柄のストラップを付けて(紐は外しました)今の僕みたいに結構ベースの位置を下げて斜めにして、ようやくローポジションに手が届いたので、その状態で練習開始。それ以外でも予想以上に地味なベースという楽器のあり方にいささか閉口してしまい、もう辞めようかな、と何度も思った。

 そこで持ち直した理由は他でもない、そのベースの代金2万4千円が自分のお金だったから。記憶が確かであれば僕は自分のお金で1万年以上の買い物をしたのはあの時が人生初だったはず。払った2万4千円が勿体無い、と思って続けたお陰で、今こうして職業ベーシストのはしくれに入れてもらえて、こんな謎のnoteを書いている。もしかしたら「リスクを負う」事の大切さを初めて知ったのは「自分のお金でベースを買った」と言うあの瞬間だったのかもしれないな、なんて思ったりもする。まあ「コンコルド・シンドローム」とか「価値が下がった投資対象を損切り出来ないで塩漬けにする」とか、サンク・コストの弊害も沢山あるのだが、うまく利用して、それが上手く行く場合も時にはあるんじゃないかな、なんて思う今日この頃なんである。

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