「日本語は世界一早口の言語」という説、本当?

どこかで「日本語は世界一早口の言語」という説を見かけて、ずっと気になっていました。それって本当なんでしょうか?ちょっと調べてみました。

ネットでいくつか記事が見つかりました。

この話自体は、2019年に発表された論文がもとになっているようです。

どんな論文?

1,日本語は1音節中に入れられる情報量が少ない。

音節はまとまって聞こえる音の単位です。例えば、「ストライクSu/To/Ra/I /ku」は5音節になります。一方、英語は「Strike」となり1音節ということなります。ちなみに「たんぽぽ Tan/po/po」は3音節です。さらに、1音節に入る情報量を英語と日本語で比べると、11対1にもなるそうです。「日本語は1音節の情報量、薄っ!」ということですね。

2,日本語は17語中最も早口

その2019年の調査では「別々の言語で、同じメッセージを伝えるのにどれくらいの時間がかかるかどうか」を調べました。

実験方法の詳細は以下に記します。
・17言語で、それぞれ10人のネイティブスピーカーに、15の短い文章を読んでもらう。
・その音源をもとに1秒間に何音節発話しているか測定。

結果、17語中1位の最も音節数が多い言語が日本語だった、ということだそうです。つまりここから、日本語は、最も早口という話になったようです。

早口順に、日本語、スペイン語、バスク語、フィンランド語、イタリア語、セルビア語、韓国語、カタルーニャ語、トルコ語、フランス語、英語、ドイツ語、ハンガリー語、カンボジア語、広東語、ベトナム語、タイ語、となり、最も遅い言語がタイ語でした。

日本語話者は、1秒間に平均して8音節をしゃべるそうです。そして、最も遅い言語がタイ語、だそうです。ちなみに、同じことを伝えようとするとイタリア語はタイ語の2倍くらいの速さになるようです。

私はタイ語を学習したことがあったので、これは実感としてかなりあります。確かにタイ語は一単語が長く、表音文字なので一文が長くなります。

記事をまとめると

日本語は音節数が多く一音節に入れられる情報量が少ないです。そのハンディを補うために「早口で話す」ことで情報量を多くしているのです。

日本語はとにかく早口で追いつこう!という言語みたいですね。結果、他の言語より早くになってしまったという。なんか日本人らしいですね、、、。

そんなわけで、初めて日本語聞いた人にとってはマシンガンのように「ダダダダダ」と聞こえるんですね。音節多め+早口で、そう聞こえるというわけです。

ちなみに、早口でも遅くても、一定時間に伝えられる情報量はどの言語でもほぼ変わらなかった、ということです。つまり最も早口の日本語と、遅口のタイ語を比較して、話すスピードは違うけど、同じ時間内に伝えられるメッセージの量はほぼ一緒ということになります。

この知識をどう授業でどういかすか?

学習者のレベルに合わせて話すスピードを調整する

日本語がこれほど早口、ということは、先生が普通のスピードで話そうもんなら、学習者は「早っ!」となりますね。日本人のナチュラルスピードに慣れていない学習者ならなおさらです。ゆっくり話す努力は必要です。

ただ、学費者のレベルに合わせてゆっくり話すものの、いつまでもそのスピードのままでは、みんなが話す早いスピードには慣れないままです。教師は学習者のレベルに合わせて話すスピードを早くしたり遅くしたりと、チューニングしていく工夫が必要だと思いました。

日本語の特徴にあわせたリスニングに慣れる

日本語は語中の音節数が多い一方、「音節の種類」は少なく、同音異義語が増えてしまいます。そのため、言葉の中で言い換えたり、言い直したりなど、補足説明が多くなります。

つまり、日本語は一語一句聞き取らなくても、別の言葉を聞き取れれば意味が通じることはよくあります。学習者には、「全部聞き取らないと意味がわからない!」と焦らず、「一つの言葉を聞き逃しても別の言葉を聞きながら補足していきましょう」と言ってみることもできますね。

日本語って、内容が薄い割に展開の早いドラマみたいな感じでだなあと、思ってしまいた。

つまり、「日本語はポイントを抑えながら聞けば理解できるから、話すスピードが早くてもパニックにならずに聞いてね」とか言えるかなと思いました。

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