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私の研究は多くの人に支えられている

私が博士課程を修了することができたのは多くの人の支えがあったからだと改めて思います。まず大学院で指導を受けた教授です。修士の時から10年近くお世話になりました。在学中はこの上もなく温かいご指導を賜わりました。教員を辞めて大学院への進学を決めた私ですが、研究を始めるにあたって不安や迷いがなかったわけではありません。教授はその時は他の大学におられました。そこで勤務先の大学を訪ね相談に乗っていただいたのですが、その際に先生は助言と励ましのことばをたくさんくださり、迷っている私の背中を押してくださいました。あの日の先生との出会いがなかったら大学院で研究することはなかったと思います。

さらに在学中は資料収集、文献講読、現地調査、学会発表など研究に関するあらゆることを丁寧に教えていただきました。論文を執筆する際には一字一句に神経を使うことや、研究に対して真摯に取り組むことの大切さも教えていただきました。本人の意思を最大限尊重し、院生一人一人の自主性と自律性を重視して指導される先生の姿からは、教育者としても多くのことを学びました。

副査の先生方にもこの上なくお世話になりました。お一人は所属する研究科で修士課程の時から授業等でご指導いただいた先生です。気さくな方でキャンパスでお会いするたびにも声をかけてくださいました。もうお一人は研究科は違いますが大学院に入学する前から社会人講座を受講したり、研究室をおたずねしたりしてアドバイスをいただいた先生です。大学院に進んでからは研究室のフィールド調査にも参加させていただきました。もうお一方は他大学の先生ですが私の研究分野のエキスパート。学会等でお会いするたびに貴重なアドバイスをくださいました。

他にもたくさんの先生方にご指導とご支援をいただきました。ゼミの海外調査に参加させていただいたり、授業や自主ゼミで幅広い分野の勉強をさせていただいたり、書籍の執筆にも携わらせていただいたりしました。研究を進める中で挫折もたびたび味わいましたが、一院生の私に心温まる励ましの言葉をかけてくださった先生はたくさんおられます。そうした先生方がいらっしゃったから私は研究を続けることができたと思っています。先生方には感謝の気持ちでいっぱいです。

調査で訪れたオーストラリアでも数えきれないほどの方々にお世話になりました。大学や学校、行政機関、教員組合など教育に関係する機関の方々からたくさんの情報をいただきました。

大学では研究の第一線で活躍されていらっしゃる先生方の研究室をどれだけ訪問したかわかりません。どなたも温かく迎えてくださり、貴重な情報を惜しみなくとくださいました。お忙しい中で時間を割いてインタビューに応じてくださったり、授業に参加させてくださったり、学生の教育実習先に同校させてくださったりしました。何日も自宅に滞在させてくださった先生もおられます。

学校の先生達からも情報をたくさんいただきました。どの先生も親切に対応してくださりインタビューや授業見学のほか、学校行事や校内研修、職員会議などにも参加させてくださいました。指導案や教材など現場の貴重な資料もたくさん提供してくださいました。ご家庭に滞在させてくださった先生もおられ、親交はずっと続いています。

海外調査や海外の学会に参加するとき私はほとんどこうした人たちの家に泊めてもらっています。ホテルに泊まることはめったにありません。研究をする中で知り合った人が多いですが、教員時代にちょっとしたきっかけで知りあった人もいます。以前に記事で紹介したスウェーデン人のディパクもその一人です。日本でのたった一日の出会いでしたがスウェーデンの学会に出たときは10日間も泊めてもらいました。

最後に、この人がいなかったら私の研究はなかったかもしれないと思っているのがAdamです。彼は現在オーストラリアのハイスクールで英語の先生をしていますが、私が彼と知り合ったのは日本です。彼が大学3年生の時に日本の大手企業が毎年実施しているオーストラリアの大学生の日本研修ツアーに参加しました。参加者は各州の大学から1名ずつ選ばれます。優秀な学生ばかりです。その際に彼らは私の住む町でホームステイをし、地元の学校を体験しました。そのとき私がボランティアでアテンドしたのがAdamです。

当時、彼は教育学部の学生で偶然にも私がオーストラリアでフィールド調査をしている大学で学んでいました。私は彼に現地の学校教育と教員養成について生の情報をたくさん提供してもらいました。特に彼のポートフォリオは教職課程の学生としての貴重な成長記録です。それを研究資料として使用させてもらいました。それ以来彼とは家族ともに20年以上の付き合いです。Adamには心から感謝しています。そして研究を行うには小さな出会いを大切にすることがとても大事であると感じています。


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