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若手研究者を応援するつもりだったのですが...

自治体の教育機関に勤めていたとき一般市民対象の異文化理解講座を実施することになりました。講師の選定を任された私は異文化理解を専門とする若手の女性研究者を推薦しました。博士の学位を取得したばかりの彼女は複数の大学で非常勤講師をしながら専任教員のポストに挑戦していましたがなかなか採用されません。講師をすることが彼女にとって業績のひとつになればという思いが私にはあったからです。最近は学位を取得しても専任教員の職を得るのが難しい状況です。私は若手研究者を応援したいと思っています。

彼女は講師依頼をすごく喜びました。そしてすぐに引き受けました。講座実施の3カ月前でした。彼女とは講座について打ち合わせをしたあと当日までの準備をお願いしました。やがてチラシが作成され県内全域に配布されました。ウェブでも情報が公開され、申し込みが集まりました。

ところが講座の3週間前です。彼女から都合が悪くなったというメールが来ました。彼女が関わっている科研費の研究プロジェクトの会合があるからということでした。ついては講座の講師は別の研究者を紹介しますということです。

私は直前のキャンセルに驚きました。案内はすでに全県に配布され、申し込みも行われています。講師のプロフィールを見て申し込んだ人もいるかもしれません。もちろん病気など突発的なことで講師の都合が悪くなるということはあります。でも彼女の場合は科研の会合です。事前に予測できたと思います。彼女にとっては重要なのだと思いますが、講師を引き受けた仕事をキャンセルして会合を選んだことに私は釈然としませんでした。彼女は代替講師を推薦しました。その人も異文化理解を専門とする研究者ですが、彼女より研究歴は短く、私もどのような人かわかりません。何よりもお役所機関なので直前の変更を嬉しく思うはずがありません。始末書とまでは行きませんでしたが私は担当者から苦言を呈されました。


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