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日本社会を支える外国人との小さなコミュニケーション

近隣の古い家が次々に取り壊され、新しい家が建てられています。家屋を解体している人たちを見ると圧倒的に外国人が多いです。もちろん外見からの判断ですが、時には外国人だけということもあります。

ある日解体現場を通りかかると複数の男性が作業をしていました。私が「通してくださーい!」と言って脇を通り抜けようとすると「ジャマ(邪魔)ネ~。スミマセン」と訛のある日本語が返ってきました。

翌日同じ場所を通ったら同じ男性が作業していました。私は「こんにちは。大変ですね」と声をかけました。彼は一瞬驚いたようでしたが、すぐに「コンニチワ」と笑顔で返事をしました。そして「シゴト(仕事)ガンバリマス」と言いました。

たったそれだけのことです。でも私にはとても印象に残りました。実はその数日前にNHKの首都圏番組で埼玉県川口市に住むクルド人のことが伝られていたからです。川口市にはトルコから来た多くのクルド人が住んでいるそうですが、中には難民申請をしても認められず「仮放免」となった人も少なくないそうです。ちなみに日本で難民申請したトルコ国籍の人は過去15年ほどで9700人以上いるそうですが、そのうち認定されたのはたった1人だと言います。

「仮放免」の人は就労することはできません。でも実際には働いている人が少なくないようです。特に人手不足の解体業界では仮放免のクルド人がいなければ現場が成り立たないと言う声もあるそうです。一方で、川口市ではクルド人のコミュニティーが拡大し、ゴミ出しのルールや生活習慣などの違いにより住民との摩擦も目立っていると言います。番組に出演していた難民問題の専門家はコミュニケーションの大切さを指摘していました。日本人とのコミュニケーションがあれば住民の「体感治安」が改善し、両者の関係がよくなると言います。外国人にとっての住みやすさも生み出されるでしょう。



私が出会った外国人が難民かどうかはわかりません。彼がどのような生活をしているのかも私は知りません。でも私は彼の笑顔を見て言葉をかけてよかったと思いました。彼とは会話と言えるほどのものをしたわけではではありません。軽い挨拶をしただけです。黙って通り過ぎることもできました。でもそこには小さいですがコミュニケーションがあったと私は思っています。ちょっとした言葉のやりとりで日本社会に対する彼のイメージがよいものとなってくれればうれしいです。








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