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博士課程は授業を受けるのではなく自分で研究を進める

博士課程の履修要綱には次のように記されていました。「博士の学位を取得しようとする者は通常3年以上在学し、指導教員が担当する演習科目について4単位を修得し、所要の研究指導を受けた上、博士論文の審査および試験に合格しなければならない」

博士課程の授業は指導教授の行う演習が一コマと、他の研究室の演習を一コマ受けました。後者は複合履修という名前で 呼ばれていました。複合履修は自分の専門分野以外の研究に触れて自己の研究領域を深化するとともに、幅広い視点や実践的能力蓄える ことをねらいとしており、研究科内の他の研究室の演習科目を 1 年間履修します。私は社会教育学の演習を選びました。研究室が違うと研究の内容もやり方も違います。学生の構成もゼミの雰囲気も違います。私にとってはとても刺激的な時間でした。

博士課程では他の必修科目はありません。指導教授の指導を受けながらひたすら自分で研究を進めます。孤独な作業です。だから院生同士で支え合うことが重要です。ゼミは修士課程と博士課程合同で行っていましたが、それとは別に博士課程の院生で集まり自主的なゼミを行いました。修士と博士の院生が共に議論する場はいずれにとっても有意義です。でも研究に対する姿勢や研究の進め方など異なる部分は多々あります。それゆえ博士課程の院生だけで議論する場を設けたのです。

研究室の仲間はみんな比較教育学を研究していますが、それぞれが研究対象とする国や地域はまちまちです。テーマも異なります。でも海外の教育を研究するという点では一致しています。だからお互いの研究が参考になります。先生を交えて毎回活発に議論し、研究の悩みなどを語り合いました。科研費を取得して共同で研究も行いました。

自主ゼミは研究室以外のものにも参加しました。個人的につながりのある他学部の先生からお誘いを受けて研究会に参加させていただいたのです。分野の異なる研究ですがこれもすごく役立ちました。書籍の出版や辞書の編纂などにも関わらせていただきました。

さらに大規模な大学という利点を生かして、修士課程の時と同じように興味深いテーマを扱っている授業に「潜り込み」ました。大教室だとだれも気に留めません。担当の先生の許可を得て聴講させてもらったこともありますが、どの授業も私の知的欲求を満たしてくれました。

学費を得るため修士の時から引き続いてTAをやりましたが、これも興味のある授業を選べば自分も学べます。一石二鳥です。

博士課程の授業はほとんどありませんが自分で授業や研究会、学会にどんどん参加するのがよいと思います。大学は知の宝庫です。院生という立場を活用しない手はありません。役に立つと思うことは積極的に活用することが大事だと思います。そうすれば孤独な研究も孤独を感じなくなります。

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